020110【茂みの中の猫】

夢を見た。

 お風呂から上がり、ベランダに出ると火照った身体の熱が急速に奪われた。また、それが心地良かった。

 見下ろすと管理のしていない畑がある。猫が数匹見えた。小鳥を茂みの中から狙っているようで身を屈め、真剣な表情に見えた。

 小鳥は猫の存在に気付いていないようで、二羽も枝から降りてきて三羽になり地面をつついている。

 猫が忍んでいる場所に、その中の小鳥が一羽近づいた。

 猫は後ろ足に力を入れ、バネのように今にでも襲いかかろうとしていた。

 小鳥はそれでも何も知らない。

 そして、もう手を伸ばせば届きそうな、そんな距離に近づいた瞬間だった。

 猫は後ろの二本の足ですくりと立ち上がった。

 私は呆気にとられた。

 小鳥は必死になって逃げていった。

 猫は直立したまま、逃げていく小鳥を眺めていた。

 そして、不意に私の方を振り返るように見上げた。私は、恥ずかしい気持ちになった。

 猫はにゃあと一言鳴いた後茂みの中へ去って行ってしまった。

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