龍を探す旅
サラサラと灰になって崩れ落ちるエルギオネル・クロウ。
やはり竜神王が征した聖域とはデバックルームだったのか……。
デバックルームの力を使えば、確かにHPを無限にしたり本来は様々な段階を踏んで到れるはずのエルギオネル・クロウの第2形態へも、楽々なる事が出来るだろう。
「……信じた人間に裏切られ、堕天使となって魔王になる運命を否定した先が竜神王の手先か。」
ゾウマの話では龍神王達はデモクエのストーリーを否定する為にデバックルームを占拠したらしいが、エルギオネル・クロウは幸せだったのだろうか?
己の意志のまま邪悪であり続けた大魔王の言葉を思い出す。
「我は
「珍しくしんみりしている所申し訳ないのですが、シュウ様。ちょっと宜しいでしょうか?」
フィルが後から声を掛けて来る。
「先程のエルギオネル・クロウとの話からすると、シュウ様は龍神王の居場所に心当たりがあるのですか?」
あぁ、その話しね。
聖域。
つまり、デバックルームの場所だがシリーズ事に行き方が違う。
龍神王はデモクエシリーズでも4~6に出てきたキャラクターだ。その中でもメインストーリーにガッツリ絡んできたのはデモクエ5だけだったはず。
つまり、デモクエ5のデバックルームこそが奴の根城という訳だ。
「あぁ。エルギオネル・クロウの反応から見ても間違いないだろう。ラインバルト王国北の古代遺跡の毒の沼地にある隠し階段の下だ。」
正確に言うなら、本来は遺跡の壁があって侵入出来ない為、オープントレイと言うバグ技を使わないと入れないがな。
オープントレイ。
つまり、ディスクがROM媒体として使われているプレステとかWii何かで使えるバグ技である。
やり方は簡単。プレイ中にソフトのプレイ中にディスクトレイを開けるだけ。
これによりディスクからデータを読み取れなくなるので、画面外のロードの完了していないフィールドの地形が何もない真っ黒な状態となる。
この状態が発生した場所には元々の地形に拘わらず侵入することが可能になり、海や岩山があるはずの場所を徒歩で移動したり、逆に船で陸地を突っ切ったり出来るようになる技だ。
ちなみに最近のタイトルでは対策されており、この技は使えなくなってしまっている。
だがこの世界は現実だ。
壁があるなら壊せば良いし、山があれば乗り越えれば良い。この辺りはどうとでもなるだろう。
「……ほんっと相変わらずだな。私達がどれほど苦労して世界中を駆けずり回ったと思っている。」
ジト目で腰に手をやり、口を尖らせるステラ。
美人系のステラが年相応な拗ねた態度を取るとギャップがヤバいな。結婚して欲しい。
「あれだけ苦労しても見つからなかった聖域の情報がこうもサラッと出てくるなんて、流石シュウさんです!」
こう言うのを花が咲く様な笑顔と言うのだろう。
名前こそ白百合だが、まるで満開の向日葵の様な明るい笑顔でリリーが褒めてくれる。
よし。結婚しよう。
「ホントしょうがないなぁ。お父さんは。
でも、1人でアルスガルドにいたんでしょ?
大丈夫だった?どこか怪我とかしてない?」
何だかんだと俺の心配をしてくれるミレーヌ。
白銀の聖女の2つ名に恥じない聖女っぷりだ。
もう少し大きくなったら結婚したい……。
「―――少し見ない間にちょっと積極的になってません?まぁ思うだけで、行動に移さない辺りがシュウ様らしいですが……。」
俺の考えを読んだのだろう。
フィルがコソッと耳打ちしてくる。
身長差がある為、プルプルと背伸びをしている。
……可愛い。
それに耳にフィルの甘い吐息がかかって何だか…。あ、やべ。
「……花嫁衣装で、ですか。それはそれで問題はありませんけど……、え、えぇ?れ、礼拝堂で……ば、罰当た……うわ。えぇ……。」
俺の妄想を読み込んだのか、うわー何て言いながら顔を真っ赤にするフィル。
ふむ。どうやら満更でもないらしい。
やはり結婚するしかないな。
しかし、確かにフィルの言うみたいに知らず知らずの内に俺自身、積極的になっているかもしれん。
「どこぞの大魔王の影響かなぁ。
世界や神の筋書き何か知ったことじゃあない。
我は我がままにってな。」
「旦那……。それはつまり、これ以上好き勝手にやるって事ですかい?」
あっるぇー?
割と大人しくやってたと思うんだが……?
「貴方の常識は世間の非常識。私もたまにオルテに言われる。」
まぁシトリーはな……。
なんて言ってもベースは破壊神だし。
「何にせよ龍神王の居場所が分かったのは僥倖。
これで龍を探す事が出来る。つまりドラゴンクエ―――。」
「や、やめろ!それ以上はやめろ!そもそも龍は見つかってるの!クエストはしないの!つぅか、何で毎回そんな危ないネタぶっ込んでくるの!?破壊神だからか!?」
ぜェぜェと肩で息をする俺を満足気に見つめるシトリー。
……え?シトリー。
「うん。元気そうで良かった。無事にエルギオネル・クロウを倒せたようで何より。」
「な、なんでここに?」
俺の目の前にはつい先程、俺をハンマーでぶっ飛ばしたシトリーが立っていた。
あの別れは何だったんだよ……。
「あのまま宙を蹴って飛んで来た。余裕。」
無表情だがフンスと鼻を鳴らしてピースしてくる。くっ。可愛い顔して脳筋なこと言いやがって。
やはり結婚するしかない……!
「それはそれで良いでしょうが、シュウ様?」
「やっぱり増えましたね……。シュウさん。」
「お父さん……」
「シュウ。囲う女を増やすのは良いがしっかり責任は取るんだぞ?」
お、おう……。し、視線が痛い……。
この後めちゃくちゃ質問攻めに合った。
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