脳筋姫

いや、待て。デモクエ4のストーリーは案外長いスパンでくり広げられる。

第1章から第5章までは小説ベースで考えると10年以上の月日が流れる。


つまり、デモクエ4の本章とも言える第5章や第6章の開始はまだ先の話になる。


小説ベースで考えると、第1章開始時点でステラの年齢は10代後半と不明確だが、物語終盤では28歳になり、婚期に焦るエピソードがあった。



ここで俺のゲーマー的な好奇心が動きだす。



デモクエ4では、主人公である勇者は故郷の村が魔物の群れに襲われ全滅してしまい、復讐の旅に出る所から開始される。


幼馴染の少女が自身の身代わりとなり目の前で殺されると言う鬱エピソードが満載のスタートである。


そしてデモクエ4の敵役である魔王ピエトロにも鬱な展開が待ち受けている。


魔王である彼にはローザという恋人が居た。

ある時この恋人を人間達が惨たらしく殺害してしまう。

それを知った魔王は復讐に狂い、禁断の邪法に手を染めて行く。


正に鏡合わせな2人の復讐者が織り成す、悲しくも激しい死闘を乗り越え、最終章では全ての黒幕が大魔王復活を目論む闇の神官だと判明し、2人は和解する。


そして手を取り合って戦い、最後には復活をした大魔王を倒し、神の奇跡により2人の恋人は復活しハッピーエンドとなる。


今では当たり前になったマルチエンディング方式が採用されており、幾つかの選択肢や行動によってエンディングが変わる。勇者と魔王が和解はするが、恋人は助からないエンドが腐女子人気が高いそうだ。


少し話がズレた。



つまり、デモクエ4のストーリーから考えて、今の時間軸ではまだ勇者の村壊滅も魔王の恋人殺害もまだ起きていない筈だ。


今のタイミングで元凶である闇の神官さえ何とかすれば、大魔王すら封印したままで物語を終えられるかもしれない。


基本的に俺はハッピーエンドが好きなので、俺としてはこの選択はかなりありだ。



頭の中でデモクエ4の年表を紐解いて考え込む俺に誰かに声を掛けられた。



「おい。もう謁見は終わったぞ。」


目の前にステラが居た。


ううむ。こうやってリアルでまじかで見ると本当に美人だな。

燃えるような赤い瞳が真っ直ぐに俺を見ている。



ステラは物理ステータスは高い反面、魔法への抵抗力が全くなく、素の状態で混乱魔法等の状態異常を受けると高確率で仲間を攻撃する。


攻撃力は非常に高い為、大抵の仲間は一撃で死んでしまう。

まさに『 血塗れプリンセス』だ。


これには一応、設定がありステラが王女なのに国をたった1人で出奔する理由付けとなっている。




「あぁ、済まない。ちょっと考え事をしていた。」


「昨今は子ども達が攫われたりどこぞで魔物達の群れが村々を襲ったりと事件も多い。そんな時に闇の王のお告げだ。貴殿も思う事も出てくるだろう。」


まぁ、闇の王の噂がこうして各地に広まるのは、人々の不安を煽ることにもなるがなっとボソリと付け足す。

何のかんのと言いながら、正義感の強い民衆の味方なのは確かだ。



「しかし、貴殿。何と言うか、雰囲気があるな。

私より背の高い男も久しぶりだ。」



ステラの身長は公式準拠なら178くらいだ。

俺よりかは少々背が低い。

デモクエのキャラは総じて少し前の日本の平均身長くらいをイメージして作られているので、俺やステラは背の高い部類に入る。


ちなみにリリーはステラより背は低く、160半ばくらいか?


「貴女もな。かなり旅慣れた様子だが、旅をして長いのか?」


やはり進行度は気になる。



「故郷のアントヘイルを抜け出し·····、いや、出奔·····、まぁ旅に出て1年くらいか?色々見て回ったよ。やはりどこでも不安の種と言うのはあるな。」


ふむ。やはり進行度はそこまで進んでいなさそうだ。


残り約10年と言った所か?

リリーと話した際にデモクエ5の進行度を確認したが、ここでも10年か。少し作為的な匂いがしてきたな。



「――よし。やはり軽く手合わせをしよう。」


ん?今なんて言った?


「武者修行も兼ねて私は諸国を回っていてな。これはと思う戦士を見かけたら手合わせを申し込んでいるんだ。貴殿とも1度手合わせをしたい。」


突然の脳筋発言にテンパる俺。


「待て。お前の戦う理由は分かったが、俺に受ける理由はないだろう。俺にも旅の目的がある。」


さっさと『法の神殿 』に行ってベリーオラトリオにいるリリーの元へ帰りたいんだ。



「私に勝てば何でも言う事を聞くとしたらどうだ?」



·····え?何でも?今何でもって言った?


ちなみにステラはデモクエでも1、2を争う肉感的な美女である。

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