会社員の三日目は異世界を

「そういえば…」


「何だい、レイ君?」


「来た時は頭が痛かったんですが、先ほどの魔法で痛みがなくなりました。ここに来るときは頭が痛くなるんですか?」


……

あれ?皆黙りこんでどうした?なんか変な空気だな…


「そうだったのかい?まぁ、治ったのなら良かったじゃないか。そうだ!まずはレイ君のステータスとスキルを確認しようじゃないか!」


…なんか誤魔化された気もするが、たしかにスキルとかステータスは気になる!


「どうやって確認するんですか?」


「簡単さ。『ステータス』って言えば出てくるよ。」


おぉ!さすがVR!どんなスキルがあるか楽しみだな。

「ステータス!」


……

あれ?何も起きねえ


「……プッ」

「「ハハハハハハ……」」


「マジ…マジメすぎ。ウケる。」

「うふふ…」

「レ、レイ君ごめんね。本当に言うなんて…思ってなかったんだ。」


…何なんだ、バカにして。

笑い者にしやがって…何が面白いんだ…何も面白くねえよ!


ゴン!ゴン!ゴン!


え?リッちゃんが皆の頭を棒で叩き出しだぞ。


「お前らやりすぎ。1ミリは何も悪くねぇだろ。」


「リッちゃんは、1ミリも悪くないとか言いたいわけ?さぶいんだけど。」


ゴン!!


「いっ~!たい!んだけど!」


「1ミリ。」


「は、はい。」


「すまなかった。」


リッちゃんはそう言って頭を下げた。


「あ、あの。」


「悪気がなかったと言えばウソだからな。すまなかった。」


「…もう大丈夫です。」


「リツだ。」


「はい?」


「本名は立花高久。だから、リツと呼んでくれ。」


「レイ君。僕は田中・マクレーン・直。通称マッパさんだよ。レイ君、軽い気持ちであんなことして本当にごめん。」


「…0.1ミリメガネさん、ごめんなさい。私は明智渚と言います。0.1メガネさんが許してくれるなら、いままで通りメイさんと呼んでください。」


「………。小鳥遊さやか。好きに呼んで。」


「プリンちゃん。ダメッですよ。」


「……ごめん。」


「分かりました。もう充分です。

それよりも、ステータスやスキルを見る、

た・だ・し・い方法を教えて下さい。」


「レイ君、この球体に手を置いてくれ。ステータスとスキルが表示される。自分にしか見えないから、分からないことは聞いてくれたら教えるよ。」


占い師が使う水晶みたいなものに手を置く。手から何かが出たような感覚の後にステータスが表示された。


氏名 0.1ミリメガネ (山田俊輔)

ステータス

HP   ひくい

MP   たかい

からだ  たかい

ちから  ひくい

まほう  ひくい

めんえき たかい

うん   たかい

※頭部への衝撃によりデータの移行が不完全となり、正常に行えませんでした。


スキル

エクストラスキル  道程


ノーマルスキル  サバイバル知識


……何このステータス?


名前が0.1ミリメガネになってるし、スキルもエキストラの『道程』って何?

というより、やっぱり頭を誰かが叩いたんだな!?


「あの…頭部への衝撃によってデータの移行が不完全と出ましたが、何があったんですか?」


「…ウソ…」


いや、プリンさん。その反応をみると犯人は貴方ですよね!何したんですか?


「……」


皆の顔がポカーンとしてて、逆に冷静になるけど、やっぱりこれって不味いよね。


「あ、あのレイ君、そのステータスの右下に開示出来る選択肢があるから、僕らに開示してくれないか?」


「分かりました。」

このマークだな。ポチッとな。


「……」


開示されたステータスをハーベストの皆が見てるけど、さらにポカーンとしてるな。

なんか皆の顔が青くなったけど、やっぱりヤバいの?


「…どうしましょう?何か手はあるかしら?」 

「またデータ移行すれば…」

「いや…データ移行は最初だけしか認められないよ…どうしようもないよね…」

「…そうか。」


どうしようもないんだ…ん?じゃあさ、じゃあさ。

これってVR課から異動ってことになるんじゃない?


あれ?俺ってワンチャン一般職に戻れるんじゃ?


「これじゃぁ、皆さんのお役に立てないので、一旦、現実に戻ってから今後どうするか考えましょう。どうすれば戻れるんですか?」


「すまない…戻れないんだ…」


「おい!どう言うことだ!?」


…俺、先輩に怒ってもいいよね?


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