四日目「リョコウバトのへや」
「トモダチ」とは…フレンズと言う言葉ではわかってるつもりだったが、僕はフレンズを無意識のうちにただの動物の象徴として捉えていた。彼らはそれぞれ考えて生きているのに、僕は考えながら部屋に向かっていると、隣でも考え事をしているリョコウバトがいた。
「どうしたの?リョコウバト!」
「私嘘ついていましたわ!」
「え?」
「私キュルルさんのこと嫌いでしたの」
「ま、まあそうだね」
「でもなんで嫌いなんでしょうと、お風呂に入ってるときに考えていましたわ」
「そ、そうなんだ…」
「お風呂の後もずっとキュルルさんのことを考えていました…」
リョコウバトは言葉を選ぶように話す。
「それで最近になって私はキュルルさんのこと実はそんなに嫌いじゃないと今気づきました…」
「え?」
「私がキュルルさんが嫌いだったのは「人」だからなんですの」
「そうなの?」
「はい」
僕はリョコウバトが僕のことをどう思ってるか知らなかった。
「…」
え?じゃあ僕のことは嫌いじゃないってことなの?
「あの…ですから…その…虫のいい話かもしれませんが、あの改めて私もトモダチになってくれませんか?」
「……!!?本当に?」
「はい!」
僕らは一緒にリョコウバトのへやにいった。
「あ、そういえばこないだキュルルさんが絵を描いてくださったと聞きました」
「え?知ってるの?」
「ぜひみせてくださいませんか?」
「私みせたいものがあるんです!」
リョコウバトはキャリーバックを開けた。キャリーバックには、たくさんのお土産があった。その中に小さなウシの石像がある。その目が光った気がした。
「あの…これ?なに?」
「これは昔、「ヨンメン」と呼ばれる都市で貰った小さなウシのフレンズの象ですわね。確か友達のオーロックスから貰った…」
「ヨンメン…?都市…?オーロックス…?」
「都市ってのは人が昔いっぱいいた場所ですわ!オーロックスは「ヨンメン」という都市に住んでいた牛のフレンズですの。その方からこの牛のフレンズの象を貰いましたわ」
「ふ~ん…」
そのあとリョコウバトはいくつかお土産をみせてくれました。
「あの…絵をいただきたいんですの!もしよかったらこの土産のどれかと交換してくれませんか?」
「いやそんなの何もなくても描くよ」
「え…」
「だってそれ大切な思い出でしょ?お土産なんてなくても僕のことをそんなに思ってくれるんだもん」
「はい!あ…でも…いいんでしょうか?」
「もちろんだよ!リョコウバトは僕を救ってくれたんだもの!」
「救ってくれた?…そんな恐縮ですわ…キュルルちゃん」
「ふああん」
僕は疲れていたのか、大きく欠伸を出ました。
「うふふ、今日は遅いから明日やりましょう…」
「じゃ、じゃあ明日やろう!明日!」
「お願いしますわ…」
リョコウバトはなんだか下を向いて恥ずかしそうにしている。
「どうしたの?」
「あの…今日一緒に寝てくれませんか?」
「え?聞きましたこのところセルリアンが出てるって…だから…」
「……うん…わかった…一緒に寝ようリョコウバト…」
「ああ…誰かと一緒に寝るのはすごく久しぶりですわ…」
「僕はまだ…ねむ…ふぁ~」
「って…もうキュルルちゃん寝むそうですわね…!うふふ…」
「ねむくないよ…」
そういうとこは子供っぽいのね…包み込む闇の中にリョコウバトの瞳は月光で優しく光った。
「キュルルちゃん…キュルルちゃん…安らかに…安らかに…眠りなさい…」
リョコウバトはキュルルの頭をなでなでしながら優しく声をかける。僕はリョコウバトの膝に頭をつけた。
「リョコウバト…」
キュルルの目から雫は落ちた。
地獄めぐり サンハテナ @steeldevar
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。地獄めぐりの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます