会社員の六日目からは二人?

えぇぇぇぇ……!!


「もう、驚かなくていいんじゃない?」


「…そうだね。そろそろ驚き過ぎてお腹が空いてきたな。」


「なら、屋台で食べましょ!私、屋台で食べるの楽しみなのよ。」


「スキルなのに、食べられるの?」


「そうよ。当たり前じゃない。」


…当たり前なのか?


「スキルって進化すると人型になるのか?」


「ならないよ?」


「いや、お前なってるじゃん。」


「ふふん。」


女の子は腰に手を当てて、こちらを見てくる。


「ふふん。って何だそのどや顔は。」


「私はね。ト・ク・ベ・ツなの。わかった?」


「うん、良く分かった。特別ヤバいスキルなんだな。」


とりあえず宿屋を出発して、ギルドへ向かう。


ギルドの近くにある屋台で串焼きを2本ずつ購入して遅めの朝食をとる。


「もぐもぐ…ところでさ。」


「もぐもぐ…はぁに?…もぐもぐ。」


「名前は?何て呼べばいいの?」


「…ごくん。名前なんてないよ。」


「ないの?」


「エクストラスキルの『道程』はあくまでもスキルの名前だし…私の名前じゃないんだよね。可愛くないし。」


「なら…」


「あ、私はね太陽が好きだから、太陽にちなんだ名前にしてね。」


「…テンとか?」


「テン~?なんかいまいち。」


「…アスカ」


「いいじゃないアスカ!じゃあ、アスカで。」


…ふぅ~。何とか納得してもらえた。


「どういう意味があるの?」


「祝福って意味があるよ。」


「ふ~ん。」


ふ~んとは何だ、ふ~んとは。


『エクストラスキル『道程』がレベルアップ』 成功

固有名『アスカ』に進化しました。

(※『アスカ』は名前を気に入っているようだ。)


「ちょっと!何なのよこれ!」


「いや、こっちが聞きたいわ!てか、アスカって名前、気に入ってるじゃあねぇか。」


「そ、そんなことない!」


ニヤニヤ。

「いやいや、アナウンスはウソを言わないと思うぜ。」ニヤニヤ。


「う、うるさい。」


パチン!


「いてっ!」


「バカ言ってないでギルド入るからね!」


「はいはい。」


ギルドへと向かって歩いていると、突然!


「えっ…なんで?」


アスカが輝き出した!


「なっ!アス…ぎゃ~目がぁっ目がぁぁぁぁ!」


「なんだ!?」

「どうした!?」

「何があったんだ!?」


近くの住民や冒険者が騒ぎ出したようだ。


俺は至近距離で目をやられてしまい、ブラインドの状態異常と、目がチクチクと痛み出し、転げ回っている。


「大丈夫か坊主!?」

「おい、誰か一緒に坊主を安全なところへ運ぶぞ。」

「オッケー、手伝うぜ。」


俺は見知らぬ人達に抱えられ、その場から離れていく。


「アスカ~!アスカ~!」


「0.1ミリメガネ~…どこにいるの?どこ~?」


俺は痛みに耐えながら呼び掛けるが、アスカの声はどんどん遠く離れていく。


「俺の彼女が光出したんです!アイツの元に戻らないと!」


「先ずは坊主、自分の身体を治せ。それに安心しろ。街中で起こったことだ。治ったらすぐに合流できるさ。」


「今すぐ戻して下さい!アイツが、アスカが待ってるんです。」


「こら、暴れるな。」

「かえってケガするぞ。」


駄々っ子のように手足をバタバタとさせる。


「やめろ~。離せ~。離せ~。」


「…仕方ないな」

「危ないしな。」


「離せ~。俺をアス…カ…」


…グゥー、グゥー。


「寝たか?」

「あぁ。魔法が効いたようだ。」

「良し。今の内に運ぶぞ。」

「了解。」


スタコラサッサのスタコラサッサ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る