囚われの村
デモクエ7をやっていて、俺として思う所がいくつかある。
よくネタにされる、100時間にも及ぶ長いプレイ時間や全体を通して鬱なストーリーだったり、途中好きな子が出来たからとパーティを離脱するソフトのパッケージにドヤ顔で堂々とポーズをキメる種泥棒だったりするのだが、個人的には、この法の神殿関連のイベントにはしっかり騙された。
いや、やけに転職を進めてくるNPCとかさ、何か雰囲気違うなーとか思ったよ?帰ろうとするとめっちゃ引き止めてくるし。
それでも俺は信じたのだ。いや、信じたかった。
かなり強化されたと言う転職システムも楽しみだったし、丁度戦力強化したくなる時期だった。
そんなプレイヤーの淡い期待を、無碍にはしないと思い込んでしまった。
そして、あの仕打ちである。
簡単に言うと、法の神殿は既に魔物に乗っ取られており、転職しようとすると熟練度を全て吸い取られ魔法とスキルを無くした状態で放り出されるのだ。
「ちくしょう!やられた!」
強制転移させられた池の中から岸へ這い上がり悪態をつく。
辺りを見渡すと荒廃した大地が広がっていた。
そして、池の畔に寄り添うように村、と言うより集落が申し訳程度に存在していた。
あー。うん。間違いない。
ここは半島になっており、山と海に囲まれた陸の孤島だったな。
つまり神殿を占拠した魔物達にガッツリ捕らえられてしまったわけだ。
「ごめんなさい。お父さん。ジャミエルの言ってた事ってこの事だったのね·····。もう少し早く気づくべきだったわ。」
先に水から上げたミレーヌが申し訳なさそうに言う。今際の際にデモクエ7のラスボスであるオルドデミウスの名前を言っていたが、こう言う事だったのか·····。
「いや。確かに騙されはしたが、これはどうしようもないだろう。神殿が占拠されているのなら無視する訳には行かなかったしな。」
してやられた感は半端ないが、これでイベントが進んだとも言える。
しかし、この世界はどうなっているんだろう?
10年前と言う設定のはずだろうに、何故もう神殿が占拠されているんだ?
7では過去に戻って事件を解決するのが基本だからか?
そう。デモクエ7では物語開始時には世界にはたった一つの島しかない。
そこに住む主人公達が謎の石板に導かれて過去にタイムスリップし、大昔に封印された大陸や島々を復活させると言うストーリーだ。
「ここはどこなんだろう?随分寂れた村みたいだけど·····。」
「恐らく、法の神殿で転職を希望した者達が送られる牢獄みたいな所だろうな。」
恐らくと言うとより、確定である。
この吹き溜まりの村は、神殿で騙され、力を吸い取られた戦士や魔法使い等の収容所である。
流れとしては、この村から西にあるダンジョンを超えた先にある山の中腹の村に行くと、神殿関係者が捉えられたもう1つの村がある。
そこで本当の大神官を助け出し、神殿関係者をまとめ上げて神殿の奪還をするのである。
「これからどうしよう?スキルや魔法が取られちゃったし、職がないならステータスだって·····。」
確かにミレーヌの言うことも正しい。
俺はこの世界に来た時から戦士の職についていた。
当然、戦士の恩恵としてのステータス補正や、カンストさせた熟練度によるスキルを使っていた。
ミレーヌとて、僧侶としての職業補正を受けていたし、様々な魔法も覚えた。
しかし、だ。
それらがないと本当に戦えないのか?
否だ。否である。
かつて、
「ミレーヌ。覚えておけ。この言葉で魔王は倒せる。
レベルを上げて、物理で殴る、だ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます