第26章 コンテストの最終日
第857話 予定を決めて
野良猫が家に乱入という騒動があったけど、庭の池で飼ってた金魚がまさかあんな事になるとは……。まだ何匹かいるし、そっちは普通に泳いでたけど、そういう問題でもないしな……。
なんだかんだで俺も結構ショックは受けているっぽい。……父さんが対策を考えていたけど、次に同じような事がないようにしておきたいね。
あー、これ以上考えてもどうにもならないし、気分を切り替えだ! 久々のソロで動ける機会だけど、何をしようかな。
そんな事を考えながらログインして、いったんのいるログイン場面にやってきた。今日の動体部分は『おっしゃ、今日でコンテストの事前審査のスクショの追加が終わる!』となっている。うん、今日で盛大に数が増えそうな気もするけど、運営の人、頑張って!
「いったん、何か新しいお知らせってある?」
「今は特にないよ〜」
「あー、それじゃスクショの承諾は?」
「そっちは結構きてるね〜。はい、どうぞ〜」
「ほいよっと」
ふむ、スクショは多分昨日のオオサンショウウオとの戦闘中のスクショだろうな。とりあえずいったんからスクショの一覧を受け取って……うん、予想通りの内容だ。
サヤ達が水球の迎撃をしているところに見切れて写っているのもあれば、俺が砂の操作で妨害をしてるのもあるし、紅焔さん達の昇華魔法が上から落ちてくる様子もあったりするね。大体やった事はスクショに撮られてたようである。
今回のスクショは全部灰の群集の人達からだし、その辺は問題ないな。あ、そういや昨日はハーレさんに盛大に砂を消費させちゃったんだよな。その辺の補充をしてくるか……? いや、それは一応本人に聞いてからにしよう。
「いつも通り、灰の群集だけ承諾でよろしく」
「そう処理しておくね〜。はい、それじゃ今日のログインボーナスね〜」
「サンキュー! んじゃ、コケでログインを頼む」
「はいはい〜。それじゃ今日も楽しんでいってね〜」
「おうよ!」
そうしていったんに見送られながらゲームの中へログインしていく。さて、とりあえずハーレさんに連絡を取ってから、必要そうなら砂の調達に行きますか。
必要がなければ……ふむ、何をやろう? あー、そういや改めて試したい事もあったっけ。
◇ ◇ ◇
そしてゲームの中へとやってきた。昨日は泥濘みの地に行けるようにしてから森林深部に戻ってそこでログアウトしたから、現在地は森林深部の東側の方である。
今日は昼の日で、天気は快晴。現在地的にも混雑する場所ではないけど……あー、妨害ボスの沼ガメを倒そうとしてるPTがいるから、邪魔にならない様に移動しておこうっと。
よし、移動完了。それにしても、沼ガメの周回PTの様子が見えないな? 昨日ここに来た際もいなかったけど、一時的なものじゃない感じもする。
あっ、何となく予想がついた。あれだ、敵の纏属進化の条件が判明してたし、進化の軌跡の調達はボスの周回じゃなくても可能になったからそっちに移ったのかもしれないね。
うん、まぁ初心者の人にとっては良い事か微妙な気もするけど、妨害ボスを倒せないのに他のエリアに行っても仕方ないからなー。そこは頑張ってくれという事で、とりあえず忘れない内にログインボーナスを貰っとこ。
<ケイが『進化ポイントの実:灰の群集』を使用します>
<アイテム使用により、増強進化ポイント4、融合進化ポイント4、生存進化ポイント7獲得しました>
<ケイ2ndが『進化ポイントの実:灰の群集』を使用します>
<アイテム使用により、増強進化ポイント4、融合進化ポイント4、生存進化ポイント7獲得しました>m
よし、これで今日の分のログインボーナスの確保は完了っと。そういやハーレさんはログインしてるのは確実だろうけど、サヤとヨッシさんはどうなんだろ?
まぁハーレさんに砂の事を確認する必要があるから、共同体のチャットを使えば分かるだろ。という事で、共同体のチャット画面を開いてっと。
ケイ : ハーレさん、ちょっといいか?
ハーレ : ケイさん、どうしたのー?
お、すぐに返事がきたけど、予想以上に早かったな。まだログインしてそう時間も経ってないから、本格的に動き出す前だったのかも。
サヤ : ケイ、おはようかな。なんか朝から散々だったらしいね?
ヨッシ : あの池の金魚、結構好きだったんだけどね……。
ケイ : あー、ハーレさんから聞いたのか。
ハーレ : 私としても、地味にショックだったのです……。
ケイ : まぁそりゃそうだよな……。
平気そうな雰囲気だったけど、ハーレさんとしてもショックではあったのか。……本心を隠すの、上手過ぎない? いや、俺らまで凹んでたら父さんが余計に凹みそうな雰囲気ではあったけどさ。
あー、楽しくゲームをやろうって時に気落ちしてどうする。とりあえず話題変更だ!
ケイ : まぁその件はどうしようもないから置いとくとして、本題なー。
ハーレ : 了解なのさー!
ケイ : 昨日、盛大に砂を使ってもらっただろ? あの補充、どうするんだ? 必要なら俺が取ってくるけど。
ハーレ : あ、砂については既に調達の目処は立ってるから問題ないのです!
サヤ : え、いつに間にそんな話が決まってたのかな?
ヨッシ : 私も聞いてないよ?
ふむ、どうやら補充の目処は立っているらしいけど、他のみんなは俺も含めて誰も知らなかった状態って事か。
ハーレ : ふっふっふ、実は昨日ラックから望海砂漠でのスクショの撮影会に誘われていたのです! なんか、投擲で空中に文字を書くって事らしいのさー!
サヤ : え、投擲で文字かな!?
ヨッシ : タイミングをズラして投げて、文字みたいに見えるようにする感じ?
ケイ : なんかかなり大変そうな内容な気がするんだけど……。
ハーレ : 失敗する可能性が結構高いから単独行動を提案したのさー!
ケイ : あー、失敗も想定してるのか。
なるほど、撮影場所が望海砂漠なら砂の調達も出来て一石二鳥だ。補充も何も、取得上限数はあっても大量に手に入る環境ではあるな。場合によっては他の人が取得した砂をトレードしてもらう事も可能だろう。
それにしても投擲を使ってスクショの演出をやるのであれば、俺らの中でやる事がありそうなのはハーレさん以外ではサヤだけか。
俺らにとっては失敗する可能性もあるスクショの撮影で、団体部門として混ざる事も出来そうにはないな。……ハーレさん的に気を遣った結果の単独行動の提案だったんだな。
ヨッシ : ラックさんは投擲じゃなかったと思うけど、撮影係をやる感じ?
ハーレ : 大正解なのさー! 他は投擲メインの人達で、カインさんやアリスさんも来るのです!
ケイ : なるほど、そういう役割分担か。
俺の知っている投擲メインの人はハーレさんが上げたカインさんやアリスさんくらいだけど、実際にはもっと他にもいるんだろうね。
そういう人達で投擲を使った特殊な条件付きのスクショの撮影会な訳か。これは本当に俺らが行っても何もする事がなさそうだ。
サヤ : ……あはは、投擲メインが集まってるならおまけ程度の私の投擲は邪魔になりそうかな?
ヨッシ : 確かに今回のはそうだろうし、個別に動くのが一番かもね。私はもうモンスターズ・サバイバルの人達と一緒にアイテムの生産をしてるけど、サヤとケイさんはどうするの?
サヤ : 私はどうしようかな……?
ハーレ : あっ! サヤ、確かクマの集団のスクショを撮るのもあったはずなのさー!
サヤ : え、そうなのかな?
ケイ : 種族限定でやってるのがあるなら、それに参加するのもありだろうな。
ヨッシ : うん、確かにそれはそうだね。それにしても最終日になったから、色々やってる感じ?
ハーレ : 確認し切れてないけど、そんな感じなのさー!
ふむふむ、掲示板の方に色々と計画しているのがあるとは書いてあったけど、その実態がこれって事か。特定の条件に限定して、それに特化したスクショを撮る感じなんだな。
そういう感じなのであれば、他の群集の人も含めて、同じ種族や同じ系統のスキルを持つ人の数を集める方が効率は良さそうではある。
サヤ : それじゃ私は場所を調べてそっちに行ってみるかな。
ハーレ : それが良いと思うのです!
これで俺以外はアルと合流するまでの予定は確定か。今が9時だから、アルとの合流までは1時間くらいはある。俺はちょっとスキルの連携の確認をしていってみるか。
ヨッシ : ケイさんはどうするの?
ケイ : 俺はちょっと試したい事があるから、ミズキの森林で少し実験だな。
ハーレ : はっ!? ケイさんがまた何かを思いついているのです!?
ケイ : いや、今回は今まで使った事があるやつを今使うとどうなるかを試したいだけだぞ。新しく思いついたやつじゃない。
昨日のオオサンショウウオの攻撃を見たのがきっかけではあるけど、実戦の中では行動値が足りない事が多くて威力の変化がどうなってるのか確認出来なかったからね。
だからこそ、単独で実験が出来るタイミングで試しておきたい。……ぶっちゃけ現時点でも行動値に決して余裕がある手段ではないけどね。
サヤ : もしかして、水流の操作と砂の操作の並列制御を試すのかな?
ケイ : お、サヤ、大正解! あと、もう1つ試したい事もあるけどな。
ハーレ : ケイさんの凶悪なスキルの実験なのです!?
ヨッシ : ……あはは、でも昨日のオオサンショウウオの攻撃を見たら、同じ構成が使えるケイさんは使ってみたいよね。
ケイ : ま、そういう事だな。
現時点の俺の水流の操作と砂の操作の同時使用でどんな威力になるのか、思いっきり気になってるからこれを試すのは確定。
出来ればそこらの木よりは岩を切断出来るかをやってみたいから、半覚醒だった時のミズキがいたミズキの森林の北部にある浅い湖の方に行きたいな。あそこなら岩が普通に転がってたしさ。
それと泥水から土と水の分離をしてたのもちょっと試してみたい。……地味に思いついていなかったんだけど、分離が出来るなら混ぜた状態での運用も出来るんじゃないかという気もしている。
もしそれが可能なら、土の操作と水の操作を並列制御で扱えば泥の状態で操作が出来る可能性もある。それが出来れば、視界に依存する目潰しの手段や、土の地面を弄れるよね。
ハーレ : あ、もう移動を開始するって言ってるからもう行くねー! アルさんがログインしたら、チャットに集合でいいー?
サヤ : うん、それで問題ないかな。
ヨッシ : 私もそれで良いけど、合流場所はその時に決める?
ケイ : まぁみんなの位置がバラバラだろうし、その方が良いだろうな。転移の実で現地集合もありか。
サヤ : あ、確かにそれはそうかな。カイヨウ渓谷にしても、封熱の霊峰にしても、登録してる場所はほぼ同じだもんね。
ヨッシ : そだね。その方が集合の時間ロスも少ないし。
ケイ : どっちにしても転移の実を使う事になるからな。まぁ具体的にどこにするかはその時決めるって事で!
ハーレ : はーい!
サヤ : 分かったかな!
ヨッシ : 了解!
ケイ : それじゃ、1時間くらいだけど自由行動って事で解散!
それぞれにやる事は決まったので、1時間は好きな様にやっていこうっと。とりあえず俺はミズキの森林まで移動するとして……狙っている実験場所の位置を考えるなら直接飛んでいくよりは、エンからミズキに転移して北上するのが正解か。
あ、位置的にはフレッシュ平原にある竹林地帯も近いから、岩が切断出来たら竹を切断するのもありかもね。ま、そっちはおまけで時間に余裕があればだな。
<行動値上限を2使用して『移動操作制御Ⅰ』を発動します> 行動値 81/81 → 79/79(上限値使用:2)
今回の移動は水のカーペットにしておく。移動自体は飛行鎧でも良いんだけど、今回やろうとする内容は行動値の消費が激しいからね。
到着してから飛行鎧を解除して上限値使用を無くすのでも良いけど、水のカーペットで移動に問題があるという訳じゃないから、今回はこれでいこう。
さて、水のカーペットに飛び乗って、まずはエンの所に移動だー! とりあえず森の上に出て……わっ!? 隣を思いっきり凄いスピードで何かが通り過ぎていったよ。
あー、イルカの人が尾びれから風を噴出して猛烈な加速をしていたっぽい。多分魔法砲撃にした風の昇華魔法を推進力にしてたんだろうけど、攻撃部位はどうなってるんだろ? んー、一瞬の事だったからよく見れてなかったけど、もしかしたら尾びれに何か他の部位を追加してる可能性はありそうだね。
ま、色んな移動手段を使う人が増えてるし、こういう事もあるか。まぁ、今のは当たってたら発動したばっかの水のカーペットが強制解除になってただろうから、当たらなくて良かった。
さて、他にも飛んでいる人は多いので、当たらないように気をつけながら移動をしていこう。うーん、こういう風に飛ぶ人が増えてくると1回で良いから移動操作制御に当たっても強制解除にならない手段が欲しい。
でも、流石にそれはわがままか。いや、でも未知の溜めを行う魔法の、キャンセルを妨害する白光のスキルが成熟体にはあるんだよな? それを考えれば可能性は0じゃない……? うん、今は考えても結論は出ないし、考えるだけ無駄か。
そんな事を考えている内にエンの近くまでやってきた。おー、休日の土曜日という事もあって、それなりに混雑はしてるね。
でも、これからがより混雑してくる時間帯だな。とりあえず今は模擬戦もトーナメント戦もやる予定ではないから、サクッとミズキの森林まで移動してしまおう。
ーーー
連載再開!
それと少しお知らせです。
この話の関連作となる新作の連載を開始しました!
詳細は近況ノートまで!
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