第825話 フル連結PTの結成
フル連結PTにするのにはあと10人ほど必要だったけども、そのメンバーの決定をしているところである。……まぁ湖の中から畔に戻ってきて水の操作を解除してる間に、あっという間に決まっていたけどね。
早いのが悪い訳じゃないけど、もうちょい時間がかかるかと思ったのに決まるのが早いよ!
まず紅焔さんのPTには、湖の畔で特訓をしていた4人組のPTが瘴気石の持ち込みで参加になった。種族としては空を飛ぶサメ、ダチョウ、シカ、そして初めはサイかと思ったけどトリケラトプスの人もいた。なんというか統一感は……俺らもないから人の事は言えないか。
「ははっ、こんなとこで会うとは思ってなかったぞ、カリン」
「確かにそうだね、紅焔。地味に会うのは久しぶりだけど、元気そうで何よりだよ」
「まぁな! それでそっちのメンバーがあの時に合流しようとしてたカリンの今のPTだな!」
「そういう事になるね。まぁ今日はよろしく頼むよ」
「おう!」
あれ? どうも紅焔さんがシカの人と話し込んでるみたいだけど、今の会話って……あー!? このシカのカリンさんって、あれだ! 紅焔さんが最初に一緒に行動してた時にいたシカの人だ!
「……ケイ、どうしたのかな?」
「あー、ちょっと気付いた事があってさ」
「あぁ、カリンさんの事かい?」
「そう、それ! って、ソラさんは普通に知ってるんだ?」
「……そりゃもう1人のキツネの人に会いたくなくて紅焔が避けてた時期があるからね。サービス開始直後にPTを組んでた人っていう事情くらいは聞いているさ。カリンさんとは拠点にしてるエリアが違ってたから会ってこそいなかったけど、情報交換はしてたみたいだよ」
「確かにそりゃそうだなー。てか、活動拠点が違うんだな」
そういやキツネの人とは合わずに一緒にやるのが嫌になったって感じだったけど、シカのカリンさんとはリア友とやるからって事だったっけ。
そうなると残り3人のサメの人か、ダチョウの人か、トリケラトプスの人の誰かがカリンさんのリア友か。……あ、待てよ。1人とは限らないし、全員という可能性もあるんだよな。
「トリケラトプスはサイからの進化だったはずだし、ダチョウの人もいるから、荒野エリアか草原エリアが拠点と考えました!」
「草原エリアが正解だね、ハーレさん」
「あぅ!? 聞かれていたのです!?」
「……ハーレ、今のは声が大きかったし、もう連結PTに入ってるからね?」
「聞こえないほうがおかしいかな?」
「やらかしたのさー!?」
「ははっ、まぁ別に気にするような内容でもないし、別に問題はないよ。今日はよろしくね、グリーズ・リベルテの皆さん」
「おう、こっちこそよろしくな、カリンさん達!」
そうしてそれぞれに簡単な挨拶をしていく。俺らの方からはほぼ初対面だったけど、カリンさん達の方は俺らの事を知ってたみたいであった。
なんというか『ビックリ情報箱』という不本意なあだ名ではなく、俺らの共同体の名前の方もちゃんと広まってくれてきたね。このまま不本意なあだ名は消えてなくなれー!
「そっちは話が纏まったようだな」
「お、肉食獣さん。そっちはどう?」
「こっちもメンバーは決まったぜ。とりあえず連結を頼むわ」
「ほいよっと。サヤ、頼んだ」
「うん、分かったかな」
<肉食獣様のPTと連結しました>
今はサヤがPTリーダーになっているので、サヤの方からPTの連結申請を出してもらって、これで18人での連結PTの結成が完了である。
えーと、モンスターズ・サバイバルの方のPTとしてはライオンの肉食獣さんと、松の人、イノシシの人、飛んでいるワニの口っぽい魚の人、背中にキノコが生えたロブスターの人、キツネの人となっている。
うん、こっちも個性豊かなメンバーだな。うーん、ワニっぽい口の魚って名前なんだっけ……? それにコケとキノコの違いはあるけどロブスターの人もいるんだな。……俺と同じような感じだから、ザリガニじゃなくてロブスターで合ってるよね?
「お、アリゲーターガーの人がいんのか! それ、合成種か!?」
「……これはワニと魚の合成進化からの最適化の進化だな」
「マジか! かっけぇよなー!」
「……あぁ」
ザックさんが遠慮なく聞いていたけど、あれってアリゲーターガーって言うやつか! サイズが40センチくらいでワニみたいに大きくはないけど、種族名に劣が付いてるパターンかな? このアリゲーターガーの人はどうも口数が少なそうな感じだね。
それにしても流石に18人でのフル連結PTだと、全員と会話していくのは難しいな。こういう場合は全体としての方針は決めつつ、細かいところはPT単位でまとめて動くのが良さそうだね。
「さて、ケイさん達が6時までなら時間が惜しい。後から交代を希望したり、自分達のついでで成長体を探してくれる奴らは後から来てくれ! カイン、しばらくここは任せるぞ」
「おう、行ってこい、肉食獣!」
「さーて、俺らは俺らでやっていきますか」
「ちょっと早いけど、今のうちに飯の準備でもしてこよっと」
「上風の丘の適正Lvの人、成長体を探しながらのPTを組んでいくよー!」
「それ、参加するぜ!」
「俺もー!」
「私もー!」
「……意外と人数が多そうだな。連結PTにしつつ、敵を集める形でいくか?」
「上風の丘って、夜の日なら虫もそれなりにいたよね。樹液分泌でやるのがいい感じかな?」
「よし、それでいくか。成長体は倒さないように気をつけろよ」
「はーい!」
おおう、何か俺らの連結PT以外の人達も一気に動き出している。ふむふむ、ちゃんとメンバーを用意出来る状況を作ってしまえば、フィールドボスの連戦もLv上げの手段としては良いんだな。
ただ、フル連結PTでの18人という大人数にはなるから、どこまで効率が良いかはやってみないと分からない。人数が多い分だけ倒す難易度は下がるから、昨日やってたLv上げよりも効率が良いとは限らないからね。まぁこればっかりは実際にやってみるしかないな。
「よし、とりあえずフィールドボスの連戦をしに上風の丘まで出発開始! 移動方法は各PTで任せる!」
「おうよ、ケイさん! カリン、確か土の昇華は持ってるって言ってたよな?」
「うん、持っているね。僕らは地上を走って、エリア切り換えまで行ったら岩を生成して登るから紅焔とソラさんは飛んでくれて問題ないよ」
「……僕らはその方がよさそうだね。紅焔、トカゲとタケノコを握り潰さないようにね?」
「そんな台無しにするような事はしねぇっての! あ、ザックさんはどうすんだ?」
「このまま乗せてってくれ! 別にそれでも問題ねぇよな、ケイさん!」
今も飛んでいる紅焔さんの背中にいるザックさんはそのまま乗った状態で移動するつもりのようである。まぁ必ずPTで移動しなけりゃいけないわけじゃないし、別に問題はないか。
「紅焔さんさえ良ければ別に良いぞー」
「だそうだぜ?」
「ま、俺もそれで良いぜ」
「おし、ならそれで決まりだな!」
よし、これで紅焔さんのPTの方は問題なし。俺らの移動は俺が水のカーペット……不意な強制解除は流石に今回は困るから移動操作制御じゃなくて手動で発動だな。
あ、それなら岩の方が足場としてしっかりしているから岩の操作で良いか。一気に操作時間を消費しきるほどの速度はいらないしね。
「エレイン、移動は頼む」
「えぇ、分かりました。『根脚移動』『樹洞展開』『樹洞投影』『アースクリエイト』『並列制御』『岩の操作』『根の操作』!」
ほう、モンスターズ・サバイバルのPTは松の人であるエレインさんの樹洞の中に入った上で、生成した岩に根で登って巻き付く事で固定しているんだな。そしてそこから岩の操作で飛んでいく訳か。
これはあれだね、草花系の人が土の操作で飛んでいたやつの規模を拡大したバージョンだな。移動方法にも色々バリエーションがあるもんだね。
「さて、それじゃ俺らの方も出発しますか。岩の操作で行くけど、みんな問題ない?」
「うん、大丈夫かな」
「椅子の生成を希望します!」
「ハーレ、それ必要?」
「……自分で飛んでいくんじゃないなら、私は安定して止まれる場所が欲しい」
「あー、なるほどね。んじゃ適度にデコボコな部分も作っとくわ」
「……ケイさん、ありがと」
「私はサヤのクマに止まっとこうっと」
「おし、それじゃ発動していくぞー!」
「「「おー!」」」
「……うん」
という事で、既に出発を始めている他のみんなに置いていかれない様に急いで移動の準備をしていこうっと。
<行動値1と魔力値3消費して『土魔法Lv1:アースクリエイト』を発動します> 行動値 78/79(上限値使用:1): 魔力値 217/220
<行動値を19消費して『岩の操作Lv4』を発動します> 行動値 59/79(上限値使用:1)
ちょっと発光を使いつつ飛行鎧の方から岩の板を用意する事も考えたけど、少し前の水のカーペットの強制解除みたいな事は嫌だから却下で。……夜のミズキの森林で光源を用意したら、虫が集まってくるかどうかが地味に分からないんだよな。
まぁヨッシさんに防御用の氷塊を用意してもらうのでもいいけど、行動値の事を考えるなら俺が手動で展開するのと大差ないから今ので良いだろう。
さて、みんなが手早く岩の板の上に乗ってきたし、出発だな! 今日は晴れてるし、森の上に出てしまえば視界は良い方だね。
飛び出てくる虫さえ見落とさなければだけど……って、また何か飛び出てきたー!? くっ、このタイミングで避けると誰かが落ちかねないし、ここが仕方ない。
「あ、一般生物のコウモリだー!?」
「あ、ケイがコウモリを轢いたかな」
「今のは急に出てきたのが悪い!」
避けられないタイミングで飛んでこなければ、そのまま突撃して仕留める事は無かったんだけどね。それにしても一般生物でもアイテムになるものとならないものがあるんだよなー。
まぁコウモリをアイテムとして手に入れたとして、根本的に何に使うかって話だけど。……外国とかでは食べる地域もあるみたいだけど、流石に食べたいとは思わないから無くていいけどね。
「そういえばサヤ、竜の小型化は?」
「あ、そういえば忘れてたかな。ヨッシ、ありがと。『上限発動指示:登録1』!」
「あれ? 前より少しだけど小さくなったのです!?」
「あはは、小型化はLv2に上がったからかな」
「あー、そういや昨日のLv上げの最中に上がったんだっけ」
サヤの竜の小型化は結構時間ぎりぎりでLvが上がったからろくに確認してなかったもんな。
それにしても……なんというか、Lv1では一回り小さくなってたけどLv2では思ったほどは小さくなっていない。サヤの今の竜のサイズでは小型化のLvを上げてもあまり極端には小さくならない感じか?
まぁ目的は今の竜を小さくする事じゃなくて、このままだと大きくする事が確定している竜を成熟体で小さくする為だしね。
「……そういや、小型化Lv2なら今の段階で竜の小型化の進化も出来るんじゃ?」
「あ、うん、それは選択肢には出てるかな。でも、あんまりメリットも無さそうだしそれはしないよ。出来れば成熟体にして大きく進化してから、今のサイズに戻す感じにしたいんだよね」
「それじゃサヤは小型化Lv3も目指すのさー!」
「……サヤ、成熟体での小型化の進化の条件が小型化Lv3とは限らないのは承知の上だよね?」
「うん、それは承知の上かな。もし駄目だった場合は、条件が判明するまで一時的に共生進化は諦めるつもり」
「そっか、承知の上なら大丈夫だね」
ふむふむ、まぁサヤの意思でそういう風に決めているなら問題はないか。俺らの場合はテスト期間でログイン出来ない期間もあるし、それを含めたら復帰した時には条件が判明してる可能性もあるもんな。
「あ、そういや言い忘れてた。俺の進化先に、同調のままでの進化が出たぞ」
「え、ほんとかな!?」
「おー! まだLv上げが必要なのに、条件クリアが早いのさー!」
「それでケイさん、どういう条件だったの?」
「条件としては既に特性『同調』を持ってる事と、どっちのキャラにも何か進化先が出ている事が必須みたいだな。コケの同調の進化は操作型と魔法型の2種類が出て、ロブスターの同調の進化は物理攻撃型が出たぞ」
「そういう条件なんだー!?」
「ちなみに魔法型は複数出てるから、進化の時にベースを選べるってさ。多分だけど、今の段階でコケの方はこれ以上の進化先はない気もするし、コケはもう進化先は確定。後はロブスターで上位の進化先が出せるかどうかだな。あ、ちなみにロブスターはサヤとハーレさんに出てた多彩シリーズの進化先だったぞ」
「あ、そうなのかな。チャージと連撃のバランスが良い進化先みたいだし、ケイのロブスターにはいいのかな?」
「ま、その方向性で行くつもりではいるぞ。殴るのも切るのも使いたいしさ」
「あはは、まぁその方が色々出来そうだもんね」
「ま、そういう事。折角、斬撃の特性を追加したんだし活用しないと勿体ないからなー」
「うー! 私はそのバランスの良い進化の上位を目指すのさー!」
「おう、ハーレさん、頑張れ!」
俺もロブスターはハーレさんと同じ方向性を狙ってみる気ではいるけど、条件がまだはっきりしてないからな。まぁまとめを見ればその辺の条件は分かる可能性も高いけど、進化先は自分達で試行錯誤していきたいから見るのはなしだね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます