第4話 話数は実際関係ない。

ぼんやりとした意識の中



思い出したのは



見えてしまったのは



私の右手が刃物を

左手を滅多刺しにして


流れる血を


泣きながら

そして「あはははは」なんて

口角を上げて


そして何よりも冷ややかな目で見ていた記憶



謝ることしか出来なかった。



しかし彼らには

なぜ謝らねばならないのか


なぜ彼らにさえ


搾取される側に落ち着いてしまうのか


分からない

分からない


けれど、分からなくたっていい。

どうでもいい。




薬の吐き気に耐えきれずに

鳥遊里が戻してしまったらしい。


それに思わずもらってしまって

息ができない

湧き出てくる

苦しい


嶺隠は相変わらず冷ややかな目で


内海屋は憎そうな目で


輝虎は優しくせなかをさすってくれて


水を持ってきてくれた。



苦しい



なぜ



救われないのだろうか




彼らの恨みから?



私が弱いから????



わたしは



わるくないのに





吐き出したそれを見て



何も感じない


それほどまでに



慣れてしまった



異常だ。



こんなこと




同級の者らもみなこうなのか?


嘔吐に躊躇なく



血を見て笑い



その自分の姿のおぞましさに身震いしているのか???


世間はそんなやつが普通なのか??



狂っている。



わたしが、




狂っているだけだろう。





何が違ったのかは分からない




あの日あれをやったのは

今覚えば私ではなかったのだろうか




ごめんね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る