白銀の聖女

砂漠にて

デーモン・クエスト6。


爆発的な人気を誇り、販売本数実に350万本。

その当時のソフトが1万円オーバーだったので、単純計算、350億円もの売上を叩き出した化け物タイトルだ。


夢の世界と現実世界の2つの世界をを行き来し、大魔王デッドムーアの野望を打ち砕くストーリーだ。


ちなみに、デモクエ4、5、6で実は世界観に繋がりがあり、その副題から天上シリーズと言われている。



今から俺が向かう砂漠の町カルカナこそが、そのデモクエ6に出てくる街なのだ。


そして、そこには魔王の1人であるジャミエルが待ち構えている。




ジリジリと焼け付くような暑さの中、ジャリジャリと砂を踏みしめて広大な砂漠を進む。


昼は焼けるように暑く、夜は凍えるように寒い。

その地獄の様な寒暖差が俺を襲う。


魔物はレベル帯35くらいだろうか?

それなりの強敵で数も多い。


ゲームでは砂漠の移動も平野の移動も変わらなかったが、いざリアルの移動となると、接地の悪い砂が体力を奪って行く。


まさに難所と言える。



しかし、そんな事などはどうでもよかった。




そう。俺は今、リリーとステラの事で頭がいっぱいなのだ。



砂漠の気候?

そんなものはローザタウンで買った氷炎のローブを付けていれば快適だ。


効果は炎と氷への耐性強化だが、砂漠には必須とデモクエの設定集に書いてあったのを思い出し、念の為、買ったのだが、大正解だった。


レベル35の数多の魔物?

所詮はレベルカンストの俺の相手ではない。

遂には熟練度もカンストだ。

廃人的にはそろそろ転職が必須と言える。



魔王ジャミエルについては少々不確定要素があるにはあるが、コイツも魔王を名乗っているが、『暗黒の衣 』はなく、俺一人でも充分に戦えるレベルである。


それに幾ら足場が悪かろうが、レベル99の高ステータスだ。

暴力的な体力と筋力により平地と何ら変わらない。




そんな些細な問題よりも、リリーとステラの方が大きな問題である。大問題だ。


この突然のモテ期に俺は何が出来るのだろう?

俺は2人が好きだ。愛していると言っても良い。


ハーレムや一夫多妻等の素敵な単語が頭をよぎるが·····。


駄目だ!

あんな美少女2人があそこまでの好意をこんなオッサンに向けてくれているのだ。

俺は誠実でありたい。


いや、でも2人ともキスしちゃったし・・・。


悶々と出口のない悩みを抱えながら、砂漠を突き進む。


自然消滅や忘れられる、そもそも連絡手段もないのにまた会えるのか?等の自分に都合の悪い事は一切考慮しない、42歳童貞であった。

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