2話:売春後の心境の変化
私が谷さんと会っている間にもメンミク等で何人かお客さんと会ったので、今回はその方達を紹介します。
この時期に谷さん以外で一番記憶に残っているお客は、16歳の私と殆ど年齢が変わらない男の子が
「1万しか出せないけど手コキだけしてくれ」とメンミクでかけあってきた事です。
16の高校生が1万もの大金を持って手コキしてくれというのは、正直びっくりする。
というか、どうやって高1でそんな1万も用意したんだ?
他に記憶に残っている人物は売春を始めてから連絡を取らなくなっていた20代の大学生。
売春を始める以前にはちょくちょく会ってセックスしていたのですが、売春を覚えてからというもの正直タイプでも無いし....と言うのでその人からくるメールを全て無視していました。
何故この大学生が記憶に残っているかと言えば、ずっとメールを無視していたところ
「お金払っても良いからもう一度会いたい」とメールが来たからです。
これには鈍感な私も少し罪悪感を感じました。
当時の私は売春を始めて以降、金銭のやり取りが発生しないセックスについて考えられなくなっていました。
それは何も売春だけでは無く、男女の関係にしても...
女性や少年少女とセックスする際はその未来をセックスによって奪っているのだから、
当然対価を支払うべきであり、それは同じく未来に直結する金が最適であると。
よくヤりたい女に男が食事を奢るなんてのも有りますが、食事なんぞ半日も経てば消化され糞便としてトイレに流れてしまう、
となれば相手の未来を(セックスによって)奪った対価として金を渡すのが一番では?
当時の私のセックスだけを取り出し、恋愛を認めない事を前提とした考え方は、
4Pをしたいと思い売春相手に「金要らないから集団で犯してくれませんか?」
と一人ずつ声をかけていたら、
「金払うから一対一でヤらせてくれ」
と返ってきた経験などの積み重ねによる驕りなのでしょうか?
その事の答えになるのかは分からないのですが....
さっきの「金払うからもう一度会いたい」とメールしてきた大学生に私が罪悪感を感じたと書いたのは、このメールが非常に哀れに思えたからです。
この大学生のメールを哀れに思うのは、ひいては私の傲慢さの裏返しでもあるでしょう。
そして例の16歳の少年、炎天下の中「良い障害者用トイレがあるから」
と延々梅田の中を歩かされ、良い加減痺れを切らした私は適当なビルの共同便所で手コキし抜かせました。
しかし、1万円は結局受け取りませんでした。
というのはプロとしてのプライドだとかたいそうな物ではなく、(そもそもプロとしてのプライドなんぞはなから持っていませんが)
ただただ虚しく感じたからです。
これほど金銭の授受が発生する性行為において虚しく感じた事は後にも先にも有りません。
今なら分かります、
当時の私の「セックスだけを取り出し、恋愛が存在しない事を前提とした考え方」
の間違いが。
それは前回にも書いた、
「売春婦からセックスだけを取り出しセックスを商品化する事で売春婦をロボットにしてしまう」
考え方に反発していた癖に、当時の私は全く同じ考え方をしてしまっていたという事が間違いの元凶だったと。
その事は売春から距離をとった今だからこそ理解できる気がします。
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