第16話 新宿2丁目【ピンクソーダ】の日出郎さんがテレビに出ていた。

 ひょえ~びっくりした~。

 びっくりしすぎて、顎がはずれました。


 あれは25才の頃だったでしょうか、新宿の高層ビル街で不動産の仲介営業をしていたことがありまして、仕事が終われば速攻で歌舞伎町のキャバクラを数件、ハシゴするのが日課になっていて、酔いも冷めてきた頃、今度は深夜12時前後、タクシーを走らせて新宿2丁目の【ピンクソーダ】を目指すのですが、当時ピンク色した、【ピンクソーダ】の看板は驚異的に輝いていて、見る者を圧倒した。


 新宿2丁目の聖地【ピンクソーダ】に行ったといっても、合計10回も通っていないので、たぶん日出郎さんは、私のことを憶えてはいないだろうなと思う。


 日出郎さんは、たしかチーママみたいなポジションにいて、ちょっと暗い感じで、私たちを出迎えてくれました。


 ゲイの男達から、ニューハーフの女性に御指名の電話が鳴るたび、『○○ちゃん、10円指名よー、最低ね』なんて大声で、ばっさり男を切り捨てるのも、飲み屋で彼女が初めての体験でしたし、今では遠い日の、よき思い出になっています。


 いつかは高ビーな、会社の鼻持ちならない営業事務(女性)を連れて行ったことがありまして、『ちょと、そこの、オマ○コ、目障りよ、消えてちょうだい』みたいなことを平気で言うし、女性をおもちゃ扱いしながらも、女性陣から絶大な支持を受けていた。


 あのとき、ピンクソーダの日出郎さん、峰不二子さんと話す機会があり、この経験が私の書いた電子書籍、小説【アヤと過ごした夏】に、ヘビーな話として登場するわけですが、有吉反省会を見ていたら、当時のまんまの日出郎さんがテレビに出ていて、グリコじゃないけど2度ビックリしました。


 思った以上に元気そうなんで、なにかホッとすると同時に、あんなに明るいキャラだったんだなって、彼女のことを何も知らない自分を恥じました。


 当時、看板ホステスだった、峰不二子さんは、今、どうしてるのかな?

 もう女性としてではなく、男性として生きてるのかな?


 あれだけの女性らしさを備えた男性も珍しいので、今がとても気になります。 

 たぶん、当時、ティムポは切除したんじゃなかったかな?


 当時から、胸もデコレーションして、改造していたような気がします。

 日出郎さんの話に戻りますが、番組の紹介では、【天才たけしの元気の出るテレビ】で、元祖、お姉タレントとしてデビューしていたらしく、19才でこの世界に飛び入りし、売れっ子の時には、テレビ番組を10本持っていたらしい。


 日出郎さん、一流、お姉タレントだったのですね。

 テレビに出るくらいの有名人だとは、知らなんだ。

 あ~恐ろしや、恐ろしや。


 お会いしたときは、そんなこと、一言も触れていなかったのにね。

 男装して、男の格好で、深夜12時、3時のステージで踊っていたけれど、ゲイは、生まれるときから、母親の胎内にいる時から既に染色体に異常があって、男を好きになる運命なのよみたいなことを自ら語っていたのが印象に残っています。


 【ピンクソーダ】の看板娘、峰不二子さんは、写真家の篠山紀信さんに写真集を出して貰えるほどの美貌の持ち主で、後日、数年して、渋谷の公衆便所に男の格好をして入っていくのを見かけたことがありました。


 普段、ハイヒールを履いてるせいか、歩きにくそうにスニーカーを履いて、前のめりになって歩いていたのが印象的でした。たぶん、ノンケのBOYSを捕獲しに便所の周辺を彷徨さまよっていたのでしょうね。


 【アヤと過ごした夏】を書くに当たって、【ピンクソーダ】をネット検索したけれど、該当がなかったので、もうあの場所に、既に店はないのかな? 


 でも、日出郎さんの元気な姿を見て、なんだか朝から元気をもらいましたよ。

 ピンクソーダは、小さな箱だったけど、暖かい触れあいがあったように思う。


 人を癒やす、人を優しい気持ちにさせる、どこか不思議な何かがあった。

 人間ドラマの縮図のような、いびつな感情が入り交っていて…。


 素敵な踊りを鑑賞しながら、グラスで酒をあおり…。

 あの頃よ、FOREVER!!

 青春よ、永遠なれ!

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