手巻き寿司セット

 カナコが居候して3日め。


 僕はバイト先の

 スーパーの品出しの仕事を終えた。


 帰りにスーパーを回ると

 手巻き寿司セットが

 売っていて、

 半額500円。

 買うしかないでしょ〜。


 サーモン、いくら、穴子にまぐろ。きゅうりに玉子焼き、ネギトロにカニカマと数枚の海苔。


 家で米を炊き、市販の寿司酢を混ぜて酢飯を作ろう。


 カナコは接骨院の受付の仕事を

 している。


 帰りは僕の方が早い。


 カナコが僕ん

 泊まった次の日。

 カナコは生活費にスッといくらか

 封筒に入れ渡して来た。


「いらないよ」

「部屋の使用料、食費。夏吉くん、受け取って。あのね、ありがとう……追い出さないでくれて」


 不思議なもんだった。

 あんなに好きだったのに、

 今、カナコのことは妹みたいに

 感じる。


 ああ、もう僕はカナコに

 恋焦がれた僕じゃないんだ。


 仕方ないか。

 僕はカナコに、

 2股されたんだものな。


 1度裏切った奴はまた裏切る、

 と、思う。

 万が一付き合い直したところで

 カナコと僕は上手くはいかないと

 感じるんだ。

 

 カナコに恋心はないが

 どうにかしてやろうかなとは

 思うんだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る