おばちゃんの証言2

女性の名前は山村もみ、と名乗った。名前を聞くたびに岩井刑事が「惜しい!」と謎の雄叫びをあげるのだが池照は無視した。


何でも山村さんは事件や事故に頻繁に遭遇するらしくて近所では評判らしい。


「ほんとですか?」


「ほんとよなのよこれが!この前もほら!タクシー強盗あったでしょ?あの時偶然通りかかってねぇ、逃げる犯人の足を引っ掻けて転ばせたのよ!傑作だったわー!」


「なるほどぉ…それはお手柄でしたね、それはそうと今回の事件の事を聞きたいんですが…。」


「あ、そうそうそうだったわね。」


大方、近所の評判というのも自分から触れ回ってるのじゃないかと池照は思った。


「では、少し思い出してもらってよろしいですか?こちらのコンビニのトイレに山村さんは二回入ってますよね?」


「え?二回?借りたのは一回じゃなかったかしら?まさか私を自宅のトイレの水がもったいないから近所のコンビニ利用してる人みたいに言うわけ?」


「いえ、そうは言ってません。そうじゃなくて、短い時間で出入りしてる様子がカメラに写ってるんですよ。」


「え?カメラに撮ってるの?いやらしい。」


「いやいや、カメラといってもドアの外についている防犯カメラですのでご安心を…。」


ふぅ…。


調子が狂う…。思わずため息をついてしまった。


「あら疲れたの?うちによってく?すぐ近くよ?」


「いえ、結構です、まだやることがありますので…それとも、あまり思い出せない様でしたらまた後日でも…。」


「あ、思い出したわ。」


イケメンの話し相手を逃がさない為なのかすぐになにかを思い出したらしい。


「そういえば、一回目に入ったときはトイレが塞がっててすぐに出てきたのよ。」


「なるほど…それで1度店を出られたわけですね」


「そうなの誰か出てきたら入ろうと思ってね。そしたら茶髪の女子高生がでて来たんでマジマンジだったわけ。」


「え?どういう意味ですか?マジマンジって?」


「よく知らないけど、よっしゃー!みたいな意味じゃないの?」


「は、はぁ。」


たぶん間違って使っていると思うが触れないで置こう。


「それで、その後トイレに入ったときは何か変わったことありました?」


「え?そうねぇ、うまい具合に女子専用の方が空いたんで用を足してたら、いきなりアラームが鳴り出したくらいかな?」


それだ!アラームの鳴り出した時間がだいたいわかった。

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