第1478話 これからの動き方
情報共有板での情報交換は、とりあえずここまでで終わり。今回のイベント内容的に、これ以上の情報交換は望めないし、提供する気もないですなー。
もし何か情報を出すとしたら、ベスタが言ってたようにモンエボのストーリーに関係しそうな部分でのみだろうね。その辺はみんなも分かってるだろうけど、本格的にどこへどう向かうかを話し合う前に、これは聞いておこう。
「桜花さんと風音さんに提案。今回、組んで動かない?」
「へぇ? そりゃ俺らとしてはありがたい提案だが……ケイさん、いいのかよ?」
「……今回……周りが全員……敵みたいなもの?」
「まぁそうなんだけど、ある程度は協力関係を結んでおくのもありかなーって?」
「……いいの?」
「さっき助けてくれたのに、ここで出ていくのもあれだしなー。みんな、どう? 勝手に言っちゃってるけど……」
ぶっちゃけ、独断専行をしてしまってるんだけど……今回に関しては、みんなとこれからの方針を話す前に、桜花さんと風音さんに言うべきだったしさ。
共同体のチャットで話すんじゃ、無言で何か打ち合わせてるのは丸分かりの状態になっちゃうしね。かといって、目の前……というか、桜花さんの樹洞の中で無視して打ち合わせとか出来ないし!
「私は賛成かな! 一緒に動くにしても、別行動をするにしても、協力関係は大事だと思うし!」
「間違いなくそうなのさー! 絶対に灰のサファリ同盟とかは協力して探すし、5人だけだと厳しいのです!」
「むしろ、もう少し人数が欲しいくらいだよね? 特に、墜落したUFOなんてのがある可能性も考えたらさ」
「確かにな。他にも誘って、連結PTを1つ分くらいはいた方がいいかもしれん。その上で、その全員が桜花さんを中心に集まれるように出来るなら、かなりいいんじゃないか?」
「あー、確かに……」
1ヶ所で1個しか手に入らない仕様になっているのなら、あると予想した墜落したUFOから手に入る分にも制限はかかるはず。そういうのを協力して入手を狙うのは、決して悪くはないはず!
「なるほど、俺を拠点にして探索って事か。風音さん、どうする?」
「……うん……それなら……やりたい!」
「おし、それなら決まりだな。ケイさん、他にもメンバーが欲しいなら、俺から誰かに声をかけてみるが……どうだ?」
「あー、ちょい待って。先に声をかけておきたい人が……って、そういやフレンド登録をし忘れてるな……」
しまったな。今回は他の群集の人と遭遇戦が起こる可能性があるから、曼珠沙華の3人に声をかけようと思ったのに……まさかのフレンド登録忘れ!?
「ん? ケイ、呼ぶのは曼珠沙華の3人か?」
「そうそう、そのつもり。運が悪けりゃ、弥生さんとバッタリ遭遇もあり得るしさ」
「はっ!? 確かにそれはありそうなのさー!?」
「そりゃそうだ……って、考えてる事は向こうも同じみたいだぜ? 当の彼岸花さんから、フレンドコールだ」
「……へ? あ、もしかして、アルは俺らがログアウトした後にフレンド登録をしてた!?」
「まぁな。昨日のあの後、忘れていた事に気付いたからしておいたから……とりあえずフレンドコールに出るぞ」
「ほいよっと!」
ふぅ、アルが連絡を取れる状態になっててくれて助かったー! いやはや、どうやって連絡を取るか、困るとこだったよ。
「……曼珠沙華……例のインクアイリーからの……移籍の3人組?」
「そうそう、その3人! 風音さん的には、あの3人と一緒に動くのはどうだ?」
最初に遭遇した時、風音さんも一緒にいたからね。もし、その時の事が気になって嫌だと言うなら、風音さんの方を優先するけど――
「……もう味方なら……問題ないよ? ……むしろ……何が出来るか……興味がある! ……水……氷……電気……どれも高水準!」
「風音さんらしい答えだなー。まぁそう言ってもらえると、ホッとするわ」
「……会うの……楽しみ! ……桜花……いいよね?」
「俺としちゃ、断る理由も皆無だから問題ねぇぞ」
嫌がる可能性も0ではなかったけど、味方になったからこそ色々と聞ける状況になったのが楽しそうだね。まぁギスギスと変な雰囲気になるより、この方がよっぽどありがたい。
「って事だから、アル、問題ないぞ!」
「おう、了解だ。あー、こっちの話……というか、既に協力体制を確約した2人が、『曼珠沙華』を受け入れるかどうかっての話だな。あぁ、問題ないって状態だ。……あー、サヤ達はどうだ? まだ確認してないだろ」
あ、そういや向こうからフレンドコールがきてたから、その辺の確認が出来てなかったよ。俺は俺自身が呼ぼうと考えてたから問題ないとして……サヤ達はどうなんだろ? 駄目とは言わない気はするけど――
「全然、問題ないのです!」
「問題があるなら、そもそも昨日の時点で色々と断ってるかな?」
「あはは、確かにそうだよね。今回は弥生さんと遭遇する可能性もあるんだし、約束通りでいいんじゃない?」
特に誰も嫌がる気配はなし。まぁサヤの言ってる通り、嫌ならそもそも弥生さんと戦闘になる可能性のある時に同行するなんて約束は、初めからしないよね。
「全員了承だな。あぁ、確認は取れた。あー、1人が不動種でな? そこを拠点にして動くって事で……あぁ、そうなる。場所は群雄の密林、桜の並木の1番外の端だ。名前は『桜花』だから……おう、待ってるぞ。じゃあ、また後でな」
「『曼珠沙華』の3人、これから来るって?」
「そうなるな。桜花さん、『彼岸花』さんと『リコリス』さんと『ラジアータ』さんの3人が来たら、中に入れてくれ」
「おう、任せとけ!」
並木の一部に植わってる桜花さんで集合は目立つだろうけど、まぁ人が集まる場所で目立つ事自体は問題ないだろ。問題はどこをどう探索するかだけど――
「さて、これで10人だが……話を聞いてる限りでは、ケイさん達と『曼珠沙華』とやらは一緒に動く事になりそうだな?」
「あー、まぁそれは確実だろうな。風音さんも一緒に動くよな?」
「……もちろん! ……桜花は……待機?」
「流石に完全に取引を止める訳にはいかないから、俺はそうなるな。……こうなると、完全に別働隊のPTも味方に欲しいか?」
「だなー。出来れば、ソロの人や1PTだけの共同体辺りがいいかも……?」
その方が、おそらくスムーズに動けるはずだし、お互いにとって利益のある動き方になる。問題はそれに誰を誘うかだけど……。
「はい! 誘うの、紅焔さん達はどうですか!? 前にも協力してやった事はあるし、やりやすいと思うのです!」
「あー、そういや五里霧林で群集支援種探しを一緒にやったもんな。ありちゃありか?」
「それなら、急いだ方がいいんじゃないかな? さっきの落下物の情報を上げたの、紅焔さんとソラさんだよね? 下手すると、もう殺到してる可能性も――」
「……その当人達が、今、目の前に来てるんだが……入れても問題ないか?」
「へ? え、紅焔さん達、ここに来てるのか!? それ、入れてあげてくれ!」
「おうよ。紅焔さん達、急いで入ってくれ。『樹洞展開』!」
何がどうしてそういう状態になってるかは……まぁみんな、考える事は同じなのかもね。大規模な共同体以外で、実力も実績もある少人数の共同体って、そう多くはないもんなー。まぁ、正確な数は知らんけど。
「おっしゃ! なんとかこれで落ち着いて話が出来る!」
「まったく……あの人達は、本当にブラックリスト入りしたいのかい?」
「……情報を聞き出すのではなく、連結PTへのお誘いですからね。個別に勧誘してきているだけですし、流石にあれでブラックリスト入りは難しいかと……」
「でも、現金過ぎるって! イベントが始まって、もう1時間は経ってるよね? なんで情報を出した途端、僕らに標的がくるのさ!」
「そりゃまぁ、紅焔とソラが情報をケイさん達に合わせて出した……って、グリーズ・リベルテがいるじゃねぇか!?」
「おっ、マジだな! おっす、ケイさん! さっきの情報、ありがとよ!」
「それは、どういたしまして」
樹洞の中に俺らがいた事に気付かないくらい、慌てて逃げ込んできたって感じだなー。まぁ桜花さんのとこで紅焔さん達とはよく会うし、桜花さんの馴染み同士だからこそ、こういう事態になったんだろうね。
「ケイさん達は、桜花さんの樹洞の中にいたのですか? 何故、このような……いえ、そういえばケイさん達も囲まれかけたのでしたね」
「ライルさん、正解! 『飛翔連隊』も、勧誘が凄まじくて逃げてきた感じ?」
「そうなんだよ、ケイさん! いや、別に悪気がある訳じゃねぇのは分かるんだけど、一気に来られても対処し切れなくてな! あー、どうすっかな。全部断っていくのも面倒だし……」
「はい! それなら、私達と一緒にやるのはどうですか! ただいま、協力相手を絶賛募集中なのです!」
苦労が見える紅焔さんと、思いっきり遠慮なく突っ込むハーレさんだな!? いやまぁ、元々誘う気になってたし、良いタイミングではあるんだろうけどさ。
「ん? え、ケイさん達も募集してんの?」
「いや、募集はしてないぞ」
「えっ!?」
「いやいや、なんでハーレさんが驚く!? 誰でも無作為にって訳じゃないし、ピンポイントで『飛翔連隊』を候補に上げてた段階だろ! それを募集とは言わん! 俺らのは勧誘だ、勧誘!」
「あぅ!? ……怒られたのです。でも、確かにそうなのさー!?」
紛らしい言い方をするからだっての。今は桜花さんの樹洞の中にいるから大丈夫だけど、外で募集なんて言おうもんなら、すぐに俺らにも殺到してくるぞ!
「……紅焔、これはチャンスじゃないかい? ケイさん達なら気心が知れた相手だし、悪い話ではないだろう?」
「だよな! ケイさん、さっきの募集してないって言葉には一瞬焦ったけど、純粋に俺らへ勧誘話があるって事だよな?」
「まぁそういう認識で問題ないぞ。ただ、他に――」
「ケイさん、遮って悪い。曼珠沙華の3人がご到着だ」
「あー、入ってもらってくれ」
「おうよ。『樹洞展開』! 3人とも、入ってくれ」
紅焔さん達に先に話そうかと思ったけど、もうここまで来ているなら入ってもらった方がいいだろ。流石に決まったのが先の人を優先したいから、一緒の連結PTが無理だと思うなら、遠慮してもらった方がいいしね。
「……『曼珠沙華』って、昨日、ケイさん達とベスタさんが引き入れたインクアイリーの3人組だよね!? 辛子、そうでよかったよね?」
「あぁ、そのはずだ、カステラ。……ケイさん、まさか今回は『曼珠沙華』が一緒なのか?」
「まぁそういう事になるな。それでも良ければ、協力体制を取ろうって話なんだけど……」
さて、この反応は単にびっくりしているだけなのか、それとも『曼珠沙華』に対する反感でもあるのか……どっちだ? なかなか先に説明が出来ない状態が続いてるけど、とりあえず顔合わせだけでもしてもらおう。
「……先客が、いる?」
「あー! この5人、知ってる! 灰の群集の少人数での強いとこ!」
「『飛翔連隊』か。確かによく聞く名だな」
ほほう? 『曼珠沙華』の3人にも『飛翔連隊』は認識されてるのか。まぁあちこちで俺らとは違った目立ち方もしてるんだし、全く知らないなんて事はないですよねー。
「……随分と、私達は知られているようですね」
「わっはっは! それだけ俺らが脅威として知られてるって事だろ! 誇るべきとこだぜ、ライル!」
「まぁそれもそうですね。ソラさんはともかく、私達にとっては勲章のようなものですし」
「……ケイさん、『飛翔連隊』も今回、一緒に動くの? 私達はそれでもいいけど……」
「それは紅焔さん達次第なんだけど……紅焔さん、どうよ?」
彼岸花さんが気にするのは当然だけど、決定権を握っているのは俺じゃない。もし『飛翔連隊』の面々が嫌だと言えば、この話はそこまでで終わりだし、残念だけど協力は無しだな。ただ、順番的には曼珠沙華の方が先だから、そっちを優先して――
「んなもん、OKに決まってんだろ! 元インクアイリーだろうが、今は味方だ! さっきまで追い回してきてた連中も味方だけど、このイベント中は敵だしな!」
おっ、紅焔さんはいい反応! この感じならすんなり通りそうではあるけど……ソラさん達はどうだろね?
「……紅焔、どちらかというとこれから断って回るのが面倒なだけだよね?」
「それもあるとは認めよう! だがな、ソラ! 実際、悪い話じゃねぇぜ? 別に元インクアイリーだからって、恨みがある訳でもねぇしよ。ライルや辛子やカステラもそうだろ? ここで手を組むのは、マジでありだぞ!」
「……まぁそれはそうですね」
「ま、下手に勧誘されまくるよりも、既に組んでるって言った方が断りやすくもあるしな」
「でも、この人数で動くのは多くない? 流石に効率悪い気がするんだけど……」
「僕、対人戦はお断りだからね」
「あー、カステラとソラからこういう意見が出てるんだけど、ケイさん、その辺はどうなんだ?」
ふむふむ、まぁこの辺は想定の範囲内……というか、むしろ都合が良いかもね。そもそも、全員で一緒に探して回る予定にはしてなかったし。
「それについては、個別に動くって考えてるぞ。連結PTだけ組んでおいて、見つけたものがあれば情報共有って感じ。戦闘するかどうかも、個別に任せる!」
「だそうだぞ、ソラ、カステラ!」
「そういう話なら、問題はないね。僕らはいつも通りに動くだけさ」
「僕の方も問題ないね!」
「って事だぜ!」
「それなら、ここにいるメンバーで共同探索で決定なのさー!」
なんかハーレさんに締めを持っていかれたけど……まぁいいか。誰にとっても悪い話じゃないし、メンバーに空きは少しあるけど、そこは大して問題ないだろ。
みんな頷いていて、特に異論もないようだから、これからどこへどんな風に探索していくかを――
「いっそ、俺らと風音さんと曼珠沙華は2PTに分けて動くか? この際、手分けするのもありだと思うが……」
「……アル、それってどう分けるんだ?」
「……あー、すまん。言ってみたものの、色々と厳しそうだ。なかった事にしてくれ」
「そりゃまぁいいけど……」
アル、どういう分け方をしたんだ? えーと、もし仮に俺が分けるとすれば……曼珠沙華は3人セットの方がいいし、弥生さんとの交戦を考えるなら俺もそっちだな。それに風音さんも興味を示してたから……って、俺だけ除け者状態だ!?
あ、流石にそれは勘弁っすねー。誰か他に俺の方に来てもらったら、今度はそっちの人数が少なくなるから、どう考えてもバランスが取れんわ! うん、アルが取り消した理由には納得。
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