寂滅の大魔道士
転職
ようやく転職である。
そもそも、デモクエで言う職業と言うのは、神から授かるものである。
細かい設定はナンバリングタイトルや漫画、小説で違うのだが、基本的に産まれた時からステータス欄に神より授かった職業が刻まれるらしい。
それぞれの職業に合ったステータスとスキルを授かり、その職業として生きるのである。
だが、その職業を良しとせず違う職業を目指す場合や、上級職を目指す場合がある。
その場合のリクルート手段としてあるのが、この旅の目的地、『 法の神殿』である。
ちなみに勇者と言うのも最上級職のひとつである。
しかし、なんだ。この世界は魔物が跋扈しているせいか、村人だろうが料理人だろうが、戦う手段があるのが世知辛い気がするな。
デモクエ7の主人公なんか漁師だしな。
深い森を進んでいくと、厳かな神殿が顔を出す。
神殿と言うよりほぼ城である。
複雑な彫刻を施された壁や柱に取り囲まれ、綺麗に手入れがされた庭が見える。
その奥にある本丸こそが『法の神殿 』の中心部。
転職の祭壇である。
厳かな雰囲気の広間に入ると、転職したのか転職待ちなのかは知らないが訪れた人達の姿が見える。
ちなみに、その中にギャルになりたいとほざく爺さんがいるが、シリーズ問わず必ず出てくるレギュラーキャラである。
神殿の装飾に見とれてキョロキョロするミレーヌと共に祭壇へ近づく。
「ここが転職を司る法の神殿なのね!私、転職するの楽しみにしてたの!」
ミレーヌの生来の職業は僧侶だった。
デモクエ6では、法の神殿に来るまで無職だったのだが、この世界の仕様の為か、既に職業に着いた状態だったのだ。
これ幸いと、ここに来る間にパワーレベリングをし、僧侶の熟練度をMAXまで引き伸ばした。
必要討伐数は160匹。レベルも31まで上がった。
1番面白くなってくる時期である。
当然、今まで手に入れた各種ステータスアップの種での強化もしっかりした。
そのお陰でウチのミレーヌはそんじょそこらの魔物に遅れはとらない仕様となっている。
祭壇には転職を司る大神官が立っている。
その周りには18個の燭台が円形に配置されており、
現在はその1つだけに炎が灯っている。
おぉ!あの燭台!
隠しダンジョンへの入口か!
この世界、職業は1番職業数の多いデモクエ7仕様だが、『 法の神殿』の機能はデモクエ6準拠の様だ。
あの18個の燭台は極めた職業一つにつき一つの炎が灯り、全てが灯った時、隠されたダンジョンへの扉が開く。
所謂、クリア後のやり込み要素である。
ここでは雑魚敵ですら、下手なダンジョンのボスより格上で、適正レベルは70オーバー。
これはもうここに行くしかないと俺の魂が叫んでいる。
となればやる事は一つ。
やり込みである。
全ての職を全制覇するしかない!
もうこれはデモクエファンとしては義務である!!
早速、意気揚々と髭もじゃで目つきの悪い大神官に声を掛ける。
ふむ?やけにガタイが良いな。
プロレスラーみたいだ。
「ここは転職を司る法の神殿。職業を変えたい者が
来る場所です。転職をご希望ですか?」
もはや暗記すらしている台詞を告げる大神官。
当然答えは、はい、である。
――この時、俺の30年にも及ぶゲーマーの経験が何か違和感を感じた。
何だ?何を間違えた?
「ならば、先ずはこの聖なる水を振り掛けて、そなたを清めよう。さすれば新たな職業への道が開かれる。」
ん?待て。
今何て言った?転職前に聖なる水を振り掛ける!?
この時点で違和感どころか明確な警戒心となり、今の状況を理解した。
おいおい!まさか!
そういう事かよ!?
パァっと振り掛けられた水が輝く。
腰に差した剣に手を掛けようとするが、力が抜けて上手く剣を握れない。
·····くそ!!力が抜かれて行く!!
「くっくっくっ!どうかな?力を奪われた感想は?
その水は貴様達、人間のスキルや魔法の力を奪うものだ!さぁ。地上の牢獄で嘆き暮らすが良い!!」
いきなり視界がブレ出し、強制的に転移させられる。
ち、畜生!
いつの間にデモクエ7のストーリーに入ったんだよ!!
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