題4回:本格的な売春 1話:初めての客
私が初めてメンミクで出会ったお客さんは谷さん(仮名)と言い、谷さんは半日デートコース8000円をお選び下さいました。
時間や場所を指定し、同日夜、会う段取りとなりました。
(ところでこの頃私は高校に嫌気がさしており、何もかも捨て東京へ家出しようと思っておりました。)
当日夜、谷さんに呼ばれた私は、
「お腹空いてない?」
と谷さんに言われ、ピザで有名な某イタリアン店へ行く事になったのですが、私はダダをこね、「すいません、酒飲ませてくれませんか?」
と何度も頼んだところ、初めは困惑し拒否していた谷さんも余りのしつこさに折れ、
「一杯だけなら...」
との事。
(私は高校に入った時から、親からの昼食代を酒に変え、一杯ひっかけてから高校へ行くという生活を続けていました。)
イタリアン店で酔った私はぽろっと、谷さんに対して「明々後日(しあさって)東京へ行こうと思ってるんだ...」
谷さんは帰り際、「今度宿泊出来る?」
と聞いてきたので、値段を聞くと、谷さんは「宿泊とフェラしてくれるだけで3万払う」
との事。
私は勿論OKしました。
東京への金はなるべく貯めておきたかったし、金が有るに越した事はないからです。
私は近々東京へいくことや、売春を始めた事を泰輝さんにメールしました。
泰輝さんからは「身体売るのは危ないから辞めた方がいいよ」だの、「お金ならアルバイトとかで稼いだ方が良いんじゃない?」等々...
「しかし泰輝さんは恋人にはなってくれなかったじゃないか!」
もしかすると、泰輝さんが恋人になってくれていたら私は売春もせず東京へ行こうともしなかったのかも知れません。
と言うのも、第一回でも述べたように、売春や出会い系は私が他人から求められる唯一の手段だったからです。
そして、私は泰輝さんを求めたが、泰輝さんからは求められなかった。
そう言えば、谷さんと信頼関係を築いたもっと後の話になりますが、一緒に酒を飲んでいた時の事です。
谷さんが酔った勢いで自身も未成年の頃から酒を飲んでいた事を話してくれました。
彼自身も子供の頃シングルマザーで貧乏で、一時期鬱病になりアル中寸前のような生活をしていたという事を。
私はその話を聞かされた時、一緒に酒を飲みながら、もし私に売春の機会が無かったら、同じくアル中として鬱病にでもなっていたのだろうかなどと考えていました。
話を戻します。
泊まりコースで三万貰った帰り際、谷さんは「どうしても東京に行きたいの?」と聞いてきました。
私は「どうしても!」と。
谷さんは色々察したのでしょうか?
それとも、引き止めておきたかったのでしょうか?
「東京行く代わりにこれからは一カ月に最低でも二回は会おうよ、お金はいつも通り(3万)払うしさ」
一カ月に6万というのは、高校生にとっては破格の値段です。
私は東京行きを取りやめる事にしました。
結局、私にとって売春は金を稼ぐ為の手段でしか無かったのでしょうか?
当時の事なので推測するしか有りませんが、私が東京行きを取り止めた理由は、金に釣られたようにしか見えないからです。
しかし私の気性であれば、金を貰って結局東京へ行った事でしょう。
(現にこの1年後、私は東京へ行く事になります。)
当時東京行きを取り止めた理由を金銭以外で考えるとすれば、私にとって売春は承認欲求を満たす為の手段にもなっていたという事です。
恐らく谷さんによって私の承認欲求が満たされたのでは?
しかし東京行きは取り止めても、売春を取り止める事は出来ません。
それは谷さんが泰輝さんのポジションにはなれなかったという事でしょう。
結果的に言えば、私にとって売春は人を愛する手段にも、自分を変える手段にもなったのです。
谷さんは、私にとって泰輝さんとは違う恋愛と売春の入り混じった別のポジションになったし、
そして私は、売春に出会っていなければ、アル中の鬱病患者として一生引きこもっていたままでしょうから。
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