会社員の七日目は…違う場所から言う
「うぅ…はっ!」
目が覚めた。石の天井だ。
硬い床に寝ていた身体が痛い。
「あ、目が覚めた?」
「え?あ、アスカか?」
声が聞こえた方向に顔を向ける。
「え?アスカ?」
「ん?そうだよ。どうしたの、変な顔して?」
そこには黒髪の美女が、こちらを見ていた。
その間には鉄の格子がある。
…ここ、牢屋やん。
「何で俺、牢屋に入っているんだ?」
「暴れたからって聞いてるよ。」
「暴れた…」
確か…ギルドに向かっていて…そうだ!
「アスカ、急に光りだしたけど、大丈夫だったのか?」
「あぁ、あれね。その、特に問題ないって。」
アスカが恥ずかしそうに下を向いてモジモジしている。
艶やかな長い黒髪が揺れ、スラッと伸びた両手が身体の前で合わさり、強調されてるところが、さらに強調されて目が離せない。
「その…0.1ミリメガネは大丈夫だった?」
「お、おぅ。だ、大丈夫に決まっているだろ。」
アスカが、下を向いていた顔を上げたので、すぐに目線を外す。
何故かドキドキが止まらない。
モデルやグラビアの人が目の前に現れるとこんな気持ちになるんだろうか…
「な、何で光ったんだ?」
「……たから。」
「え?」
「0.1ミリメガネが名前をつけてくれたから…。」
目線は俺と合わない。合わないが照れた表情で、そっぽを向きながら伝えてきた言葉に
心を掴まれた。
「…」
「…」
「…」
「…ねぇ。何か言ってよ。」
「あぁ。アスカ、キレイだ。」
気がついたら告ってた。
「な、な、な!」
これ以上開くと目が落ちるんじゃないかってくらい目を開けて、アスカは驚いた表情を見せる。
「何言っているの!?」
「何を言っているんだろう。確かにそうだけど、言わないといけない気がしたんだ。」
「……」
やっとアスカと目が合う。
お互いに恥ずかしさが爆発しそうだが、2人とも視線を外すことなく、しっかりと見つめ合う。
見つめ……………合う。
見つめ………合う。
見つめ…合う。
見つめ合う。
「アスカ…」
「テメーら!ここが牢屋だと分かってんのかこのヤロー!!変な空気醸し出してんじゃねぇーぞ!いい加減にしねぇとド頭かちわってやるぞ!?アァ!?」
衛兵さんが怒鳴りながら牢屋へとやってくる。
「「すいませんでした~。」」
「二度とツラ見せんじゃねぇ~!!」
怒鳴り声の衛兵に見送られ、俺は牢屋を飛び出した。
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