会社員の四日目は怪物と

『スケルトンの骨を拾いました。』


あれから3匹?3頭?どのように数えるのか分からないが、骨を持ったゴブリンが現れた。


俺の姿を見ると、勢いよく走ってくる。


…近づくのを待ってると、同じように肩で息をしながら近づいてくる。


…同じように避けると勝手に転んで死んでいった。


…骨×2と、ゴブリンの腰ミノを残して手にいれた。


残されたアイテムの使い道が分からない。


ゴブリンは骨を武器にしてたが、剣の方が強いだろう。


腰ミノは…装備出来ない。何しろゴブリンのサイズだからだ。


…捨てておくのも、もったいない気もするので、持ち歩いている。


荷物が増えてきたら捨てる予定だ。


さっきの分かれ道から、しばらく一本道だったが、ついに他の道が出てきた。


十字路だ。


どの道も同じように見える。何か変化があればいいのだが…音もなく、何も分からない。


ふむ…


どうしよ…


迷っていると、


…コツン


何かの音が聞こえてきた。


なんだ?


音のした通路を覗く。さっきは何もなかったはずなのに、通路の真ん中に白いのが立っている。


「うぉ。」


あれ…スケルトンだよな…

ゴブリンの持っていた骨はアイツの骨かもな。


何も武器は持ってないようだ。


スケルトンは走ってこない。


ゆっくりとだが、少しずつ近づいてくる。


コツン。コツン。


ココツン。ココツン。


ん?なんか音が変わったぞ?


振り替えると、別の通路からもスケルトンが現れた。


おいおい!2体同時か!?


2体が同じスピードで近づいてくる。


…どうする?一旦下がって闘うか?

それとも、1体を先に倒してしまうか?


…いや、闘ったことのない魔物だ。

どれくらい強いか分からないからな。

とりあえず下がるか。


来た道を少し戻る。

これでスケルトンが来るまで時間が増えた。


どれぐらい強いか分からないからな。

出来ることはやって損はないだろう。


そうなると、何か使えるのあるか?


う~ん、拾った骨を使うか?

剣と骨を持って二刀流とか?

…役に立つのかな?


腰ミノは…不明だ。

最後の最後の最後に使う、最終手段だな。

(人はそれを使わないと言う…)


さて、とりあえずの準備はできた。

後はスケルトンを待つだけだ。


ココツン。ココツン。


2方向からスケルトンがヌボッと出てくる。


白い骨だ。どうやって動いているかもよく分からない。頭を壊せばいいのだろうか?


ガシャン。



えぇ…


スケルトン同士がぶつかった。


しかも、骨と骨が絡みついたのか、2体がもがいている。


「チカラ抜けるなぁ…」


ゴブリンと一緒で勝手に自滅するんだろうか?


しばらく骨と骨がダンスをしているのを見ていると、

スケルトン達が光りだした。


「ホントに自滅パターンか。」


『スケルトンの進化を確認しました。』


なんだと!?


『スケルトン・ダブルへと進化しました。』


『シークレット 魔物の進化を目の当たりにする』

実績クリア。

報酬 野営セット(キャンプ用品、食糧3日分)


なんだと!?


色々と気になるがとりあえず、スケルトンだ。


光りが消えると、そこには頭が2つ生えたスケルトンがいた。腕は4本生えている。


いきなり、こんな強敵っぽいのと闘うのか?

ほとんど1本道だから、逃げ場もない。

こんなに明るいと隠れることもできない。


「失敗したな…」


合流を待たずに、1体ずつ倒すべきだったか…


コン。コン。


骨が響く音も先ほどよりかは、早くなった気がする。動きも多少、良くなっているようだ。


くそ!

強くなってるってことだよな。


とりあえず、やれることをやるか。


剣を側に立て掛け、骨を構える。


何処まで効果があるか分からないが、

骨を投げてダメージを与えられるか検証だ。


振りかぶって…

「えいや!」


スケルトン・ダブルに向かって骨が飛んでいく。


スケルトン・ダブルは4本の腕をクロスさせ、身を固めた。


ゴン!


思ったより良い音。

スケルトン・ダブルも仰け反り、ダメージがあって様子だ。


骨はスケルトン・ダブルに当たった後、スケルトン・ダブルの後方に飛んでいった。


「さぁ、効果はあったみたいだが、後2本しか手元に骨はないからな。どうするか。」


すると、スケルトン・ダブルはその場でクルリと翻り、道を戻っていく。


「…なんだ?」


ある程度戻るとしゃがみこんだ。


「…げっ!マジかよ。」


スケルトン・ダブルはスケルトンの骨を装備した。

こちらへと向かってくる。


「相手に武器を与えただけか…」


とりあえず、剣を持ち直し、スケルトン・ダブルと決闘するか。


「はぁ~…ふう~。」


深呼吸をして気合いを蓄えていく。



序盤だが、正念場だ。

ケガをしないように、『いのちだいじに』で闘うぞ。


スケルトン・ダブルが、目の前に来た。


剣と骨を振りかぶる。


ガッキィィン。


骨と剣がぶつかる。

拮抗したと思ったら


ゴォスッ


スケルトン・ダブルの拳が飛んできた。



拳は肩に当たり、俺は数歩たたらを踏んで、踏みとどまる。俺の腰が引けてたからか、当たったところがよかったのか、音の割には痛みが少ない。


相手は腕が4本あるから、剣を抑えられると相手の拳が防げない。


このままだと、殴られて殺されてしまう。

どうする…どうすれば…


スケルトン・ダブルは俺の葛藤などお構い無しに、


2つの顔が、


4つの目が、


俺に近づいてくる。



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