第10話 勤続40年の父親と転職歴20オーバーの私、転職を繰り返すことは悪なのか?
私の父親は、いすゞ自動車に勤務して40年を迎えた。
勤続40年のご褒美として、カナダ旅行を会社からプレゼントされましたが、若い内は、それなりに気苦労が多かったと聞きました。
高校を卒業し、学歴もなく、自動車の組み立て業務を長く勤め上げた父親は、最終的に、いすず自動車本社勤務となりますが、1つの会社で長年、勤め上げ、定年退職を迎えた。
堅物のような、真面目一徹の父親は、時に、ちゃぶ台をひっくり返し、何が面白くないのか酒に飲まれる日々を送った。
つらいこともあったでしょう。
時に、便所で悔し涙を流したなんて言っていましたが、それを乗り越えた父親は、息子の自慢の父親であり、改めて立派だと思う。
対して息子の自分はというと、父親に反発するかの如く対照的な人生を歩み、軽く転職歴が20を越えます。学生時代にこなしたアルバイト数も、ゆうに4~50を越え、1つの会社に長くても5年くらい勤務しては、転職を繰り返した。
当初は、父親への反発が第一にあった。
堅物だった父親みたいには、どうしてもなりたくない。ああいう大人にだけは死んでもなりたくない。
そう思っていたので、自分の人生は自分で決める、その言葉通り、転職街道を突っ走った。
1つの会社で長く勤務するということは、たしかに会社の歯車の1つとして、任務の一部分を担うだけなので、軽んじられることがある反面、キャリアに応じて、給料は上がり、社内のポジションもそれなりに改善されていく。
対して、転職をたくさん経験するということは、たとえ会社が変わろうとも、どこでもどんな状況でも通用する、グローバルな人材へと進化を遂げることができることが第一の利点といえよう。どちらも一長一短、喜ばしいことがある反面、もちろんのこと短所がある。
転職を繰り返す人達が気をつけなくてはいけないのは、35歳を過ぎると就職の際、応募書類、書類選考で落とされる確率が一気に上昇することにある。
もし若者が転職を考えるなら、35歳までに、最適な会社を見付けられるよう配慮すべきでだと忠告申し上げる。
私は、将来、起業する目的で、色々な会社を渡り歩いた。
将来的に事務所を構える目的で購入した、六本木の30㎡の小さなマンションは、結局、貸したまま、自分では使わず仕舞いになったけど、私は一生、人に使われることを良しと思わなかった。
転職を多くするということは、武道でいうところの他流試合を数多くこなすことと同じで、どこでも、どんな状況でも勝利を手にできる、方程式の解を手に入れることに似ている。
例えば、最強のボクサーが、Kー1で、蹴りを得意とする空手の戦士に負けてしまうように、極真空手の使い手が、またキックボクサーに最強を奪われてしまうように、もしもファイターとして最強を目指すなら、小さな枠組みの中での井の中の蛙では意味がない。
やはりどの流派においても、流派を越えて、最強でなければ意味がないと思うし、宮本武蔵のような風来坊で風雲児、無骨な人物が、これからの多国籍軍率いる、グローバルな時代を牽引していくのかなと思う。
昔、よく言われたのは、日本人は金髪に弱いということ。
日本では無敵で敵なしでも、海外の多国籍企業や海外のスポーツ選手を相手にすると、途端に萎縮してしまい、外人コンプレックスが高じる余り、実力を出し切れないといわれた。
日本企業も、それと同じく、長らく評価されない不遇の時代があった。
真似した電気(松下)と言われたり、日本のアニメ、芸能が、海外のパクリだと言われた冷ややかな時代も経験した。
しかし時代は大きく変わった。
プロのテニス・プレイヤー、錦織圭選手やスピード・スケートの小平選手、音楽家であるバイオリスト、一流のバレリーナは、小さい頃から海外遠征を積極的に取り入れるようになり、海外で合宿したりして、外人コンプレックスを一掃した。心の垣根を取り払ったのだ。世界に通用するプレイヤーを目指したと言っていい。
だからというわけではないが、オリンピックという大舞台でも物怖じしない若者がたくさん育ったし、ピアノ・コンクールやテニスの世界大会でも日本人は優秀な成果を収めることができるようになった。
また、これと同じ次元のお話かどうかはわかりませんが、ミックス・ブラッド(混血)と純血の問題もこれと併行して存在する。
昔は、日本のイスタブリッシュメントが、血統を重んじるばかり、日本人の純血思考(1点重視主義)を守ってきたけれど、時代がグローバル化するにつれ、時代の後押しもあり、最強の遺伝子を残したければ、交配(ミックス・ブラッド)しなければ強い遺伝子を残せないことに気付くようになった。
品種改良を重ねる稲などの穀物、みかん、いちごなどの果物を例に取ってみても明らかなように、やはり交配を重ねていかないと、寒さに強かったり、害虫に強い作物、より甘さを追求した、より以上の品種、強い遺伝子を残せないことは明白になった。
最近では海外に国籍を持つ父親、母親と日本人の伴侶との間に生まれた日本人2世の活躍が際立っている。
テニス・プレイヤーのダニエル太郎、大坂なおみ、女子アイスケーターの長洲未来。
卓球男子、全日本選手権優勝、中学生プレイヤー張本智和。相撲界の大御所、大鵬。プロ野球の王貞治。
偉大な功績を残している多くのアスリートに、日本人の血と海外の優秀な血液が混じっていることが、それを証明している。
お話は飛躍するが、これと同じ事が仕事にも言えて、仕事も、必ずや純血思考がいいかと言えば、そうでもなく、転職が悪いことばかりでないことに気付かされる。
私は、数多く、色々な職種、業種を経験して、どの会社のどの部分が優れていて、逆にどの部分が他の会社に比べて劣っているか、よくわかるようになった。
それらが時に役に立つこともありますし、それらが弊害となり、自分の心に垣根を作ってしまうことにも気付いています。
大事なのは、多くの業種の良いところだけをかき集めてそれを企業に活かせば、それだけで企業の業績も、人も育つということです。
究極を言ってしまえば、やはり最後は、自分で理想の会社を立ち上げるべく起業すべきだと思いますが、起業するなら、やはり早い内(早いと言っても35~40歳くらい?)にすべきかなとも思う。また、若い内に、ありとあらゆる資格を取得すべきだとも思いますね。
資格は、食うに困ったとき、本当に自分を助ける意味でも、取得すべきだと思います。転ばぬ先の杖になってくれるからです。
転職する際、もしも何の目的も持たずして、ただこの会社がいやだから、給料が安いからという理由で転職を考えているのなら、私はその転職は思いとどまるべきだと敢えて忠告します。
転職するからには、やはりキャリア・アップしなければ意味がないですし、前にいた会社より境遇、給料面、やりがい、働きやすさなど、なにかしらメリットを享受しなければ意味がないように思います。
お給料というのは、働いた結果です。
会社から自分の働きが認められた対価です。
つまり給料が高い仕事には、それだけのやりがいがある反面、仕事面においてハードさを伴いますし、精神的にストレスがたまることも認識すべきです。
自分の能力以上に欲張らないことが大事かなと思いますね。
会社がいやだからやめる。
会社の人間関係がいやだからやめる。
会社における自分の主義主張が通らないからやめたい。
こういう転職を重ねていくと、何も得るものがない代わりに、転職のたびに給料は下がっていき、最後に自分の居場所を失う結果に陥る。
企業は利益追求集団です。
個人の都合を一切考慮しませんし、適材適所、あなたにふさわしい場所、部署が必ずや会社から提供されているはずです。
あなたが自分には向いていないと思っているだけで、あなたは自分の潜在能力に気付いていないだけかもしれません。
1つ言いたいのは、責任を伴わないフリーター、派遣社員などで自分磨きをするのは、いくら趣味や余暇の時間を大切にしたいからといっても、遠慮すべきだと思います。
主婦や幼い子供がいる人は、副業感覚で仕事をするのは仕方がないにしろ、大学を出てフリーターを専業とするのは、ある意味、危険です。
1度、自分のランクを下げてしまうと、次回から持ち直そうとしても、なかなかランク・アップできないことに気付くでしょうし、能力の出し惜しみは、自分のキャパシティーにキャップをしてしまうことになりかねません。
フリーターや派遣会社勤務は、何より企業に利用されるだけで、自分の為にならないことに、後々、気付くことでしょう。
利益を搾取されるだけで、自分への還元が極めてないに等しいからです。小銭儲けに精を出してはいけません。
いつの時代も、大局を見誤ると、方向性を失ってしまいます。
もしも就職先として、派遣社員を選択する要素があるなら、1度、思い切って、雇用関係から離れ、宅地建物取引主任の資格を取ったり、税理士の資格取得に向けて、猛勉強するなり自分を磨きをして、看護師、保母さんになるなり、国家公務員になるなり、自分の仕事への取り組み方を根本的に見直した方がいいように思います
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