第9話
はい、準備ができましたし、早速茶番をしていきましょう。
一部記憶の改竄をやっておけば良いだけかと思うかも知れませんが、それだと下手したら記憶がごちゃごちゃになり、廃人になる可能性が大きいですから、話しながらそれとなく改竄する方が、安全なのです。
「天南の準備は万全ですかね」
「えぇ、大丈夫よ」
どうやら、いつもの天南に戻っているようです。これからは彼女のまえで油揚げの話題を出す事は、少なくしましょう。またなんか幼少期?に退行されても困りますからね。
「はい、お疲れ様。
子供をこの部屋に運んでくれた、纏威を式神符に戻し、部屋に入ります。
「・・・!」
部屋の中は、かわいい子供部屋です。お人形、子供用勉強机etc. とにかく沢山の子供むけのものが置かれています。壁紙はピンクです。
「ひっ」
件の子供がこちらに気が付き、ベットの布団を使って包まって隠れてしまいました。
まぁ仕方が無い事でしょう。外がうるさくて、目が覚めて、テントの外にでたら、目の前で家族が殺される。すくなくともそんな光景を見ているのでしょうから・・・
「あらら、天南 かくれちゃいましたよ」
「なにその、表面だけ悲しんでいます。って言う顔は・・・」
「あら、ばれちゃいました」
「この程度で悲しむような奴じゃないでしょう」
「まぁね」
私と天南との一連のやり取りを、布団の隙間から件の子供が、うかがっている。
まぁ目が覚めたら、どこかの部屋で、人が入ってきたら、こうなるか。少なくとも先ほど考えたように、目の前で家族が化け物に殺された。っと言う状況を目にし、それで精神が正常なら、それは私達と同じただの化け物だ。
「・・・天南?」
「えぇ、そうよ」
どうやら天南とこの子供は面識があるらしい。・・・は?
「面識があったの天南」
ボソリと耳打ちして質問する。
「いえ、ちょっと前のパーティーで挨拶したぐらいよ。ただその時、ホテルが一緒で正体を見られているの・・・記憶封じで誤魔化してたんだけど、とぶんこれは解けているわね」
「なるほど」
ボソボソと子供を目の前に、話しあっているが、大丈夫そう。首をかしげて、こっちの様子を観察している。
「そっちの女の子、誰なの?」
たぶん天南への質問だろう、天南が答えてくれる。
「この子は刻茶って言うの、私の友達よ・・・」
・・・私が居ない方が話しが、スームズに進むんだろうな、と考えるとすっごく、この場から離れていたいな。って気持ちが湧いてきた。
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