第1196話 青の群集への対策会議 前編
18時が来たという事で、サヤとヨッシさんは晩飯を食べに一旦ログアウト。残った俺らは、これから情報共有板で作戦会議だけど……その前にこれを確認。
「アルと風音さんは、晩飯はどうするんだ?」
「俺はそうだな……。サヤとヨッシさんが戻ってきて、これからの内容を伝えてからにしとくわ」
「……決めてない。……食料は……買い溜めしてるけど……どうしよう?」
ふむ、アルはその辺の融通が利くのはいつもの事だから分かってるけど、風音さんもそうっぽいね。でも、そこでどうしようと聞かれても困るんだけど……。
「……ケイさんと……ハーレさんは?」
「俺らは19時で一旦ログアウトだな」
「……俺ら? ……なんで……一緒?」
「ふっふっふ、ケイさんは私の兄貴なのです!」
「……そうなの? ……だから……一緒なんだ」
「まぁそうなるなー。一緒の家にいるんだから、晩飯の時間も同じって事で」
「まったく、今更ながら……どういう偶然なんだかな?」
「だよなー」
本当に今更な内容だけど、凄まじい偶然に偶然が重なったからこその状況だしね。まぁなんだかんだで、今は何も問題なく楽しめてる状態になってるんだからいいもんだよ。
「……それなら……ケイさんと……ハーレさんに……合わせる。……その後……絶対……ジェイは仕留める!」
「殺気がダダ漏れなのさー!?」
うん、もうその部分は無理に抑えようとはしなくていいや。ジェイさんと斬雨さんのコンビを放置出来ないのは間違いないし、どう考えてもあの2人が総力戦で出てこない訳がない。
しっかりと宣戦布告はしてきたし、ジェイさんは必ずぶっ倒して、完勝を狙うまで! 再戦エリアを奪われてたまるかってんだ!
「風音、少し聞いておくが、参戦はケイ達のPTと一緒でいいのか?」
「……そのつもり……だけど……ダメだった?」
「いや、俺らとしては風音さんがいいなら別に大丈夫だぞ」
「……だそうだよ?」
「なるほどな。それだとケイ達のPTは連結PTにしない限りは空きは無いか……」
ん? ベスタが俺らのPTの空きを気にしてた? もしかして、今回は俺らのPTで一緒に動くつもりでいたとか?
あぁ、そうか。次の1戦は再戦エリアだし、成熟体の移動速度を考えるとそこまで広くはない。目立つ俺らは、一ヶ所に固まっておくというのもありか!
「……これからその辺は調整するか。どっちにしても、まだ作戦自体が用意出来てないしな」
「だなー。それじゃ情報共有板に行かないとな!」
「あぁ、そこで大雑把にだが方針を決めていくぞ」
ベスタが意図していたところは正確には分からないけど、極端に外れてるという事もないはず。まぁこれから動き方を決めていくんだから、ここだけで結論を出す意味もないか。
という事で、情報共有板へ移動! さーて、青の群集との総力戦、どういう形で勝ちを取りに行くかを決めないとな!
イノシシ4 : ミヤ・マサの森林での対戦は22時からか。
草花3 : いやー、希望通りの時間になって助かった。
ヘビ : さて、ある程度は開始時間の情報は広まってきたし、オオカミの人が、作戦会議を始めにそろそろ来る頃か。
オオカミ : あぁ、丁度その通りだな。俺は今回は開始ギリギリになるからな。今のうちに大雑把にでも、動きを決めておくぞ。
ヘビ : おっ、噂をすればなんとやら。
カンガルー : 再戦エリアは、まぁシンプルと言えばシンプルだけどな。
リス2 : どっちが守り切るか、単純だけどそういう勝負!
ドラゴン : 攻め落とすのも重要だけどな!
クマ : 守りを固めるのも重要だから、忘れちゃいけないね。
クジラ : えっと、必要なのは群集支援種の……なんだっけ?
カツオ : カトレアだ、カトレア!
クジラ : そう、そのカトレア! カトレア防衛班と、青の群集の……こっちは名前を知らない気がする!?
草花 : 分からないのに、なんでまとめようと思ったの!?
クジラ : え、つい?
イカ : 気持ちは分からんでもないけど、分からないとこは他の人に任そうぜ?
うん、そこはイカの人に同意。このクジラは……シアンさんか? いや、セリアさんの可能性もあるし、他の知らない人の可能性だってある。……流石にこれだけで誰かという判定は無理か。
リス : 青の群集の群集支援種はカレンだね。カトレアもカレンも栗の木だから、ちゃんと名前と群集の確認はする事! まぁ総力戦だと、途中からは必要なさそうな気もするけどねー。
コケ : あー、人が集まってたら関係もないのか。
リス4 : どこにいるかは、一目瞭然なのさー!
ん? いや、ちょっと待てよ。成熟体が戦力のメインになるんだし、その辺はあっさりと見つかるはず。総力戦を開始した時点で、どっちも群集支援種を探すとこからスタートになるだろうけど……その状況を逆に利用出来ないか?
コケ : ちょっと提案。あえて、普通の栗の木の人を囲んでダミーを作るのもあり?
クジラ2 : おぉ!? その手があった!
キツネ : なるほど、群集支援種のダミー作戦か。
カンガルー : ありと言えばありだな。栗の木のプレイヤーはそれなりにいるし、大勢のプレイヤーに囲ませて引き付けるのもありか。遠目からなら分かりにくいはずだ。
オオカミ : 『浄化の守り』までは偽装出来んが、確かにそれはありかもしれん。開始になれば群集支援種の捜索から始める必要があるし、少しの間の撹乱には役立つな。
木5 : そういう事なら、その役目は立候補するぜ!
木8 : 同じく、立候補させてもらおうか!
木9 : おっ、すぐに出てくる立候補者が2人もいるのか。
おー、ただの思う付きで言ってみたけど、いい反応! 『浄化の守り』をこの目で見てないからその辺の具体的な事は分かってないけど、それでも青の群集の目を誤魔化すにはいけるはず!
オオカミ : ふむ、立候補者がいるなら実行に移してみるのもありか。だが、どこかで事前に打ち合わせをしておく必要もあるな。
リス : まぁその辺は後でいいでしょ。今はとりあえず、基本的な動きを決めていこー! その上で必要な役割を決めて、それを割り振っていくんでいいんじゃない?
オオカミ : それもそうだな。少なくとも今回は、カトレアの防衛班とカレン撃破班の2つは必須になる。問題は攻勢寄りにするか、守勢寄りにするかだが……。
カンガルー : 攻勢寄りなら、撃破班に戦力を集中ってとこか。
イノシシ : 敵の群集支援種のランダムリスポーンになるのを考慮した上で、強いグループを何班か用意して分散はさせといた方が良さそうな気がするぞ。
サボテン : 守勢寄りなら、カトレアをメインに成長体や未成体の人の護衛に戦力を回す感じだろうなー。
カメ : 『浄化の守り』で耐久性を上げつつ、攻撃を仕掛けてきた青の群集を迎撃ってとこか。
リス2 : 同時にやりたいけど、その辺はちょっと厳しそう?
これは相手の群集支援種を辿り着かせない事に比重を置くか、自分達の群集支援種を辿り着かせる事に比重を置くかって話だな。可能なら両方がいいんだろうけど、攻めを重視するか、守りを重視するか、その方針は決めておいた方がいいかもね。
オオカミ : この辺は戦力の割合の問題だな。総力戦になった事で、おそらく想定以上に参戦者が集まってくるはずだ。臨機応変に切り替えながらと言いたいとこだが、人数が増えれば増えるほどにそれは難しくなる。
キツネ : さっきのコケの人のダミー作戦、それこそ青の群集の人数が増えたら効果的なんじゃ?
木 : ダミーも兼ねた、撃破班ってのもありじゃね?
サボテン : それもありかもな。守ってるように見せかけての、実は攻撃要員ってのは出し抜けるかもしれん!
あー、そこまでは考えてなかったけど、確かにそういうやり方もありか。まずは群集支援種を見つけなきゃいけないんだから、そこに2重に偽情報を混ぜるのは有効なはず。
とはいえ、この辺はジェイさんも考えそうな作戦な気もするんだよなー。自分で提案しといてなんだけど、思いついた手段は青の群集も使うと考えた方がいいかも。
リス : んー、でもその手の作戦は向こうも使ってくるだろうから、その辺は要注意だね。わたし達が思い付いたものは、使ってくるって前提でいた方がいいよ。
イカ : 今の他の群集相手なら、その手の警戒は必須か。
クマ2 : そこは灰のサファリ同盟の方でチェック要員を出してもらうのはどうだ?
リス2 : 多分、それならどうにか出来ると思うよ! 戦力的には不足かもだけど、そういう部分は任せて!
フクロウ : 灰のサファリ同盟を中心に添えつつ、戦力になる他のPTを連結させていけばいいんじゃね?
クマ : それはいいんじゃないかい?
ドラゴン : 連携を取る動き方としてはそれでいいと思うぜ! でも、肝心の方針はどうすんだ?
クジラ2 : 攻勢メインか、守勢メインかは決めておいた方がいいよね!
海藻 : 両方必要だろうけど、守りは海エリアから出張していくよー! ダミー作戦に回してくれてもいいけど!
キツネ : おっ、そりゃありがたい!
リス4 : 総力戦だし、みんなで頑張ってやるのです!
ふむふむ、まぁ海エリアの人は普段と勝手が違うだろうから、攻め込むよりは防衛向きではあるよな。そういう風に考えそうなとこに、ダミー作戦へと混ぜるか。それもありだよなー。
でも、まずは攻勢メインか守勢メインか、そこを決めないとどうしようもない。攻勢メインならその時々の状況での判断が重要になるけど、守勢メインなら常に防衛に回る事に集中しないといけないしね。心構えが変わってくるから、ここは重要な部分!
オオカミ : その部分は希望を聞いていきたいとこだが……今回については、俺から提案がある。
リス : およ? 提案?
オオカミ2 : そういう言い方をするのは珍しいな?
海藻 : 確かにそうだね?
オオカミ : 青の群集には、ジャングルでしてやられたからな。個人的には守りに徹するより、攻めを重視したい気分だ。だが、守りを甘くし過ぎる訳にもいかん。
ヘビ : まぁ守らないと、辿り着けないしな。
コケ : 攻勢重視にしつつ、守りも甘くしないようにって提案か?
オオカミ : いや、違うぞ。攻めと守りを同時に行う。ただし、守る場所を増やして、先に浄化の要所を押さえる。
コケ : そうきたか!?
あー、ここでそういう選択肢を出してくるか! 辿り着いて占拠すべき場所を、真っ先に押さえてしまおうって作戦なんだな。確かにこれは攻めでもあるし、守りでもあるか。
ライオン : ほう? それは面白い案ではないか? なぁ、ヒョウの?
ヒョウ : 違いねぇな。なぁ、ライオンの。
カンガルー : その案自体はいいが……それは開幕早々の時間との勝負じゃねぇか?
ヘビ : 浄化の要所の場所自体は判明してるんだから、そう簡単に押さえられるとも思えないんだが……。
リス : もしかして、またコケの人達が空を吹っ飛ぶ?
オオカミ : あぁ、そのつもりでいる。何PTか、同様に突っ込んで押さえてもらいたいんだが、どうだ? そこには俺も混ざるつもりだ。
コケ : あー、峡谷エリアでやったあれを、またやれって事か。
リス4 : また吹っ飛ぶのー!?
なるほど、そういう先手の取り方なんだな。ベスタも一緒に来ようと考えてたのは、最重要な部分を押さえに動く為。占拠すべき浄化の要所さえ押さえてしまえば、それがそのまま敵の妨害にもなるか。
リス : んー、それってオオカミの人やコケの人達の負担が大きくならない? 大人数過ぎると逆に邪魔になっちゃうけど、攻め込む方はその辺は関係ないよ?
クジラ : それはそうだよね!?
カツオ : まぁ楽な役目じゃないよな。逃げ道は完全にない訳だし……。
オオカミ : それは承知の上だ。おそらく、これをすれば青の群集は排除の為に戦力を大量に回してくる筈だ。
イノシシ : まぁそりゃ当然の流れだよな。
ドラゴン : そっから、どうすんだ? 囲まれて袋叩きに合う可能性は高い気がするぜ?
オオカミ : そうしたければ、そうさせればいい。狙うのは、その背後だ。
コケ : あ、俺らが引きつけといて、挟撃する形に持っていくのか!?
リス : あー、それならありかもね。だったら、囲んでる中に突っ込んで大暴れもいいかも?
ライオン : 暴れまくってやろうではないか! なぁ、ヒョウの!
ヒョウ : おうともよ! なぁ、ライオンの!
クマ2 : へぇ、そりゃいいな。攻撃してる時こそ、一番の狙い所って事か!
俺らの負担が半端ない気もするけど、もしうまく行けば厳しいのは一時的なものか。そこを凌げば、むしろ挟撃に出来るから優位性は取れるはず。
ただ、そんなに上手くいくのかという不安もあるんだよなぁ……。事前に作戦を用意するのはジェイさんの得意分野だし、既にこの手段は考えているものとして考えろ。これをさせない為には、何をどうやる? 俺なら、この手段をどう潰す?
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