光
言ってやった……!!
言ってやったぞ!!
ダイ大の名セリフ!一瞬だけど閃光のようにって!
しかも相手はかの有名な大魔王ゾウマだ!
世界広しといえど、大魔王にあの台詞を直接ぶつけられたデモクエファンは俺だけだろう。
テンションが上がり、背中の痛みも忘れると言うものだ!……嘘だ。やっぱり痛いものは痛い。
シトリーを庇った時に右の肩甲骨周りを抉るように氷の柱が当たってしまった。
アドレナリンが出ているのか、そこまで痛みは感じないが、身体を動かすとズキズキと痛みと違和感が凄い。
これ間違いなく鎧を貫いているよな……。
格好を付けて火炎斬とか発動させてみたんだが、剣を振れる気が全くしない。
【閃光の様な生、か……。くっくっくっ。くはははははははははっ!!良い!良いぞ!勇者よ!
それでこそ我が愛しき宿敵よ!】
何か大魔王様テンションアゲアゲじゃん……。
これは不味――。
「
!?
突然、柔らかな光が辺りに降り注ぐ。
これは回復魔法……!
【ぐっ!この忌々しい光!貴様か!死を導く理!】
「シュウはやらせない!私が守る!」
おぉ!!よくよく考えれば、長いデモクエシリーズでも初のゾウマとシトリーの絡みじゃないか!!
これはレアイベントだ!
くそ!スマホの充電がもうない……!
「ぬぅおおおおおおっ!!喰らえぃ!!」
1人スマホの充電の心配をしている俺をよそに吹っ飛ばされていたオルテガスが戦線に復帰する。
さっきまで瀕死だったとは思えない軽快な筋肉舞闘を見せつける。
シトリーの回復魔法の範囲に引っかかったのか傷もなく元気いっぱいだ。
【ぐっ!に、人間めっ!】
おや?何だかゾウマの動きが鈍いな……?
……あ!そうか!
回復魔法か!!
「回復魔法だ!シトリー!ゾウマを癒し続けろ!」
「分かった!
【ぐゎあああああああああああああっ!!や、やめろ!!な、なぜ暗黒の衣を無視して……!?】
ふははははっ!!
そりゃあそうだ!暗黒の衣はあくまでも攻撃を無効化するだけだ。回復や補助魔法までは防げない!
決して無敵のバリアじゃあないんだよ!
それにそもそも――。
「この世界には魔王や大魔王は何柱もいるが、明確に『魔』そのものと謳われる存在はお前だけだよなぁ?――全ての魔を創りし者。創魔!!
そんなおまえには癒しの光はよく効くだろう!?」
初期版のデモクエ3ではゾウマに回復魔法を掛けると結構な大ダメージを与えられる。
プレイ動画ではひたすら薬草を投げつけて倒すなんて動画もあった。
全ての魔を創り出したと言う設定のゾウマならではの仕様と言えるだろう。
【あぁ、そうだ。我こそは創魔。光の敵対者にして、この世全ての魔を創りし者!その忌々しい癒しの光など呑み込んでくれるっ!】
再度ゾウマの周りに黒い吹雪が吹き荒れる。
「やらせない。私は死を導く理。命ある者達の終着にして始まり。人に寄り添い、生と死を導く者!
人の光を闇に呑み込ませたりは絶対しないっ!」
負けじとシトリーが俺達を中心に癒しの魔力を降り注ぎ続けた。
ゾオマとシトリーがその莫大な魔力を解放し、氷と癒しの魔法の余波が辺りに荒れ狂う。
【くっくっくっ。やはり龍神王の誘いに乗る必要ななどなかったな。大魔王と勇者の――】
「隙あり!大いなる大地の息吹よ!傷ついた戦士に癒しと祝福を!!『 大地の祝福』!!」
【ぐぎゃああああああああっ!!!】
ははっ。敵を目の前にしてグダグダ喋るとは!
油断大敵だぜ!大魔王!
シトリーとゾウマの初イベントとか、今言いかけてた龍神王関係の話も気になるが、あまりに隙だらけなのでつい撃ってしまった村人職の熟練度MAX技、大地の祝福がゾオマを襲う。
やはりスキルでも回復技ならしっかりダメージが通る様だな。よし。これで羽目技が完成したぞ!
常に全体回復を行い、こっちの体力さを満タンにしつつゾウマにダメージを与え続ける。
さらに大地の祝福のバグにより、暗黒の衣の効果も無効化出来るので殴りたい放題だ!
やっぱり村人は熟練度MAXにするのがジャスティスだな!
「……シュウ殿。話してる最中に攻撃とは中々酷くないか?しかも最初に声を掛けたのはシュウ殿だろうに……。」
「……シュウは鬼畜?」
「光だから!これが人の光だから!って言うかさっさと攻撃しろ!今ので少しだが暗黒の衣を無効化できる。」
呆れ返る2人を急かしつつ、再び火炎斬りを発動させ巨大な炎の柱を生み出す。
【み、認めぬ!こんな終わり方認めぬぞっ!!こんな事なら龍神王の誘いに乗るべきだったか……!】
さっきまでの大魔王然とした強者の余裕がなくなり、一気に小物臭くなるゾウマ。
……解せぬ。
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