闇進化の秘法と油断

デモクエ4では、魔王ピエトロ達は2つの計画を進行していた。


1つ目は勇者の抹殺。

第1章の子ども連続失踪事件や第5章の勇者の村焼き討ちの様に、勇者がまだ幼いウチに倒してしまおうと言う計画だ。



そして、2つ目が闇進化の秘法の研究。


デモクエ4に登場する設定の一つで、ストーリーの中核を成す非常に大事な設定だ。


人間、動物、魔物といった生物を従来の進化の過程を無視して成長させる力を持つ、魔族に伝わる秘法である。

 

元々は遥か昔に大魔王たるエストアークが作ったもので、奴はこれを使い世界征服を企んでいた。


だが、闇進化の秘法は不完全なものだったらしい。


強大な力を得る反面、制御の効かない化物になって行く魔物達。


遂には、その存在を危険視した世界の管理者たる龍神王によってエストアークごと封印される。


その研究を引き継ぎ、再び世界征服に乗り出しのが魔王ピエトロと言う訳だ。


ちなみに、小説版ではデーモン・プリーストこそ、大魔王エストアークの元で闇進化の秘法を生み出した研究者とされている。



天敵たる勇者を可能なら産まれる前に処分し、同時に自分達の力を増幅する計画を実行していたのだ。


実に合理的な計画である。



まぁ、この秘法は失敗ばかりで、これを使った魔王ピエトロはローザを失った絶望で暴走するし、完成品を使ったデーモン・プリーストも、力に飲み込まれ最後は意思のない怪物になってしまう。




「ば、化物・・・。」

ステラが青ざめた顔で見上げる。




【ウロロロロロロロロロロロッ!!】


デーモン・プリーストはどんどん膨張して行き、今や身長10メートル近くの巨大な怪物になっていた。


真っ白い肌に牙だらけの裂けた大きな口。頭には左右に伸びる角が生え、赤い瞳が3つ。

しかも腹にも大きな顔がある。



あれは最終形態!?

ゲームでは徐々に大きなる4段回の形態変化があったはずだが、研究不足の副作用なのか、形態変化機能はなくなった様だ。



ずるりっ。

ぼたたっ!ぐちょ!



デーモン・プリーストの全身の肉がずるりと溶けだし、地面に落ちる。


びちゃびちゃ!

ぶちゅっ!


ズズン!


身体の至る所から体液を吹き出し、その巨体を維持出来ないのか、苦しそうに地に倒れ伏す。



ステラが、また何かしたのかと言う呆れた目で俺をみる。


濡れ衣である。まぁ要はナウ〇カの巨〇兵だろう。


「腐ってやがる。早すぎたんだ。

最後が自滅とは、こうなると哀れなもんだな。」


俺は完全に油断していた。


剣を鞘にしまい、『 聖水』を数本持ち、トドメを指してやろうとデーモン・プリーストに近づく。




「危ない!!!」



【あ、は、ふ、ふれ!『 極大火炎魔法フレアゾーマ』】



ドン!



ステラに突き飛ばされ、俺は呆けた顔で見上げる。


俺の目には、慈愛に満ちた笑顔のステラが炎に消える瞬間が写った。




「ステラァァァあ!!!」


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