第11話 小売業、販売業を経験して思ったこと…。

 私は、23歳の頃、グアム、サイパン店に従事したことがあります。

 免税店にてブランド物のバッグ、ゴルフグッズ、酒、その他、諸々を販売していまして、日本の企業、社長直々の面接で採用となり、横浜の本社、海外事業部で研修をこなし、そして研修終了後、グアムに渡りました。


 当初はニューヨークに行きたくて、ニューヨーク支店を希望しましたが、英語が喋れるわけでなく、大学を卒業し、販売実績もまったくないことから、グアム店経由で、サイパン店勤務が決まりました。


 販売の仕事は、主に大きなダンボール箱に入れられて空輸されたブランド物のバッグや靴、その他のゴルフグッズなどの、インボイス・チェックに始まり、売上げをあげることが命題ですが、値付け、売上金の管理もしました。


 ブランド物のCD(クリスチャン・ディオール)、DH(ダンヒル)、ハンティングワールドなどは、価格を割り出す際の係数がそれぞれ決まっていて、仕入れ値をある係数で割ったり掛け算したりして、最終的に販売価格を割り出します。


 大体、どの品物も原価率が55~60%位に抑えられていて、販売価格の40~45%位が利益となるように価格が設定されていました。


 この利益から、人件費、光熱費、テナントの賃貸料、諸々の経費が引かれるわけです。


 最近では、ビジネス展開する業種も多様化していて、例えば、ブックオフのような古本を扱う企業、そしてリサイクル・ショップのように、仕入れ値が販売価格の5%とか10%位の企業も多くあります。


 リサイクル・ショップを例に取れば、引っ越しの際の引き取りはもちろん、場合によっては、引っ越し手伝い料金をもらう形で、高額な絵画や日常生活品、玩具など、品物を無料で処分、譲り受けることもあり、バーゲンや、学校の廃品回収、ガレージセールなどで売れ残った品物をただ同然で買い取ることもあるらしい。


 仕入れ値は、安く抑えられれば抑えられるほど、純利益につながるので、もし起業を考えている方は、この利益率について、起業の前に必ず考えておくべきだと思います。


 一番いいのは、文筆業、士業のような、何もないところから、アイデア1つで始められる仕事が1番だと思います。


 そして、もう1点。販売する際、気をつけたい項目として、回転率というものがあります。


 1つ100円のライター、原価が50円、1個売って50円の利益を生み出すライターを月に500個売るか、それとも、5万円の時計を1つ売って、25000円の利益を叩き出すか、それらの扱う品物、組み合わせが問われるのが商売というもので、経営者の戦略、腕の見せ所がここにある。


 究極を言ってしまえば、骨董品のように、1年で3つ売れることにより、450万円の利益を手にしても、商いとしては同じように成立するわけで、こうでなければいけないという縛りがないのが究極のビジネス・モデルといえる。


 安価な品物をたくさん売って利益を出すか(回転率を上げるか)、それとも高価な貴金属のような品物を月に数個、販売して、同じだけの利益を稼ぐか(回転率を抑えるか)、その舵取りはすべてオーナーに、一任されるわけです。


 こう書いてしまうと、1つ100円のキーホルダーを店先に置くことが、ナンセンスで、無駄なことのように思えるかもしれませんが、これらは入り口商品としての客引きという役目があり、レジ付近に置くことにより、精算時のついでにとりあえずこれも買っておこうかなというふうに複数買わせたり、これをきっかけにお客様に品物を買わせるキッカケ、つまり入り口商品となる。


 販売の重要戦略、お客様への告知である広告について言えば、一般的に費用対効果が問われる重要なコンテンツで、いかに最少限の広告予算で、最大限の効果をはじき出すか、1回10万円の広告を打ち、回収する金額が5万しかない商いでは、常に赤字となってしまい、商戦の見直しが迫られることになる。


 また海外では、タクシー運転手が買い物客を連れてきた時、買い物の売上げ5~10%をタクシー運転手に、バックマージンとして支払う風習が根強く残っている。


 なので、もし旅行をして、安く買い物をしたい、値引きを希望するなら、タクシー運転手に連れられてお店まで同行するのは愚の骨頂といえる。


 そして支払時、カードで、代金を支払う場合も、お店がカード会社に5%位の利用料を支払うので、やはり買い物客への値引きが困難になるケースが多い。


 もしも値引きを希望するなら、いつもニコニコ現金払いで、タクシーなどの乗り入れを極力控える必要がある。

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