防犯カメラの映像3

「それで、その丸刈りの高校生はどこかに行ってしまったんですね?」


「はい」


申し訳なさそうに山田は言った。


「まさか、警察に連絡してる間にどこかに行ってしまうとは思わなくて.......」


「いえ、それは店長さんのせいではありませんよ。それに、その青年の気持ちもわからなくありませんし」


そう池照は慰めた。


「せや、いきなり、ドアあけたら知らんおっさんの死体なんてなぁ、俺ならその場で走り去るわ。」


と、岩井が刑事らしからぬ事を言ったが、おそらく、店長の緊張をほぐすためだろう。


「まあ、その青年は青葉高校の生徒らしい事はわかっているので直ぐに身元はわれるでしょう、それよりその時の青年の話を聞かせてください」


「え?どうしてわかるんです?」


「今時丸刈りをする高校生といったら野球部くらいでしょう?それも強豪じゃないと生徒に丸刈りを強制したりしませんからね、それでこの辺の強豪といえば青葉です」


「あぁ、なるほど!」


「まあ、あとでちゃんと裏は取りますけどね。それよりその後どうしたんですか?」


「え、ええそうですね。私がアルバイトの子とカウンターにいるとその青年がやってきて、トイレの様子がおかしいので確認してくれないかと言われたので確認しに行きました」


「直ぐに?」


「まあ、店もそんなに混んでなかったのでアルバイトの子でなんとかやりくり出来るだろうと思って直ぐに向かいましたよ。どう変なのか知りたかったですし、イタズラでもされてたら大変ですからね」


「なるほど。それから?」


「それから、一応鍵を外から簡単に開けられる物を持ってましたのでそれを持ってきて」


「それって見せてもらえます?」


「もちろん」


そういうと、すぐ近くの引き出しのなかからスッと先がクエスチョンマークみたいに曲がった薄いプラバンに柄がついた物を見せた。


「これです」


「ほう、これは業者から支給されるんですか?」


「そうです」


「これでしか開かないんですか?」


「いやあ、そう言われると.......たぶん他のなにかでも開きそうではあります」


「ですよね」


プラバンを剣の様にして遊んでいる岩井を横目に見ながら池照は言った。


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