会社員は初日がつらい(出勤)

え? なんでそんなにVR課を嫌がるのって?


研修行ってないじゃん!? って?


そうなんだけどさ、実は研修中の上司(そそくさと去っていった先輩)からさぁ


上司:「うちの会社にはな、秘密の部署があるんだ。」


俺:「え! そんな部署があるんですか!? あ、もしかして秘書課とかですか?」


上司:「違う。VR課だ。」


俺:「VR課? VRって……たしかゴーグルとかをつけて、ゲームとか3D映像とかを

  楽しむあれのことですか?」


上司:「そうだ。そのVRだ。」


俺:「なんで秘密なんですか?」


上司:「知らん」


俺:「え?」


上司:「社内規定を見ろ。言えるのはそれだけだ。」


俺:「え?」


気になったから見てみたよ社内規定を。


記載されてたよ。しかも禁止事項の欄にだぜ。


・当社及びVR課が不適当と認める行為


だとさ。


何で会社と同じ権限を持ってるのか分からないけど、噂では実際に一度だけ権限発動したことがあったらしい。


馬鹿な幹部の子供だか何かがやらかしちまったらしく、そいつはその一件から

姿を消したんだと。


異動になったらしいが


誰も異動先を知らないし、辞令もない。


神隠しと陰で呼ばれていて上司達はトラウマになってんだと。


……。


それを聞いていた俺、辞令を受けて早くもトラウマになりそうですけど!


何で!? 俺の配属先は何でその部署なの!?




頭の中で、今日までの日々を回想している間に着いたよ。VR課。


地下フロア。


何で地下なの? しかもフロア全部がVR課って何?


会社の受付で


「あの~VR課に配属になったんですけど」


って言ったら、受付嬢が涙目になって案内されるってどんな職場なの? 


そりゃ誰も近づきたくないよ。


俺もだけどな!


はぁ……


……とりあえずドアがあるから開けて入るか


コンコン コンコン


……返事がない……


コンコン コンコン


「すいません、失礼します。」


俺はドアノブに触れ、開けようと手にチカラを入れて捻った。


ガチャ。


バリバリバリ…… 






……バタン。


……


……


ズルゥ……


ズルゥ……


ズズズ…… 


パタン。



思い出せばここから俺の異世界は始まっていたんだな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る