進展3

「ここのコンビニは見ての通り女性専用が1つ、その奥に並んで男女兼用が1つあって、更に奥の正面に洗面台があります。二つのトイレの手前にドアがありますので中の様子まではわかりません」


そう言って店長の山田は防犯カメラの映像を写した。


ちょうど入り口から雑誌コーナーを歩いてトイレのドアが映るアングルのカメラがあったのでそれを池照と岩井は見せてもらっていた。


「1日分全部見るんですか?」


「いんや、マルガイが入ってから、第一発見者が発見するまででええよ」


岩井はそういうと池照に「それで良いよな?」という様な目配せを送った。


池照は頷いた。


「あの、マルガイって?」


「ああ、ガイシャ、っていうか被害者の事やで。素人さんにはちと難しかったやろか?業界用語なもんで」


そういうと、岩井はニッっと笑った。


池照は岩井が言うとお笑い業界て意味に聞こえるな、と思ったが黙って同じようにニッと笑って続ける。


「すみませんね、お手数かけてしまって、ここで見るのがなんでしたらデータだけもらっても大丈夫なので」


「いえ、全然大丈夫ですよ、こんな事になってしまって、今日は営業できませんし、私も協力できる事があるかもしれませんし.......」


随分と協力的で良かった、たぶん半分は野次馬根性なんだろうけど、下手に拒絶されるより全然良い。


「ご協力感謝します」


池照は一応そう言って笑顔を作った。


笑うと本当に男性ファッション誌の表紙みたいだな、と、山田店長は思った。

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