第1039話 集まった情報を整理して
手早くこれまで得た情報を情報共有板へと書き込んでいく。傭兵になった羅刹が峡谷エリアに飛ばされている事、HPが無くなっても倒せなかったハチの統率個体の事、ヨッシさんが得た抗毒魔法の事、青の群集に奇襲された事、その手段の推測についてなどである。
コケ2 : とりあえず、報告しておいた方が良い内容はこんな感じ。
ドラゴン : 思った以上に情報が多いな。まだ本格的な衝突はそんなに発生してないし、今のうちに情報をまとめといた方が良さそうか。
イカ : だなー。青の群集が相当警戒してきてる?
川魚 : そうっぽいなー。
クマ2 : あの謎の遠距離攻撃の手段の推測は興味深い。
オオカミ : ちっ、弾道を強引に曲げているというのは想像していなかったな。
クジラ2 : あ、そういえばリーダーは今の青の群集の攻撃で仕留められたんだっけ。
クマ : リーダーだけじゃなく、他にも成熟体の奪い合いでの被害は出ているぞ。それにしても遠隔同調で両方の視界を使いつつ、弾を強引に滑らせてか……。
カメ : 確かにそれなら流れ弾扱いになって、危機察知に反応が出ない可能性は高そう。でも遠隔同調なら、それほど長期運用は出来ない?
イカ : ところで、その手段を使ってきたっぽいサルの人の名前は?
え、名前? あっ!? しまった、ブラックホールを使ってきたスミって名前の黒いリスに意識が行ってて、体表にコケがあったサルの人の名前を見るのを忘れてた!?
クマ3 : それなら確か『サスケ』だったかな。もう1人いた外骨格の爪を持つサルの人は『カエルの子は?』だったはず? 闇の操作やブラックホールを使ってきた黒いリスの人は『スミ』だったよ。
あ、どうもサヤがちゃんと把握してくれてたみたいだね。うん、助かった。警戒すべき相手ではあるから、それは助かったけど……これだけは言いたい。
「サルの人の片方は、そんな名前だったんかい!」
「おいこら、ケイ!? あの状況で把握してなかったのかよ!」
「ブラックホールを使ってきたスミって3rdの黒いリスに気を取られてたんだよ!」
「まぁあの状況じゃ仕方ないかな? 流石に3人……確認が出来なかった伏兵も含めたら4人いたんだしさ。あ、敵で抑える形にはなったけど、私達を狙ってたのはもっと沢山いたっけ」
「あー、少しいいか?」
「ん? 羅刹、どうした?」
「いや、俺の勘でしかないから言うかどうか悩んだが、やっぱり言っておく。サルのサスケってのはダミーの可能性がある」
「はい!?」
え、ちょっと待った! あのサルの人がダミー? なんでそんな……羅刹も確信があって言ってる訳ではないっぽいけど、この勘を無視していいものなのか?
「それ、私も思ったのさー! あのサルの人も腕に白い模様はあったけど、なんだか違和感があったのです!」
「あぁ、それは俺も思ったところだ。ケイさん達が離れた後に殺されるまでは戦ったが、あれだけの精密な投擲を出来るプレイヤースキルがあるとは思えなかった」
「え、マジか!? だとすると、誰が投擲をしてた……?」
投擲があの闇の操作の中から放たれていたのは間違いないはず。いや、よく考えろ。あの時の状況をよく思い出せ。投擲に秀でているのなら、ハーレさんのリスみたいに白い模様は出るはずだけど、ダミーを用意するのであれば相応の対策は取るはず。
「あっ! 俺がサンドショットで攻撃した時、スミってリスの人は無傷だったよな!?」
「確かそうだったのさー!」
「……そうか! 闇の操作を移動操作制御で使って、体表を覆っていた可能性はあるぞ!」
「俺の違和感はそこっぽいな。俺のあの後の戦闘でも、スミって奴は直接攻撃はしてこなかったんだよ。結局、ブラックホールで動きを鈍らされたところを、伏兵だったっぽい奴にサンドショットで撃ち抜かれてな」
「……何重に偽装してんだよ、青の群集!」
ちょっと警戒し過ぎじゃない!? まだ確証は得られてないけど、本当にあの投擲をしてきたのがスミならば……まずは偽装している闇の操作を引き剥がさないとどうにもならないか。
「……そういえばあのブラックホールでの吸い寄せは、弥生さんのと大差はなかったな?」
「あ、確かにそうだ!」
今こうやって思い返してみたら、確かに大して変わらなかった気がする。……ブラックホールの正確なスキル仕様が分からないけど、黒いリスだったからって魔法型だったとも限らない? あぁ、もう! 闇魔法の取得条件はなんだ!?
「えっと、みんな? 書き込みが中断になってるけど、こっちでこのまま話してていいの?」
「「「「あっ!?」」」」
「……なんか脱線させたみたいで、すまん」
脱線は脱線だけど、なんか凄い重要な情報が出た気がするからそれについては問題なし! ただ、放置状態になってるのはマズい!
ハチ : ちょっと羅刹さんから新情報が入ってるから、少し待ってて下さい!
オオカミ : まだ他に情報があるのか。
イカ : それなら少し待機だなー。
ネコ : ふと思ったけど、なんか青の群集の人って変な名前の人が多くない?
サンゴ : まぁ名前は自由だし、本人がそれで良いなら良いんじゃねぇか?
ドラゴン : それにしても、赤の群集と青の群集は既に闇魔法の取得条件は判明済みなんだな。弥生さんが使えるなら、リーダーもいけるんじゃね?
オオカミ : 俺自身は条件を満たせられない気がしていたが、どうもそうではないみたいだしな。
リス2 : およ? なんか興味深い事になってるねー! そっか、そっか! コケ2の人達も色々と発見はあったんだ! わたしの方もちょっと成果があったから、今のうちに報告していくよー!
オオカミ : リス2の人、報告を頼む。
イカ : おぉ! 期待の情報源がもう1人登場だ!
リス2 : それじゃ報告していくよー! 既に情報が上がってたのと被るけど、明らかに異常な進化をしてる個体は何体か見つけたよ。種類としては、ゾンビっぽいのと、骨だけのスケルトンっぽいので2種類だね。
あ、話に戻ろうかと思ったら、リス2の人からの報告になってた。てか、このリス2の人は多分レナさんか。どっちもそれっぽいのは遭遇したけど、ゾンビっぽいのは統率個体のハチだったからなー。その辺の詳細が分かれば良いんだけど……。
リス2 : ゾンビっぽいのはHPが無くなっても動くから、倒すのにはHPを無くした上で活動不能までバラバラにする必要があるね。燃やしても対処できたから、原型を留めなくすれば大丈夫みたい。
カンガルー : そりゃまた随分と厄介な感じの敵だな。
ドラゴン : ほほう、焼けばいいのか!
リス2 : それでスケルトンっぽいのは、下手な攻撃をしたら関節が外れてバラバラになるね。完全にバラバラにして個別に砕いていけば倒せるけど、拘束してからやった方が楽だよー! こっちはHPを普通に削っても倒せるから、まだ楽かな。
ふむふむ、レナさんはどっちの倒し方もそれなりに把握してきてくれたっぽい。ゾンビっぽい方は原型を留めないほどに攻撃をすればいいのなら、岩の操作ですり潰すのもありか。もしくは溶解毒で溶かすとか、徹底的に斬り刻む?
スケルトンの方は……結果的には俺とアルでの拘束がいい感じに機能してただけか。てか、攻撃で骨が外れるってのも面倒だな。まぁやり方が分かればどうにかなりそうな範囲だね。
オオカミ : なるほどな。リス2の人、討伐の仕方の確認は助かる。
リス2 : いえいえ、どういたしましてー! さてと、ちょっとわたしは過去ログを読んでくるねー! コケ2の人達、続きは任せたよー!
コケ2 : ほいよっと。
という事なので、手早くさっき判明した可能性を書き込んでいこう。あくまで推測に過ぎないんだけど、警戒すべき相手が誤認させてこようとしている可能性は伝えておいた方がいい。……よし、書き込み終了!
カンガルー : 青の群集、作戦が本気過ぎない?
オオカミ : 思った以上に手の込んだ事をしているみたいだな……。これはコケ2の人達を強行偵察に向かわせて正解だったか。
クジラ : 前回の最後の総力戦で負けたのを根に持ってる!?
クジラ2 : それはあり得るね!?
リス2 : 過去ログの確認は完了! 遠距離からの投擲の件は早めに再現しといた方が良さそうだねー。
木3 : あぁ、そう思って先に連絡した。抗毒魔法の打ち破り方についてはこの後、模擬戦機能を使ってやるつもりだ。だけど、俺らだけじゃ遠距離の投擲の再現は出来そうになくてな?
川魚 : ん? コケ2の人のとこって、投擲持ちの人もいたんじゃ?
リス : 私とコケ2の人だけじゃ、曲げられるかどうかまでは確認出来ても、その後の危機察知を掻い潜ったかどうかが分からないのです!
カンガルー : あぁ、そうか。今の状況だとその確認が出来ないのか……。
イノシシ : 投擲持ちと、スリップかグリース持ちの種族の組み合わせが可能な人がいないと無理?
タカ : 競争クエストに参加してない他の群集の人に協力を頼むのは……流石に厳しいよね。
草花 : 無所属ならあるいは……?
ふむ、この辺はみんな考える事は同じになってくるよなー。流石はいつも色々と検証してくれているみんなだね。その辺が可能な人がいてくれればいいんだけど、果たしてどうなるか……。
リス2 : ちょっと協力を頼めそうな無所属の人に心当たりがあるから、そこは任せてもらっていいー? あ、リスの人にも手伝って欲しいけど、いけるー?
リス : 私はいいけど、ちょっとみんなと相談させてください!
リス2 : はーい。それじゃちょっと心当たりの人に連絡取ってみるから、後でフレンドコールするねー!
リス : 了解なのさー!
イノシシ : 流石はリス2の人、相変わらず顔が広い!
ヘビ : なんか凄い事になってきてんなー。
オオカミ : あぁ、その辺りは任せよう。
うん、相変わらずレナさんの顔の広さはとんでもないな。無所属の羅刹でも心当たりはないって言ってたのに、あっさりと心当たりがあるって言ってしまうんだからとんでもない。まぁそこは良いんだけど……。
「という事らしいですけど、やってきてもいいですか!?」
「それは別に良いんだけど……これ、方向を変える役目はどうするのかな? ケイは行かなくていいの?」
「はっ!? そういえば不明なのです!?」
「それはレナさんからフレンドコールが来てから考えたらいいだろ? ヨッシさんの抗毒魔法の破り方については、別に俺やサヤでも問題はねぇしな」
「あー、それもそうだよなー」
俺がやるつもりにはなってたけど、今のアルとサヤなら普通に物理攻撃も魔法攻撃もいけるもんな。俺でなくてはならない理由は特にないか。
「それじゃ詳細はレナさんからフレンドコールが来てから決めるとして、他の話もしていきますか」
「そうだな。とりあえずそうするか」
という事で、再び情報共有板へ移動! とりあえず抗毒魔法の検証については俺らでやってみるという事は言っておいた方が良い……って、そういやそれはさっき言ったっけ。うん、だったら特にもう俺らから報告する事もないか? あ、いや、傭兵絡みの話があった!
コケ2 : ちょっと確認。今、傭兵が峡谷エリアにいる件はどうしたらいい?
オオカミ : 現時点では好きに動いてもらっていて構わんだろう。何か変化があれば、連絡をくれと伝えておいてくれ。
コケ2 : ほいよっと。
カンガルー : それにしても、まだ経路未確立の場所なのに2ヶ所も判明するとはなー。
木 : 『未開のサバンナ』と『未開の峡谷』かー。転移元との関連性があるとしたら、サバンナは草原エリア、峡谷は荒野エリアからか?
イノシシ : 可能性はあるけど、まだ何とも言えないとこだな。
クジラ : 海エリアはどんなとこに転移するんだろう!?
ドラゴン : 海かー。浅いのか、深いのか……。
クジラ2 : 深海エリアは楽しそう!
ふむふむ、今はただの推測でしかないけど、そういう傾向がある可能性もあるんだね。そう考えてみると、森林深部からはどういう場所に転移になるんだろ? 傾向としてはジャングルが近いような気もするけど、それは森林エリアからだしなー。
うーん、考えてても分からないし、そのうち分かるだろうからそれまで待ってればいいか。
木3 : そういえば、ジャングルで他に情報は何かあったりするのか?
カンガルー : 隠密偵察部隊が、異常な進化個体を複数確認してるって情報は入ってきてるぞ。まぁ被った情報ではあるが。
ヘビ : でも、まだクリア条件に関わりそうなものは未発見。あとまだ他の群集との戦闘はそんなに発生してない。
コケ2 : 盛大に戦ったのは俺らくらいかー。やっぱりまだ調査は必要そう?
オオカミ : 少なくとも何かしらのギミックはあるだろうからな。まずはそれを見つけるのが先決だが……同時に複数エリアで戦闘が展開されているのが厳しいな。
木3 : 戦力の分散がキツイのか……。
サンゴ : 海エリア以外は、今は群集クエストは控えめにするって話になってるな。
イノシシ2 : だなー。流石に新エリア5ヶ所と、再戦エリアが何ヶ所かになったら、戦力が分散し過ぎて笑えねぇ……。
コケ2 : 確かにそりゃそうだ。
まずは1戦ずつしっかりと勝敗を決めて……いや、あえて全部の戦場への転移を確立して、手薄なエリアを攻略するのもあり? あー、でもどこが手薄なのかの確認が難しいから無謀なやり方か。
そうなってくると死んだ事で飛ばされた無所属からの傭兵の役割が重要になってくるのかも? 先行してエリアの情報を集められるのは優位性があるし……そうなると、下手に無所属は殺さない方が良いのか。うーん、それはそれで難しい話だな。
「あ、レナさんからフレンドコールなのさー!」
「ほいよっと。それじゃ一旦、情報共有板の確認は中断だな」
さて、ここからはレナさんから具体的な手順を聞いて、実際の検証に動いていくとしますか。それにしても、俺も含めて一部の人には全然匿名性が発揮されてないよな、情報共有板。まぁ今更だし、分かりやすいからいいけどね。
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