第743話 イカ討伐の作戦会議 後編
さてと、これから本格的に刹那さんが作戦の説明をして、実際にそれが出来るか、出来るとしても誰が実行役をやるのか、どういう手順でやっていくのか、色々と検討していかないとね。
でもとりあえず今は刹那さんの説明が終わるまで待機だな。ちゃんと作戦の意図がみんなに伝わらなければ意味がないので、ここは焦らずにいこう。
タチウオ : まずは拙者から思いついた作戦を提案させてもらうのである! まずは1時間ほど前にあったコケの人の共同体から報告のあった、成熟体のアロワナの乱入による称号『横取りされたモノ』について思い出して貰いたい!
ヘビ : あー、あのフィールドボスの攻撃がネス湖の成熟体のアロワナに当たって、それをきっかけにアロワナがフィールドボスをぶっ殺したっていうやつか。
海藻3 : あ、なるほど、そういう事か。
サソリ : ちょっと待って、その内容は知らないからまとめを見てくる。……もうまとまってるよな?
オオカミ : あぁ、それについては既にまとめてあるから、知らない奴は確認しておいてくれ。この作戦においては重要事項だからな。
サル : おし、ちょっと見てくる。
サボテン2 : 見てくる人はそれで良いとして、説明自体はすぐにしてもらえると助かる。
タチウオ : もちろんそのつもりである! 今回、拙者が提案する作戦は成熟体を見つけて、その成熟体にフィールドボスのイカを倒させようというものなのだ! そして先程、ヘビの人がそれに使える成熟体を見つけたのである!
ヘビ : え、俺って地味に重要なもんを見つけたの?
オオカミ : 俺もそのオウムガイの成熟体と、アロワナの件から思いついたからな。これからの作戦の実効性の検討にもよるが、大手柄ではあるぞ。
ヘビ : マジで!? やりぃ!
うん、今回の作戦の提案において要となる成熟体の発見は非常に重要なものだもんな。ヘビの人、本当に大手柄だよ!
さて、問題はここから実際にその作戦を実行に移せるかの検討だね。レナさんにベスタ、風雷コンビまでここにいるのなら成熟体から逃げ回ってイカの元へ誘導するのも不可能ではないかもしれない。まぁイカを成熟体のオウムガイに誘導するという方向性もあるんだけど、そこら辺をこれから検討だな。
イルカ : なるほど、要するに成熟体のオウムガイに、逃げてるイカを殺させようって作戦なんだね。作戦としては詰めなきゃいけない部分が色々とある気はするけど、手段としてはありだと思うよ。
草花3 : そうなると、考えるべきはイカとオウムガイをどうやって遭遇させるか……だな。
サボテン2 : イカについては今のまま、捜索継続で良いんじゃね? どっちにしろ、見つけなきゃどうしようもないんだし。
ヘビ : そりゃそうだ。で、俺はどうすりゃ良いの? とりあえずオウムガイのいる現在地の座標でも上げとくべき?
オオカミ : ……そうだな。どういう形で動くにしても、その情報自体は必要だろう。頼めるか、ヘビの人。
ヘビ : ほいよっと。【公開された位置情報を取得】
そうしてヘビの人がマップの位置情報を書き込んでいた。へぇ、マップの現在地座標は普通に表示されているけど、こうやって情報共有板にその情報を書き込めるのは初めて見た気がする。
あ、取得しようとしたらなんか『該当マップの情報がありません』っていうエラーが出た。……ちょいとヘルプ、ヘルプ……。
ふむふむ、どうやら【公開された位置情報を取得】とやらを選択すれば既に該当エリアのマップ情報にその位置は表示されるようになるっぽい。
だけど、俺はまだ『カイヨウ渓谷』のマップ情報が皆無だから取得自体が出来ないんだな。……久しぶりにまともにヘルプを活用した気がする。
そういや群集拠点種から誰かが提供済みのマップ情報を貰ってくればすぐに分かるとは思うけど、マップ情報の提供も既に揃っているマップを貰ってくるのもどっちもしてないな。普段は全然その辺は気にしなくても困らないけど、こういう作戦がある時はマップ情報は取得してきた方がいいのかもしれない。
あ、でも今回は刹那さんがいるから大丈夫かな? 海エリアをメインで活動している刹那だし、案内役を自分から申し出てくれたんだから場所には詳しいと思うけど……。
「刹那さん、今のヘビの人の場所って分かる?」
「それについてはマップ情報は持っているので分かるのである! ここは……また珍妙な位置であるな。ここは入り組んだ迷路のような溝の多い岩場しかなかった気がするのであるが……」
「……もしかして、隠しルートか何かがあるとか?」
「フェニックスの件もある故に、その可能性は充分あるのである! まぁそこは発見した当人がいるので、普通に聞けば良いだけである!」
「そりゃそうだ」
今まさにその場にいるヘビの人が書き込んでいるんだから、そこについてはヘビの人に詳細を確認すれば良いだけだよな。
まぁまだ一度も行った事のないエリアだから、俺は聞いてもよく分からないと思うけど、そこは刹那さんに任せよう。……今回、刹那さんが案内役として同行してくれて本当に良かったかもね。
クジラ : あれ、この座標の辺りって入り組んでる岩場が多い付近じゃなかったっけ?
サメ : あー、あの辺か。妙に入り組んでて迷路みたいな場所だよな。
ヘビ : おう、そうだぞー。ぶっちゃけ迷ってたんだが、適当に隙間を進んでたら拓けた場所に出てな。そこにオウムガイがいた。
オオカミ : やはり定位置に居座っている成熟体と考えてよさそうだな。海エリアの人、逃げ足に自信がある何人かでその場所へ行って、オウムガイを引っ張り出して来る事は可能か?
海藻3 : ……今まで地味に見つかってなかった個体だからはっきりとは言えないが、正確な位置座標が分かったなら出来そうはあるな。
サメ : よし、とりあえず遊泳速度が特に早いやつに連絡を取っていくか。
ウニ : 遊泳速度ならマグロとかカツオだね。
海藻2 : 確かカジキに進化して特に速い奴が何人かいたよな。
クジラ5 : あ、1人は俺のとこのメンバーにいるから、声をかけとくわ。
ウニ : 任せたよ、クジラ5の人! 他にも何人か集まってた方が良さそうだね。
ヘビ : おぉう? なんだか大事になってきた!?
草花6 : ほほう、これは面白そうじゃねぇか! よし、殺され役要員として俺も向かう!
ハチ : ……え、今回も?
草花6 : おうよ! 死んでもしっかりと識別情報は伝えるから安心しろよな!
えーと、死ぬのを前提に識別をしに特攻しに行く草花の人って、もしかしなくてもザックさんじゃね?
確かに作戦を行う上で場合によっては逃げ回る必要のある成熟体のオウムガイの識別情報は重要だけど、同系統の居座っているアロワナがあの攻撃性なら識別をする事はほぼ確実に死を意味しているね。
識別情報を得ると成功の確実性が上がるから誰かがやるべきではあるけど、ザックさんはその辺は一切躊躇がないな。
リス5 : いつものあの人だとは思うけど、草花6の人は相変わらず躊躇がないねー!
草花6 : おうよ! いつもの特攻のザックだぜ!
ハチ : ……半匿名なのに、なんで名乗るの……?
草花6 : ふははは! 俺に隠す事など何もない!
オオカミ : ……相変わらずだな、ザック。まぁいい、そういう事なら識別は任せるぞ。
草花6 : おう、任せとけ、リーダー!
ほんとびっくりするくらい死ぬ事に躊躇がないね、ザックさん。……そのうち自分から死に行き過ぎて変わった進化先でも出してきそうな予感もする。あー、でも同じ死因としてカウントされるんだろうか? うーん、このゲームは妙なところに条件があったりするからなんとも言えないところだな。
サル : まとめを確認して戻ってきたら、またやるのか。
ヘビ : 無駄な特攻に見えて、割と高頻度で役立ってるもんなー。
カンガルー : 真似ようと思えば真似れるはずだけど、真似る気はしないやつだ。
サソリ : ま、本人が良いって言ってるんだし、良いんじゃない?
マグロ : よし、そういう事なら俺が送迎しよう。今はどこにいる?
草花6 : 始まりの海原に到着したとこだ!
マグロ : それじゃすぐに迎えに行く。PTメンバーはどうなってる?
ハチ : ……死ぬのを前提にするなら、私達はあとから行く。
草花6 : そういう事だから、マグロの人、送迎は頼むぜ!
マグロ : ……ハチの人、苦労してんな。
ハチ : ……いつもの事だから、もう慣れた。
このハチの人はザックさんのPTメンバーなんだから間違いなく翡翠さんだよなー。まぁ他のみんなの反応を見る限りでも、本当にいつもの事なんだろう。……実際俺もザックさんの捨て身な貢献って見た事あるしね。
オオカミ : あー、実行するかどうかの意見を募るつもりではあったんだが、この様子ならもう作戦の実行自体は問題はなさそうだな。
サソリ : 面白そうだし、異議なし!
カンガルー : ま、失敗したら失敗したで、元の作戦通りでもいいしな。
サル : 『横取りされたモノ』のプレイヤーの判定範囲を調べるにも丁度いいんじゃね?
木 : 確かにそりゃそうだ。範囲としては戦闘に関わっているPTかどうかってとこか?
草花4 : そんなとこだろうな。後はイカとの戦闘に関わっているのか、横取りしていく成熟体との戦闘も関わるかってとこだな。
サボテン2 : だなー。まぁ予想としてはイカとの戦闘中のみな気はするけど。根本的に横取りなんだし。
ま、そりゃ横取りなんだから、横取りされなきゃ判定にならない可能性の方が高いだろうね。それにしてもそっちの検証まで同時にやるつもりとは、流石は灰の群集!
オオカミ : まぁその辺りはおまけの目的にしておくぞ。コケの人、書き込んでないがいるか?
コケ : あ、いるぞー。
オオカミ : ならいい。オウムガイの識別情報によっては、コケの人のPTに頼む可能性もあるからな。
コケ : ちょっと待って、何をさせる気!?
オオカミ : 成熟体の海エリアのオウムガイだぞ。それだけの厄介な相手だ。コケの人達の共同体なら空中で飛び回りながら捕獲するのには向いているだろう?
イルカ : あ、そっか。別に海の中にこだわる必要はないんだ。
タチウオ : それはまさしく、そうであるな!
クジラ : 空飛ぶクジラと高水準の物質的な操作系スキルの所有者の組み合わせは確かに重要だね! 俺も飛べるけど、その辺の連携は付け焼き刃になるしなー。
あー、確かにオウムガイの構成によっては俺らのPTは有効ではあるのか。……まぁオウムガイが近接物理なら拘束なんてあっさり破壊されるだろうけど、魔法型なら色々と小手先での妨害工作は可能そうではある。
とはいえ、それでも結構厳しいだろうけどね。岩の操作で固めて空中へ持ち上げて、昇華魔法を発動されたら即座に妨害してキャンセルは出来るはず。……むしろ厄介なのはアロワナが使ってたような未知の上位っぽい魔法かもね。
コケ : とりあえずその辺はPTで相談をして、識別情報も含めて考えさせてくれ。多分物理型なら俺らじゃ無理だしね。
オオカミ : あぁ、それは分かっている。それでは、具体的にイカからオウムガイへ攻撃させる方法について検討していくぞ。思いつきでも何でもいい。何か方法があれば書き込んでくれ。
リス5 : それなら単純にイカのカウンターを誘発させて、その攻撃の範囲にオウムガイがいれば良いんじゃない?
サソリ : 簡単に言うけど、それって上手くいく?
ヘビ : 遠距離攻撃を仕掛けて、オウムガイを盾にするとかは?
草花2 : あ、それは良いかも? それなら投擲か遠距離での魔法だね。
サボテン2 : もしくはオウムガイに狙われてる人のと、イカを一緒に捕獲とかはどうよ?
カンガルー : それもありっちゃありだな。まぁ実行役の死亡は確定だが……。
木 : どっちにしてもイカの動きを封じるか、誘導する事になりそうだな。
海藻2 : それもそうだなー。
ふむふむ、確かにオウムガイがイカだけをピンポイントで狙ってくれる状況が自然発生すれば良いけど、そうでないなら居所の分からないイカをどうにかする方からしていくしかないか。
とりあえずイカがオウムガイに攻撃する形になるように誘導するか、オウムガイがプレイヤーへ攻撃したのにイカを巻き込むかの2択だね。……これ以上は現状で確定するのは無理そうだな。
オオカミ : ……ふむ、とりあえず今の段階では確定はし切れないな。よし、一先ず作戦会議はここまでだ。イカの発見情報や、オウムガイの識別情報が判明してから、追って具体的な作戦案を立てていく。それまではオウムガイの方へ行く者と、イカの捜索に分かれて動いてくれ。
コケ : ほいよっと。
クジラ : 了解!
リス5 : さーて、みんな、焦らずに段階的にやっていくよー!
ヘビ : おうよ! つっても、俺はしばらくここで待機だなー。
タチウオ : もしそこにイカが現れれば、1人で倒せるチャンスである!
ヘビ : イカと一緒にオウムガイに殺されろってか!? いや、でもそれもありといえばありかも?
オオカミ : もしそのチャンスがあればしてくれて構わんぞ。
木 : ヘビの人の一人勝ちにはさせん!
草花3 : ま、今はともかくイカの捜索を継続だな。
クジラ : 改めて言うけど、イカを見つけたら場所の報告をお願いねー!
オオカミ : クジラの人も言っているが、基本的には現時点では元々の計画通りで進めてくれ。あと、進展があり次第ここで作戦を更新していくから、こまめな確認を頼んだ。
コケ : ほいよっと。
タチウオ : 了解なのである!
さてと、とりあえず現段階での作戦会議はここで終わりだね。情報が不足しているから作戦は確定し切れなかったけど、基本的には元々の作戦にオウムガイの件が追加になったくらいで大幅に変わってはいないから、オウムガイの方へと向かう一部の人達を除けば現時点ではほぼ予定通りの作戦だな。
こまめに情報共有板を確認する必要はあるけども、とりあえず『カイヨウ渓谷』に辿り着いたら俺らもイカの捜索に参加だな。それより先はイカが見つかってからになるね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます