進展1

池照刑事は如月如鏡との通話の後すぐに先輩の岩井刑事にこの自殺は事件性が高い事とその根拠を告げた。

(因みに岩井は刑事という名前ではない。)


「せやかて工藤」


「いや、工藤じゃないですよ、池照です」


「あ、せやったか失敬失敬」


「真面目に考えて下さいよ」


池照は憮然として岩井を見た。


「真面目に考えとるがな、要は手柄を立てたがる後輩のイキリ推理を聞かされて、どうやってなだめようか真面目に考えとるよ」


「なんですか、イキリ推理って?そんな日本語ありませんよ」


「イキリオタクがあるならイキリ推理もあるやろ?ていうか、さっきの電話誰に掛けてたの?」


池照は心の中で焦った、まさか一般人に事件の事を相談していたなんて知れたら何を言われるかわからない。


極力平静を装って言った。


「誰って、昔からの友達ですよ」


ある意味ウソではない。発信履歴を調べられても裏山にしか掛けてないのだから.......我ながら完璧だ。


「如月の嬢ちゃんじゃないよね?」


その時僅かにぎょっとした顔をしてしまった。


池照は自分の未熟さを呪った。


「図星みたいやな.......例の事件の後かなり入れ込んでたからなぁ」


「まだ、なにも言ってませんよ」


「すでに顔で言ってるんやで」


やっぱりこの先輩は苦手だと思った。


普段はやる気のない風でいてどうでも良いときに信じられないくらいに鋭い。


池照は上を見上げて、大きくため息をついた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る