第2話パンドラの匣

「村上准教これはいったい?」

「そう、新種の病原体、インフルエンザの感染力と、狂犬病並みの致死率が考えられるおぞましいやつだ。」

「このシャーレの中だけに存在する悪魔・・・ですか?。宿主となる人間への感染も、発病も見ない今、もしこの菌が外部に蔓延でもしたら・・・」

「この世の地獄だろうな」

「冗談でも恐ろしいことはいいっこなしですよ、薬剤耐性も、かなりのものでしょうね」            

「それ以前の問題だろうな、いたずらに今騒いだら世間の混乱を招くだけだ、この話はここだけに留め置こう」

「パンドラの匣って奴ですね」

「悪い冗談だな、パンドラの匣の中身は確か希望だったと思ったが、こいつはただの絶望でしかない」 

「パンデミックにでも陥ろうものなら 中性ヨーロッパのペストの再来?」

「いや、それ以上かもしれない」

 魔界の牛頭馬頭によって目覚めさせられた牛鬼が、現世に解き放たれた瞬間だった。

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