おばちゃんの証言1
池照がコンビニを出ると、岩井が誰かと話し込んでいた。
相手はどこかの主婦の様であったが池照はその顔になぜか見覚えがあった。
「あ、あの、岩井さん?そちらの方は?」
「おう、ようやく来たか。そちらもどちらもあらへんがな、さっき見たばっかりやろ?」
「あ、ああ!」
池照はさっきの防犯カメラに写っていたブルーベリーみたいな色の服を着た、いかにもおばちゃんという体型と髪型の主婦を思い出した。
「なに?なんですの?人の顔指でさしてからに、いけすかんわぁー、イケメンじゃなかつたらひっぱたいてる所やわ」
「す、すみません。ついびっくりしてしまって…こちらのコンビニを利用されてた方ですね?」
「まぁ、そうですけど、なにかありました?そちらの刑事さんにも言いましたけど、私ビールを買いに来ただけですよ。」
「はい、でもトイレを使われましたよね?」
「そりゃ使うわよ。使っちゃダメなの?」
「いえ、全然良いんですけど、そのときの状況を教えていただけないかと…。」
「状況って言ってもねぇ、普通に入っただけだけど…。」
「そこを詳しく。」
「ええ?なにを詳しく話せばいいのよ?」
そこで岩井が口を挟んだ。
「たとえば、どっちのトイレにはいったか?とかです、あとその時誰かいなかったか?」
それを受けて池照も言った。
「そうそう、それと、へんな音は聞こえなかったか?とかもです。」
「そんなに矢継ぎ早に質問されてもねぇ…。」
「ゆっくりでいいので…。」
そういうと池照はニコッと笑った。
池照は自分が女性に好かれやすい事を知っている。
しかし普段は別段気にはしないのだが捜査を円滑に進めるために必要とあらば惜しみ無く使おうと決めているのだった。
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