会社員は初日がつらい(通勤)
はぁぁぁぁ……
最近、ため息ばかりだ。
起きた時も、ご飯を食べた時も、電車に乗っていた時も。
電車に乗っていたおじさんやお姉さんが怪訝な顔をしていたけど止まらない。
何故なら今日、会社に向かうことが、
とても
とても
ため息が出るものだったからだ。
俺は就活活動の末、海外にも支社がある商社への就職が決まった。
入社してしばらくは、研修として様々な部署で仕事をさせてもらった。希望する配属先を選べる会社だったので、自分に合う部署を探した。
同期達と話しながら、どの部署が良かった、あそこのあの人が可愛かったか等をしゃべりながら、配属を希望する部署名を書いて会社に提出した。
第一希望か第二希望か。
どちらかに配属されるだろうと思っていたのに。
確かに備考欄に希望通りにならないことがあるって
書いてあったけど・・・
よりにもよって
VR課だなんて…
はぁぁぁ……。
辞令が張り出されたあの日。
辞令を一度見、二度見、三度見した。
人事部に確認まで行った。
ウソだと言って欲しかった。でも、間違ではなかった。
同期達や人事部の社員から慰められた。
心がやさぐれていたんだろう、同情するなら代わってくれと叫んだ。
逃げられた。
会社で叫ぶなと先輩に怒られた。
事情を説明すると、先輩の顔が悲しそうに歪み、
「まぁ、ほどほどにな。」
と言われ、そそくさと去っていった。
VR課なら怒鳴っても許されるってどんな部署なんだ。
VR課……
実は様々な部署を研修したが、VR課は研修先に無かった。
辞令を見たその日、家に帰ってから会社のHPを見たが載ってない。
『会社名 VR課』でググっても何も出てこない。
ただただ不気味だ。
……もしかしてドッキリだろうか?
一般人にドッキリを仕掛けても良いリアクション出来ないと思うが。
念のため部屋中を捜索したが、残念ながら隠しカメラは見つからなかった。
はぁぁ……。
VRと言えば3Dやゲームをイメージする。確かにゲームは嗜んできたつもりだ。
しかし、決してゲーマーと言えるほど上手な腕前はない。
それに入社した会社は商社だ。VRを商品として扱うことはあるかも知れないが、
eスポーツに参戦するようなことはHPにも載ってない。
俺はどうしたらいいのか……
結局、何も解決しないまま……ついに、VR課に初出勤の日を迎えることとなった。
はぁ……。
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