第2話 特別対談 ナオミVSひじき


喫茶店で向かい合い、暇を持て余す女装二人。

コーヒーにクリームを入れすぎたナオミさんと、コーヒーのスプーンを振り回すひじきさん。


窓際のテーブル。


――――――――――――――――――――――



ナオミ「あんた、相変わらずオバハンくさいわねぇ~」


ヒジキ「オバハンくさいんと違います。オバハンなんです。」


ナオミ「あきれたわぁ」


ヒジキ「あきれたあの子はアサリちゃんで十分よ。

あーたなんかアサリちゃんにもなれない、アサリちゃんの姉よ。 」


ナオミ 「私たち~、アサリなんて口にしませんの、ムール貝よね?美香さん。」


ヒジキ 「どこに美香さん居るのよ(笑) しかもムール貝って、リーズナブルなんじゃないの?」


ナオミ 「ズズズ~」


ヒジキ 「コーヒーをこぶ茶みたいにすすってんじゃないわよ、恭子さん。アサリすら口に出来ない経済状況なんじゃないの?(笑)」


ナオミ 「だれが恭子さんよ。胸にシリコンなんて入れてませんけど。」


ヒジキ 「あんたが振ったんやないの。」


ナオミ 「ちがうのよ、三人目の妹がお金を持って逃げたのよ~」


ヒジキ 「んー、サザエさんみたいに、裸足で陽気に追っかけなさい。妹」


ナオミ 「あたしみたいな女装が汗かいて陽気に走ったらアンタ、それこそ口裂け女と間違われて大騒ぎよ。」


ヒジキ 「・・その騒ぎで儲かるはずよ。ここのコーヒー代はあんたが払ってね。」


ナオミ 「・・口裂け女に喫茶店でコーヒーおごらす女は、もはや口裂け女以下の女よ。

いいの?あなたはホントにそれで、いいの?え?」


ヒジキ 「いいのよ、口が裂けてもコーヒーはおごれるでしょ。」


ナオミ 「・あ・・あんた・・。顔とか口の問題じゃなくて、心にマスクしたほうがいいわ。恥ずかしい。」


ヒジキ 「人の世話はいいのよ、奥さんこそ普段タイガーマスクとか被ってなさいよ。その方が美人よ。素顔より。」


ナオミ「素顔で喫茶店に長居してるあたしに敬意を表されたい。コーヒー一杯でよしなに。」


ヒジキ 「頭から首までコンドーム被ってコーヒー飲んだら、おごってあげてもいいわよ。」


ナオミ 「あら、そう、


ガサゴソ・・(バッグを漁る音)


ペリペリっ (包装を破る音) 」



ヒジキ 「あっ!!ちょとあんた、何やってるの!?やめなさいよっ!!ちょっとーー(汗) 」


ナオミ 「ただの胃薬よ。」


ヒジキ「はーーびっくりしたぁ、あんたならやりかねないわ」


ナオミ 「何をよ。何をさせたかったのよ(笑) 期待に添えずごめんなさいね。」


ヒジキ 「ちょっと期待したわぁ。

て、いぃぇぇ。」


ナオミ 「輪ゴムなら持ってるわよ。・・ほら。」


ヒジキ 「そうよね~、他の方面のゴム製品とかは、そもそも使う機会がないし、持っても意味ないかぁ。あはは」


パチン


ヒジキ 「あ痛っ!」


ナオミの指から飛んだ輪ゴムが、ヒジキのおでこに命中。




(終)

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