第5話

息を

したい。


彼は生きているのか?



私は?私も



君がいない世界なら


僕は大切なものなんかない


君がここを出てくなら


ぼくも








懐かしい話だ。

過去にもこんなことがあった

気がする。


支離滅裂


記憶の断片



文をまとめるのは苦手らしい?


いや

思考がバラけている

ひとつの物事をひとつの道筋の中で

考えられないやうな



異端か?



幼気。


痛い気?



遺体系。



苦しい?

いや



過去に囚われて生きて楽しいのか?


過去はいくら悔やんでもお門違いなのだよ


過去にいくら嘆こうと

残念なことに過去の自分と今の自分は本質的に別物なのだから。


過去に喘いでいるのはあまりに滑稽で


あまりに愚直極まりない。


私はそんなことを知っていて

分かっていながら

理解をしたくなかった。


見たくなかった


真実で救われることばかりじゃない



内海屋はいつから私のところにいた?


鳥遊里はいつからあんな目をしていた?


紫香楽はいつから


いつから


いつ、から?



ずっとまえからだ。


ずっとまえから



彼らは


ぼくみたいな



腐った生き物とは違うと


思いたかった。




あの日君に伝えていれば結末は変わったか?


あの時に既に心に決めていれば

今より幸せであれたか???


過去を悔やんだって仕方がないと

黒髪の彼は言った。


しかしそんな言葉で救われればわたしは

苦しみに耐え続けなきゃならなかった

いやだ


いやだいやだ


耐えきれるわけがないだろ。



白髪の彼は言った

諭した

わたしは


全てを切り離したんだなと

深層心理

分かっていたはずなのに



結局彼らの傷も僕にまわってくるのだ

遠回りをして誤魔化しているだけ


見てくれだけ


苦しい


苦しい


救えない

救われない


ザラザラした腕を撫でる。



ほんのりと痛い



痛い?


いたくない


だってこの痛みは切り離されてる



鳥遊里


それがこの傷を受けた人だ。


私じゃないのだ。


いたくない


この血も

私じゃないのだ。




だからこれを作ったのも

内海屋ってやつのせいで


わたしはわるくない


わるくない



紫香楽さんは

教えてくれるんだ

ぼくがわるくないこと


キミらが勝手にやったんだ


ぼくのせいにするな

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