三日目「ハブのおみやげや」

「ふぁ~あ…」

「キュルル君、眠いの?」


眠い。何故か昨日は寝たはずなのにすごく眠い。


「うん…」

「私も昨日からなんだか眠いのよねー休む?」

「大丈夫です…」

「まあーほどほどに頑張ろうね」


オオミミギツネさんが迎えにきて心配してくれた。

夢だった。昨日のことは夢だったようだ。夢だけど物凄く現実味があって僕はリョコウバトに申し訳ない気持ちがいっぱいあった。


「大丈夫か??」

「うん…」


移動中に僕は時折眠気に襲われる。眠ったはずなのに眠った感じがせずにまだボーってしている。

そんな僕の表情をみてハブも心配してくれる。ここの人たちの優しさがすこし嬉しい。


「まあ店には大して人来ないし休んでもいいぞ?」

「いやでも…オオミミギツネさんに言った手前休むわけにはいかないよ」

「まあそれでもいいけど、倒れたりしないようにな」


そんなこんなでお手伝いが始まる。




「ハブはいつも何をやってるの?」

「ジャパリまんじゅうを数えてる」

「?」


僕はよくわからなかった。ジャパリまん数えることがこの仕事なんだろうか?


「なんで?」

「記録しておけば減った数とか増えた数がわかるだろ?」

「減った数?誰かに食べられたの?」

「まあそれもあるけど…ジャパリまんは交換にも使えるからいっぱいあった方が何かと便利なんだよ」

「ふーん」

「もっと聞きたいことあったら聞きな?お土産のことだったら答えてやるぞ」

「じゃあこれは?」


僕は瓶に入った虹色の固体を示した。ハブは説明する。


「携帯用サンドスターだな。これを使えば怪我とかが一瞬で治るし、モノの修理にもある程度効果があるしいろいろ使える」

「これは?」


何か無地の白い箱から何か鉄の針金みたいなのが出ている。


「白い線とばちばち言いながら音がでる箱、博士にところにあったのを真似してつくったものだ」

「何の意味があるの?」

「面白いだろ?あと触ってみればわかるけどびりびりして面白いんだ」

「このぬいぐるみは?」


色とりどりのある布を使ったブタとオオミミギツネとハブに似せたぬいぐるみがある。


「これは…羊から貰った布に色で塗って切って縫い合わせてから綿を詰めたものだな」

「これって自分でつくってるの?」

「もちろんそうだ!ここらへんにあるのはほとんど自分でつくったり元からある道具を活用したりしてるぞ」


その後も客がこないから僕はかたっぱしからハブに説明を求めた

……


「ふー…そろそろお店を閉めるか」


夕方になってお店を閉める時間になったようだ。結局お店には誰も来なかった。


「誰もこなかったね」

「まあしょうがない、それにお客はいっぱいくればいいってもんでもないだろうしな」

「ハブはお客がきてほしくないの?」

「いやそういうわけじゃないが、こんなところに来てもらう方が大変だろう」


まあ確かにこのホテルは陸とは繋がっておらず、海を渡れるフレンズはともかく普通にいくには小舟をのっていかなくてはいけないから大変だ。


「それにいっぱい来てもどうせそこまでたくさん商品はないし、必要じゃなきゃ別にいいじゃないかな?」

「ふーん」

「そういえばそのジャパリまんはどっかから貰ってるの?」

「あーこれか?これは博士に最初の資金として貰ったのと稼いだ分だよ」


「土産をつくるのにもつかってるのと、後オオミミギツネたちの食料としてもすこし使ってる」

「フレンズは珍しいものが好きてフレンズによっては高く売れたりするんだぜ」

「へー」


ちょうどそこにリョコウバトが通る。


「あ、リョコウバトさん!!」

「え…あっ…キュルル…さん…」

「リョコウバトさん!あのーここ土産屋さんだからせっかくだからみててってよ?」

「えーと…はいわかりましたわ…」

「何かほしいのない?」

「えーとじゃあ」


リョコウバトはすこし考える素振りをみせてから


「このブタさんのこれ!と…あ、あとこれがほしいですの…」

「ブタのぬいぐるみねと写真ね!」


リョコウバトは森の風景の写真とブタのぬいぐるみを手に取る。


「じゃあ大きいジャパリまん五つで」

「それじゃあ…これで…ジャパリまんはこれぐらいでいいでしょうか」

「ああ、いいぜ」

「あ、それじゃ…」

「おう!またこいよ」


リョコウバトはキャリーバックからジャパリまんを出す。ハブはテーブルに置かれたジャパリまんをしまう。

リョコウバトはさっさと消えてしまった。

あ…また絵を渡しそびれた…というか持ってきてないや。


「おい!キュルル!今日は話聞いてくれてありがとな!」

「いやいや僕が一方的に聞きたかっただけだよ!こちらこそありがとう!」

「まあまあ!お互い頑張ろうな!へへへ!」


ハブはニーっと歯を見せながら笑う。


「あ、そうだ!今日は大浴場に入れよ!」

「大浴場ってあの大きなお風呂?はいっていいの?」

「なんだ知ってるのか!入っていいに決まってるだろ!そうだな!今日は頑張ったしゆったりしな!」

「そ、そうなんだ!ありがとうハブ!じゃあ部屋に荷物をとってきて入るよ!じゃあ!」

「ああ!じゃあな!……さて」

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