020117【さなぎ】
通学路の途中、何もかもが嫌になって公園のベンチに座った。雪の日の事だった。理由は特にない。
学校では特別仲が良い友人がいるわけではなかったが、平均的な日常が続いていた。
しかしそれが、どうしようもなく耐えきれなくなった。
前からどこかで分かっていたのかもしれない。一滴一滴そういった日常が私を削っていき、いつか壊れてしまう事に私は気付いていたのかもしれない。
小さな公園であったため、人は居なくて、一面に雪が積もっている。
私は前に倒れこむように崩れ落ちた。
抱え込まれるように雪に沈み、それが自分の体温でどろどろと溶けていくのを感じる。
私は不安な気持ちでゆっくりと目を閉じた。
夜になってからどれくらい時間が経っているのか分からない。けれど、既に相当の時間が経っていることは分かった。
これだけ冷えているにも関わらず、雪は降り積もるどころか一切無くなっていた。
そこでようやく、私はもう先程までの私では無くなってしまったのだと気が付いた。
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