第1168話 反省点とこれからの方針
ウィルさんからの提案をみんなに話していってるとこだけど、罠だと警戒する様子はあっても、提案そのものを拒否するような反応は特にない。それだけ、動きが読めない無所属は危険だとみんな思ってるんだな。
そう考えてみると、ある意味ではウィルさんが赤の群集に戻っていて助かったのか? 仮にウィルさんが今もまだ無所属のままだったなら……ウィルさんが主導で無所属の集団を率いてた可能性もあるんだよな。
そもそも無所属にも実力者がいるのは間違いない。つい最近まで風音さんがそうだったんだし、羅刹だって今回は味方として参加してるけど敵になってた可能性は充分ある。……イブキは、まぁ決して弱く訳ではないしなー。
って、こういう風に考えてても仕方ないか。とりあえず情報共有板で、続きを見ていこう。
ライオン : よし、傭兵の人から話は聞いてきたぞ。
カンガルー : おっ、聞き終えたか。どんな内容だった?
リス4 : さーて、どんな内容かなー?
ライオン : 無所属には集団で群集を抜けてきている連中が複数いるって話だ。ただ、それが今回の一件に関係あるかは分からんそうだがな。
木 : それって、移籍が可能になった時に離れた連中か?
リス2 : 1番大規模だったとこは、例の赤の群集の作戦参謀に収まってる人のとこだよな。まぁ今は赤の群集に戻ってる訳だけど……それ以外にも集団で動いている無所属勢がいるって事か。
オオカミ4 : リス4の人、何か心当たりはないか?
リス4 : そういう集団自体にはいくつかは心当たりがあるけど、今回みたいな動きをしそうなとこには心当たりはないよ? でも、わたしも無所属の全員を把握してる訳じゃないからねー。
カンガルー : というか、参戦してきそうな連中は割と赤の群集の傭兵になってた気がするぞ?
クマ2 : 確かに連携が取れていた無所属も結構いたねぇ。
ふむふむ、無所属が一枚岩ではないのは分かってたけど、その中でもいくつかの集団が存在してたりはするのか。……風音さんみたいに、群集が嫌になった人達がまとめて抜けていったってのもありそうだよな。
コケ : その中の1つの勢力……いや、1つとは限らないのか。ともかく霧の森で暗躍しそうな無所属がいる可能性自体は、実際にあると思って問題ない?
ライオン : あぁ、そう思って問題ないそうだ。無所属こそ、どこよりも全体像が把握出来ない無秩序な立ち位置だからな。
サボテン : ある意味では、少数精鋭の気の合う集団って事か。厄介といえば、厄介な勢力なのかもな。
ドラゴン : そういう意味で考えるなら、他の群集との共闘はありじゃね? 状況次第では、黒の統率種が複数人とかもあり得るだろ?
クジラ : あ、そっか! そういう可能性もあるんだ!?
クジラ2 : その場合、黒の統率種同士では会話は出来るのか?
リス4 : そこは……謎だねー?
リス3 : 調べてみたいけど……傭兵の誰かに黒の統率種に進化してもらってみる?
キツネ2 : そういや例のタコの黒の統率種の人は、今はどうなってんの?
クマ2 : あの人なら、今は霧の森に行くって筆談で伝えてから転移していったぞ。統率した黒の瘴気強化種を全て使い切ったみたいだからな。
カンガルー : エリアボスの撃破の為に尽力してくれてたが、ミマタノオロチに倒されまくっていたな。
あぁ、そういや時雨さんが過剰魔力値を得る為に統率した黒の瘴気強化種を活用してくれてたんだっけ。それでエリアボスの……ミマタノオロチって事は、ヤマタノオロチへの進化過程のヘビ? 成熟体まで進化してる割に、三股なのか?
リス5 : はい! 聞いても仕方ない気もするけど、エリアボスのミマタノオロチってどんなのでしたか!? 頭が3つあるヘビですか!?
カンガルー : あぁ、そうなるぞ。ボスとしての特徴は、3つの頭がそれぞれにHPの判定を持ってた事か。特性としては『多頭』だな。
イタチ : 実質、3体のボスを同時に相手にしてるようなものだった!
コケ : げっ!? そんな仕様なのか!?
オオカミ : 1つずつの頭は耐久性はそれほどでもなかったんだが……再生能力まで持っていてな。ジャングルでの横取りの件もあったから、倒していいのかは悩んだんだが……。
ヘビ2 : てか、地味にオフライン版の成熟体とは頭の数が違ってるのが気になる……。
キツネ2 : そこ、気になるよなー。まぁそれは何か要素がありそうな気はするけど……。
オオカミ4 : その辺の検証は追々とだな。ともかく、状況としてはカナデが一向に見つかなかったのと、ネコ夫婦が抑えられてる状態から、ミマタノオロチを倒して群集支援種にして占拠を狙うつもりだったんだが……。
リス4 : 後は知っての通りだねー。
コケ : うっわ、そういう流れか……。
俺らがなんとか弥生さんとシュウさんを抑えられている状況だったから、ベスタはエリアボスの討伐をしてから群集支援種として確保するつもりだったのか。でも、その時点ではもう赤の群集は自分達のとこの群集支援種は確保済みだった訳で……。
あー、つくづく赤の群集に踊らされてしまったのが今回の峡谷エリアでの1戦だった気がする! それにしても……エリアボスがヘビだったのなら、俺はそっちに行かなくて済んでよかった。思いっきり個人的な理由だけど!
オオカミ4 : 話が脱線気味だから、流れを戻すか。無所属の動きを自分達で確認する必要はあるだろうが、その辺の動きを確認出来たら共闘を受ける気はあるか?
カンガルー : 俺はありだと思うぜ? そもそも無所属は乱入してきているんだし、1番邪魔ではあるからな。
リス4 : 傭兵になってる人なら話は別だけど、あからさまに邪魔しにきてる感じだしねー。わたしは参戦!
ドラゴン : 俺も賛成ではあるが、まぁここで確定って訳でもねぇよな? リーダー、群集としての意志の統一はどうすんだ?
オオカミ4 : ……そこはさっきも課題として上がっていた部分か。俺かコケの人だけが総指揮って訳にはいかんが……すぐにどうこう出来る問題でもないぞ?
イタチ2 : 戦闘指揮以外なら灰のサファリ同盟が出来そうだけど……。
リス3 : ごめん、戦闘は無理! それ以外ならなんとか出来るけど!
ヘビ : 出来そうな人がいる共同体といえば、『オオカミ組』か『モンスターズ・サバイバル』?
クジラ : 『飛翔連隊』とかもいけるんじゃない?
ドラゴン : ちょ!? それは無理! 戦うのは出来るけど、全体の指揮とか無理だから!
コケ : ドラゴンの人、やってみる前から出来ないとか言うもんじゃないぞ! やってみたら意外と出来るかもしれないしさ!
ドラゴン : やってのけたコケの人に言われると、反論し辛いな!?
ふっふっふ、ここで紅焔さんだけ逃げようとしてもそうはいかないぞ! 最前線で戦えるだけの戦力があって、上空から戦況を見渡せてるんだし、後はやる気があればなんとかなる! 出来ないなら、出来るようになるまで練習あるのみだぞ!
ドラゴン : だー!? あれだ! 『三日月』はどうだ!?
クマ3 : なんだか強引に流れを変える為に名前を出されたのが気にはなるが……まぁ他に適任がいない状況であればやっても構わんぞ。だが、普段からの動きを考慮に入れれば『オオカミ組』か『モンスターズ・サバイバル』が適任じゃないか?
ライオン : まぁ大人数への指示出し自体には慣れているからな。共同体の内部での役割分担を見直して、全体が認めてくれるのであればやれなくはないか。
オオカミ : そこはライオンの人に同意だ。自分達の群集の方と兼任しない状況へとスムーズに切り替えられるなら、絶対に無理ではない。ただ、リーダーよりは精度は落ちるのは勘弁してくれよ。
ヘビ : まぁリーダーと同水準を求めるのは酷ってもんだしなー。
カツオ : そりゃそうだ。海の方からでも指揮自体は出来るのは何人かいるが……流石に、環境が違い過ぎるから不適切な気はするぞ。
クジラ : それはそうだよね!?
カンガルー : 流石にそれは無茶振りが過ぎるだろうよ。海の人に、地上で指揮を取れとは言わねぇよ。
トカゲ : 他にも思い当たる人はいない訳でもないけど、森林深部の有名どころの方が万が一の時の指揮権の移行はしやすいかー。
木 : 灰のサファリ同盟の本部との繋がりも多いとこだしな。
コケ : 俺がやった時みたいに、総指揮は全体把握と方針の決定に専念して、細かいところは各共同体やPTに任せるのがいいかも?
どうやったって、総指揮ともなれば把握しなければいけない情報が多過ぎるもんな。だから、いかに全体の戦況を把握して、役割を振り分けるかが重要になってくる。
ベスタだって、全てを自分1人で把握してやってる訳じゃないしね。今回の峡谷での1戦にしても、役割を分散させていたんだし。
その分散させたそれぞれの場所からの情報の集積が、弥生さんとシュウさんがベスタを抑え込んだ事で上手くいかなかったのが敗因の1つ。それをベスタの代わりに引き継げる状況になってなかったのも敗因の1つだよね。……色々と反省点がみえてくるもんだ。
オオカミ4 : まぁその辺の改善は今すぐにとはいかないだろうが、早いうちになんとかする事を考えるか。
リス4 : それでいいと思うよー!
リス3 : 作戦立案や総指揮は無理だけど、方針に合わせての人員調整は灰のサファリ同盟で引き受けるからねー!
オオカミ4 : あぁ、それで頼む。それで話は戻すが……基本的には赤の群集からの提案を受け入れる方向で考えつつ、少し様子見でいくぞ。コケの人、すぐに回答が必要な訳ではないな?
コケ : 少なくとも、青の群集との1戦が終わるまでは待ってくれると思うぞ。てか、青の群集には俺らの方から提案する感じがいいんじゃないかと。
ドラゴン : 俺はそれでいいと思うぜ! 青の群集がどう出るか次第で、赤の群集への返答を改めて考えるのでいいんじゃねぇ?
カンガルー : 確かにそうだな。青の群集の同意を得られないのなら、赤の群集とだけ共闘をするのも微妙になりそうだ。
オオカミ4 : だな。とにかく現状では前向きに検討はしつつ、回答は保留としておこう。
コケ : ほいよっと。
青の群集へ提案する事自体は確定だけど、その後にどうしていくかは青の群集の反応次第。まぁそれ以前にまだ青の群集との再戦が待ってるから、そっちが先だけどね。
コケ : そういや、青の群集の動きはどうなってる?
カメレオン : サバンナで様子は見てるけど、まだ時間はかかりそうな感じだぞ。
蝶 : そだねー。もうすぐ12時だからミヤ・マサの森林での戦闘の解禁時間にはなるけど……まだ、すぐには無理じゃないかなー?
草花4 : サバンナを取りに行ってる間に、サクッと終わらせる手段もあるにはあるけど……。
オオカミ : それをすると、青の群集はブチ切れそうだな……。
オオカミ2 : それは確かにありそうっす!
コケ : 多分、そうなるよなー。
ある意味、今はすぐに再戦エリアでの戦闘を終わらせるチャンスではあるけど……それをやれば確実に青の群集の顰蹙を買う。そうなれば、感情的に無所属に対しての共闘の話を突っぱねられる可能性も高くなるよな。
その辺を考えるのなら、青の群集がサバンナを取り終えるのを待った方が良さそうだよね。丁度、昼飯時になるんだし、今のうちに昼休憩を取っておくのが無難なのかも。
オオカミ4 : ……はぁ、こうなったら青の群集とは明確に戦闘開始の時間を設定した上で戦うのが良いのかもな。その辺の調整をしてくるか。
カンガルー : 状況が変わってるし、その方がいいかもしれん。
カメ : オオカミ4の人、任せた!
オオカミ4 : あぁ、任されよう。皆は今のうちに昼休憩を取っておけよ。
ケイ : ほいよ!
他のみんなもベスタのその意向に賛成なようで、賛同の声が上がっている。多分、青の群集としても予定外の状況だろうし、真っ向勝負を望んでいるのなら突っぱねてくる事はないと思うしね。赤の群集の共同体については後回しでいいや。今は青の群集との対決の方に集中しよう。
さて、これで必要な内容の報告ととりあえず方針は決定。もうすぐ12時になるし、昼休憩は確実に取っておいた方がいいよな!
「それじゃ一旦、昼休憩って事で解散! あ、昼からはみんなはどうする?」
「俺らは別行動にしとくぜ!」
「わたしとダイクもだねー。ベスタさんはケイさん達と動く?」
「それは今の段階では何とも言えんが、基本的には別行動のつもりでいてくれ」
ふむふむ、紅焔さん達の飛翔連隊とレナさんとは、とりあえずここまでか。ベスタとは今回はそもそも一緒に動いてはいないし、ダイクさんはこの場で一緒に情報共有板を見てただけだしな。あとは……風音さんか。
「風音さんはどうするのかな?」
「……一緒にやる!」
「ほいよっと!」
「ケイ、休憩後の集合場所はどうする?」
「あー、どうしよう? とりあえずこの場所でもいい?」
「特に問題なしなのさー!」
「安全圏の中なら、特に襲われる心配はないしね。……まぁボスは誕生してるけど」
ちょっと離れた所に出現しているゾンビな大きなトカゲだけど……まぁその辺の討伐もやっていかなきゃだよなー。その時間があればいいんだけど……。
「おし、それじゃここで解散で! 昼飯を食べたら出来るだけ早めに集合!」
「「「「おー!」」」」
「……うん!」
という事で、午前の部はこれにて終了! 峡谷エリアでは負けにはなってしまったけど、色々な反省点を踏まえて次の1戦を頑張っていくぞ! 残りあと2戦、どっちも勝つつもりで!
◇ ◇ ◇
次の1戦への気合いを入れつつ、いつものいったんのいるログイン場面までやってきた。えーと、今回の胴体部分は『競争クエストは激化していく! さぁ、プレイヤーの諸君、全力で挑むのだ!』となっていた。うん、煽ってますなー!
まぁ言われなくて全力で挑むけどさ! また悔しい思いをするのは嫌だし、全身全霊で悔いが残らないように頑張るのみだ!
「いったん、スクショの承諾は来てる?」
「うん、来てるよ〜! はい、これね〜!」
「サンキュー!」
いったんからスクショの一覧を受け取ったけど、今日って競争クエストでしか動いてないのに、承諾の申請があるとは思わなかった。ないと思って聞いたんだけど……って、そういう事かー!?
これ、弥生さんとシュウさんを倒した時の一連の様子が色んな角度から撮られまくってる! あの状況で撮ってたのかと言いたくなるけど、まぁ撮りたくなるよね! 赤の群集からばっかだから、全部却下だけど!
「いったん、これでよろしく」
「はいはい〜! そう処理しておくね〜」
「ほいよっと。それじゃ昼飯を食ってくる」
「いってらっしゃい〜!」
「おうよ!」
そうしていったんに見送られながら、現実へと戻っていく。そういや昼飯は簡単に済ませられるように、晴香がカツサンドをリクエストしてたっけ。サクッと昼飯を済ませて戻ってこないとな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます