四日目「ようい」

夜に四人で全員で食事会をすることになった。キュルルはリョコウバトに参加するか聞いた後で、オオミミギツネに食事会の手伝いの内容を聞きに行く。


「あっキュルル君?お話終わったかな?」

「うん」


キュルルは笑顔と返事をもって答える。


「そうだ!これ読んでみて?」

「なにこれ?」

「私のつくったパンフレット」

「パンフレット?」

「このあたりにあるものと場所がわかるの!私が描いてつくったのよ?」

「え!つくったの?」


紙には簡易の地図と一緒に建築物やフレンズの顔が描いてある。


「えーとここがパンやさん、ここが私の元の家でーここが布とか貰うところで、ここがこのホテルね!」

「へー」

「どこか行ってみたいところある?」

「うーん?あ、ここってなんですか?」

「どこどこ?あーこれはね…私の隣のお家だから…」


指をさしながら思いだすオオミミギツネ。


「ハイエナさんの家かな?」

「ここは?」

「ここはよくわからないけど建物があるね」

「ここは?」

「ワシさんの家ね!」

「あ、ここってイエイヌの家ですか?」

「知ってるんだ?イエイヌ自警団の家ね!」


じけーだん?ってなんだろう。


「自警団ってなに?」

「自警団はこのあたりの治安維持を行ってる組織だよ」

「あ、そういうことか。あれ、でもだったらセルリアンについて頼めば良かったんじゃない?」

「自警団は博士とかと違ってセルリアンは専門じゃないから頼みずらいのよ!それにハブがイエイヌ苦手ってのもあるし!」

「まあ確かに…」


イエイヌはわりと行動が読めないフレンズだからハブが苦手なのもわかる。


「博士はどこにいるの?」

「これには載ってないね!」

「あ、そうなんだ」


博士は前に一回カラカルとサーバルの三人で旅をしているときに出会った。わりと賢ぶってるけど抜けているところのあるフレンズだ。でもホテルの野菜も博士が作らせたらしく、野菜や植物関連の知識がある。野菜を育てる傍らセルリアンの対峙方法も知識を集めてるとも聞いた。わりと他のフレンズに頼りにされているみたいだ。


「博士の周りも気になる?」

「えーと…ちょっとだけ…」

「ふーん…じゃあ他のところもつくるか考えようかな…あっそういえば関係ないけど博士って新しい子雇ったんだよね?」

「え?あれ?僕がいったときは博士と助手だけだったけど」

「そうなんだー私が聞いた時は「よーじんぼうを雇ったのです」って博士が言ってたけど」

「へー」


どんな人なんだろう?博士たちがわざわざ雇うってことは相当強いのかな。


「ずっとフレンズやセルリアンと戦ってきたらしいよ」

「ふーん…フレンズと戦ってきた?」

「なんかフレンズとはスポーツ?やチャンバラごっこ?で勝負をしてきたらしいよ」

「ふーん…」

「ね!このパンフレットいいでしょ?今度外にいくときにあげるよ?」

「え!本当に?いいの?」

「もちろん!」




会話の後は食事の準備のためにブタさんがいろいろやってる間に飾りつけの手伝いをする。色のついた紙での飾りつけは誕生日会みたいだった。


「もうちょっとで終わりね?」

「ちょっと倉庫に行きたいな」

「倉庫?ハブのだよね?」

「うん、ちょっと作りたいものがあって……こういうのなんだけど?」


僕は飾りつけ用に使った色のついた紙をとって裏側にイメージを簡単に描いて見せる。


「へー良さそうね!」

「いいよね?」

「ねぇ!これさ!良かったら私にもちょうだい?」

「いいよ!数があったらね?」

「ありがとう!」


そして飾りつけも終わり僕たちは倉庫に向かう。


「あった!これ!」


僕はハブさんが集めた倉庫にあった貝殻を見つけた。この貝殻は普通の貝だけど、自然に穴が開いたものを拾ったものだ。数も結構ある。


「よし!」


ハブさんの話ではこの貝は明確な目的があって集めたわけではなく、何かに使えないかなと拾ったものらしい。


「キュルル君どう?できそう?」

「オオミミギツネさんのもできそうだよ!」

「それはいいね!じゃあ頑張って!」

「うん!オオミミギツネさんもね!」


僕は自分の部屋に貝殻を持ってきてアイデアを紙に出す。時間はまだ真昼前、時限は夕方、とにかく時間内に終わらせることが目標しよう。僕は急いで書いていた。


「キュルルさん来ましたね!」

「あとはどなたがくるんでしたっけ?」


僕はホテルロビーに顔を出した。確かオオミミギツネさんはレストランの飾りつけの確認をしている。


「えーとオオミミギツネとブタと僕とリョコウバトだから…」

「オオミミギツネさんとリョコウバトさんですね」


ブタさんはうんうんと納得するように頷く。


「そういえばリョコウバトさんといえば、昼間にパンを貰いました」

「あ、僕も貰ったよ!」

「あのパン、美味しかったですね」

「うん!そうだね」


リョコウバトさんは午前のうちにパンやにいってパンを買ってきたようだった。それを僕らにパンを配っていた。


「そういえばキュルルさんはちゃんと話すのはお手伝いの時以来ですね!」

「そういえばそうだね…」

「お手伝いのときは結構お話ししましたけど…お風呂ではお話できませんでしたし」

「朝のときも夢のことちょっと話したくらいだけだしね」


手伝いをするようになってから随分と僕の気持ちにも変化があった。ただ絵を描いて怠惰な生活を過ごすだけでなく、人との関わり合いで相談できる人や仲良しの友達もできて好きな人もできた。


「あの夢のお話は驚きましたよ!」

「ブタさんは夢をみたことある?覚えてる?」

「私ですか?私は、ほとんど覚えてないですけど…お掃除の夢とか」

「あとフレンズ前の夢とか」

「え?それってブタさんの?」

「はい!」


正直僕は人として過ごしてきたからブタというとどうしても食べることが頭に浮かぶ。それを考えるとどんな思いで夢をみているのだろう。


「え、それって嫌じゃない?」

「どうでしょう?…のんびりとした食べてる夢ならいいんですけど!ちょっと激しい夢だと嫌ですね!」

「あ、きたよ!」

「あ、本当ですか?ほんとですね!じゃあちょっと先に行ってますので!すぐきてください!」


リョコウバトは廊下からオオミミギツネはレストランからやってきた。オオミミギツネと入れ替わるようにブタがレストランに入っていく。

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