第8話

吐いた


吐いた



吐いた



何を吐いた?


全部だよ。

全部。



私は今日も嘘をつくように

息をしていた。



吐物に塗れた手を見て

呼吸のままならないまま私は




目を覚ました私はいつもの如く荒んだ部屋の萎びた布団に横たわっていた

枕元に散乱する薬の空き瓶。



いつも通りだった。



現実世界だったのだろうか



なにもわからない



思えばいつからか


夢と現実の区別もつかなくなっていた


そんな私を見て

貴女は


はははははははははははははははははははははははははははははは



愉快滑稽


ざまねぇな


はははは


時計は夕刻

17時をさしていた。


内海屋はいつものように刃物を手に取り

鳥遊里を切りつけて

嗤って


笑顔のまま鳥遊里の止血を進める。


不気味?そう?

「自分できりつけておいて笑顔で止血をするなんて」って思う?


私にはその思考の方が分からない。


嫌いだから傷つけるとか

好きだから癒すとか


何を持ってしてそんなことが決まったのか


嫌いな人にだって救いを与えるでしょう?




なんて言う話は案外



周りには理解し難いものだったらしいです。



拝啓、

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る