2人目の仲間

「ステラはこれからどこに向かうんだ?」


値段の割にそれ程味も量もよろしくない、観光地価格な朝食をつつきながら尋ねる。


ちなみにガッツリ寝不足だ。

ベットこそ2組あったが仕切りはなく、ステラが寝返りを打つ度に目が冴えてしまい、寝たのは結局朝方だ。


「特に決めてはないな。言った通り、武者修行中でね。気の向くままさ。」


何やらスッキリした顔のステラが爽やかに答える。

寝不足のオッサンとは違うな。

これが若さなのか·····。


しかし、やはりだな·····。

ゲームでも第5章の中盤ボス、ビーストキング戦までステラは世界を放浪しており、各章の色んな所で発見される。


武者修行の旅と言うのはその通りなのだろう。



「なぁ。ステラさえ良ければ、一緒に『 法の神殿』まで行かないか?ルートはこのまま陸路で東だ。

強い相手には、まぁ事欠かないのは保証しよう。」


ニヤリと好戦的な笑みを浮かべるステラ。


「是非も無い。東の森はかなりの魔境と聞く。

その上、砂漠越えとは武者修行に丁度いい。」


やはり、東の森は高レベル帯の魔物がいるのか。

この世界の地理は未だに把握していないが、少なくてもこの付近はデモクエ4準拠の様だ。




·····しかし、この世界やっぱり誰かがゲームメイクをしているんじゃないか?




ステラが1人で旅をするのにはとある設定がある。


簡単に言うとステラは狂戦士なのだ。

まぁ、そんな職業自体はデモクエにはないが。


『 血の衝動』と言う固有スキル、と言うか性質を持ち、戦いが続くと血に興奮し攻撃性が増す。


そうなると、指示を無視してただ敵を攻撃するだけになると言う設定があるのだ。


具体的には、戦闘が5ターン続くと攻撃力に1.2倍の補正が入り、命令を聞かなくなる。


その上、魔法耐性がないのですぐに混乱や魅了され、仲間にも牙を向くのである。


『 血塗れプリンセス』とはよく言ったものだ。


ゲーム的には耐性さえ整えてやれば、アタッカーとしては優秀だし、むしろ攻撃補正が入るので耐性だけ付けてそのまま使う人も多いだろう。


気になるならストーリーを進めてやれば、途中で入手するアイテムを装備する事で『 血の衝動』を克服する事が出来る。



デモクエ4の本来のルートで行くと、カーサブランカから西に向かい、第3章で作ったトンネルを抜けてエンミール地方へ抜ける、と言うルートになる。


逆に東には高レベル帯の魔物が潜む森が広がっており、普通のプレイスタイルでは、まず間違いなく抜けられなくなっている。



しかし、この東の森を抜けた先にステラの『 血の衝動』を克服するアイテムがある。


その上、そのアイテムが眠る地こそが、魔王ピエトロの想い人、ローザが住むローザタウン。

そしてその地を守る者こそ、魔王配下の四天王が1人にして、デモクエ4の全ての黒幕。



闇の神官、デーモン・プリーストがいるのだ。



ステラとの出会い、悩み解決イベントにまた魔王との戦闘フラグである。


はっきり言って何者かの意志をビンビンに感じる都合の良さである。


これ、まさか全部の魔王を倒すとかにならないよな?

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