第721話 これからの予定
さて、ハーレさんとレナさんの模擬戦は色々あったけど、とりあえずなんとか終了だね。
ギャラリーで集まってた人はその場に残って色々話し合っている人と、素早く樹洞から出てすぐに試そうという人に分かれていった。人によってこの辺は様々だね。
「それでは我らは行くとするか。なぁ、疾風の」
「そうだな。とりあえず適当にぶらつきながら何をするか考えるか。なぁ、迅雷の」
そんな風に会話をしながら風雷コンビも立ち去っていった。なんというか今回は地味に風雷コンビに助けられた気もするけど、今までの事を考えると微妙な気分になるんだよね……。いや、助かったには助かったんだけど、気分的な問題として……。
まぁそこは気にするだけ無意味な気もするし、ちゃんと感謝もしつつ意識を切り替えていこう。
後回しになってる本来の予定通りに海エリアの状況について調べていかないといけないしね。レナさんが手伝ってくれると言っているし、そこは頼りにさせてもらおうかな。
「そういやケイさん達は海エリアに行くから、海でLv上げに良い場所って言ってたっけな?」
「良さそうなのは『カイヨウ渓谷』だと思うんだけど、レナさん、その辺はどうなんだい?」
「およ? なんで紅焔さんとソラさんがケイさん達の……あ、そっか。そういやわたしが話しかける前に話してたっけ」
「ま、そういう事だな」
うんうん、それで調べた後で紅焔さんと模擬戦をやろうと話をしてたら、レナさんとダイクさんがやってきてハーレさんとの模擬戦もやる事になったんだよね。……その合間の時間で海エリアの現状を調べようと思ってたら、難癖をつけてきたあの4人組のせいで妙な事になったんだった。
それと、俺と紅焔さんに解説とゲストをさせようとした件もあるにはあるんだよね。まぁそれについては別にいいんだけど……。
「話してるとこで悪いんだが、ケイさん、ハーレさん、紅焔さん、ちょっと良いか?」
「桜花さん、なにー!?」
「いやなに、ケイさんと紅焔さんに頼んだ解説とゲストの依頼の報酬についてだな。とりあえず+8の瘴気石は今渡しとくぜ」
「お、サンキュー!」
「紅焔さんもな」
「おう、確かに受け取ったぜ!」
そういやレナさんから成長体を2体、桜花さんから+8の瘴気石っていう報酬内容だったもんな。うん、これはかなりありがたい報酬だ。
「それと、成長体2体はどこでどう受け渡せばいい?」
「あー、その件か。桜花さん、ちょっと待っててもらっていい?」
「おう、構わんぞ」
ふむ、今から俺とハーレさんで持ち運んでいっても晩飯でログアウトする時に困るよな。
ここは俺とハーレさんがログアウトした後にサヤとヨッシさんに取りに行くのを頼んでおいた方がいいだろうね。かといって、この場でサヤ達に了承を取らずに勝手に決める訳にもいかないから……。
「ハーレさん、悪いんだけどちょっとログアウトして、サヤとヨッシさんに成長体を受け取ってもらえるか確認を取ってくれない?」
「了解なのさー! あ、でもすぐに返事が来るとは限らないよー!?」
「……その可能性もあるのか」
そもそも用事があるという事で今日はサヤとヨッシさんは今の時間帯にログインしてないんだしね。その用事の最中という可能性も否定は出来ない。……そうなった場合は、ちょっと他の手段を考えてみるか。
「ま、とりあえずメッセージを送るだけ送っといてくれ。返事があればログイン中でも通知はくるだろ」
「うん、それは大丈夫なのさー! ところでその場合はどこに取りに行ってもらえばいいのー?」
「えーと、桜花さんのとこ……?」
あれ、この場合はどこに取りに行ってもらえばいいんだ? この桜花さんの樹洞の中には成長体の敵はいないみたいだし、レナさんが灰のサファリ同盟に預けてるって言ってたから灰のサファリ同盟の森林本部がいいのか?
「あー、別に俺のとこでも灰のサファリ同盟の本部でも、どっちでも良いんだが……今のを聞いてる感じだとサヤさんかヨッシさんが後から取りに来るって感じで良いのか?」
「うん、了承が取れたらそんな感じにするつもり。時間としては7時過ぎくらいだけど、桜花さんは大丈夫?」
「あー、その辺は多少の融通は利くから問題ねぇが……そういう感じなら受け渡しについては灰のサファリ同盟に直接やってもらった方が良いかもな」
「確かにそだねー。元々わたしが灰のサファリ同盟に預けてる成長体だし、その辺はわたしの方で調整しておくよー」
「おう、そこは任せるぜ」
ふむ、どうやらこれで話は纏まったかな。それじゃこれをリアル側でハーレさんからサヤとヨッシさんに伝えてもらえば良いだろう。返事がすぐ来るかは分からないけど、7時までにはなんとか返事があれば大丈夫なはず。
「よし、それじゃハーレさん、今の感じで任せた!」
「了解です! それじゃちょっとログアウトするねー!」
「おう、よろしくな」
そうしてハーレさんは一度桜花の樹洞の中から出てから、ログアウトしていった。とりあえずこれでネス湖でのフィールドボス戦に使う成長体は確保出来た……いや、確保は出来たけど、どんな成長体なのかを確認してないな?
「レナさん、ちょいと質問いい?」
「んー? ケイさん、今ので何か問題あった?」
「いや、問題って訳じゃないけど……成長体2体ってどんな種類?」
「あ、それかー! わたしの預けてるのは大根とネズミだけど、他に灰のサファリ同盟で確保してる成長体の中から好きなのを2体で良いよー。そういう約束だもんね、琥珀さん」
「えぇ、今回の模擬戦というか講義についてはレナさんと桜花さんが代表して依頼という形にはなっていますが、灰のサファリ同盟も関係はしていますからね。あ、サヤさんとヨッシさんが受け取りに来た際に選べるように通達はしておきますのでご心配はなさらずに」
「あ、そうなんだ? え、でも普通に灰のサファリ同盟からの依頼でも良かったんじゃ?」
「……実は、それだと灰のサファリ同盟に所属してない奴が気兼ねするって事があったりしてな。それが分かってからは、毎回って訳じゃないがどこの共同体にも所属してない人が代表する事にしたんだよ。今回のは発案がレナさんで、代表は俺って事になってるぜ」
「あー、そういう感じか」
ふむふむ、灰のサファリ同盟は気さくで交流しやすい共同体だとは思ってはいるけども、どうしても身内感が出てきて参加するのに気後れするって人もいるのか。まぁ、人同士の関わりなんだからそういう事もあるよね。
その対策として、単独の共同体だけで行っている訳ではないというアピールをしてるんだな。……レナさんは群集すら関係なく幅広い交友関係があるし、桜花さんは不動種の商人という方向性からやってるんだろう。色々考えてるもんだね。
それはそうとして、報酬でもらえる成長体2体って好きに選べるのか。ふむ、琥珀さんがから灰のサファリ同盟……この場合は森林深部の本部なんだろうね。
そこでサヤとヨッシさんが好きな成長体を2体選んでくる事になるんだな。……何を選んでくるかが少し楽しみかも?
「えーと、話の腰を折って悪いんだけど、これはどういう話し合いなんだい?」
「ケイさん達って、海エリアに行くんじゃなかったのか? 報酬の話が出た時から気になってはいたんだけど、なんで成長体の確保をしてんの?」
あ、凄く当たり前のように話してしまっていたけど、紅焔さんとソラさんは俺らがネス湖に行く件は知らないんだった。そりゃ海エリアに行く為の情報収集をしてるのに、フィールドボスの誕生の準備をしてたら不思議に思って当然だよなー
。
「えっと、夜から海エリアに行く前にネス湖に行って『水属性強化Ⅰ』を取る予定なんだよ」
「あぁ、そういう事なのかい」
「あー、そういや昨日アルマースさんが光る『進化記憶の結晶』を戻しにネス湖へ行く為のPT募集をしてたっけ。……もしかしてアルマースさんはそのままネス湖でログアウトしてて、夜から合流ってとこか?」
「お、紅焔さん、大正解!」
うん、まさしくその通り。アルも有言実行で、野良PTを組んでちゃんと進化記憶の結晶を戻しに行ってくれたみたいだね。……いや、野良PTの募集をしてただけならまだ戻ったとも限らない……?
「あ、アルマースさんが野良PTを募集していたのはそういう訳なのですね。私はそれに参加していましたけど、到着して戻してからすぐに現地で解散したので、そういう理由だとは知りませんでしたね」
「え、琥珀さん、参加してたの!?」
「えぇ、参加していましたよ。他にアルマースさんと面識があったのは、タケさん、黒曜さんがいましたね。1PTでしたけど、あとの2人は初対面だったようですよ」
「あー、タケさんと黒曜さんか」
ちょっとした知り合いであるという点以外の共通点がないメンバーでの野良PTだね。……まぁ野良PTで知り合いが3人って時点で、知り合い率は高いな。アル以外のメンバー同士の面識がどうだったかは分からないけど。
あ、そうしている内にハーレさんが戻ってきた。思ったより早かったけど、この早さだと返事はまだっぽい気がする。
「おかえり、ハーレさん。どうだった?」
「ただいまー! えっと、返事自体は来たんだけど、もう少し手が離せないから後で改めて返事を送るってさー!」
「あー、なるほどね」
ちょっとした合間でメッセージが来た事への返事自体は出来たけど、具体的な内容の返事が出来る状況ではないって事か。ま、ちゃんとメッセージが届いているという事さえ分かれば問題ないな。
ところで今は何時……って、もう5時半を過ぎた頃か。思っていた以上に模擬戦で時間を取らててしまっていたようだね。
「さてと、ハーレさん、これからどうする? とりあえず俺らもネス湖に移動する必要もあるけど、まだ海エリアの情報収集は殆ど出来てないんだよな」
「あぅ!? そういえばそうなのです……」
「あ、その辺はわたし達が邪魔しちゃった感もあるし、手伝うよー? わたしが知ってる範囲の情報は教えるから、ダイクはその間の移動役ねー!」
「移動は俺がやんの!? まー、今回は変な連中の件もあったし、前々から考えてた講座とはいえレナさんが予定狂わせた感もあるし、やりますかー!」
「ダイクー? 地味に毒が隠しきれてないけど、覚悟はいいー?」
「良くはないな! 『移動操作制御』!」
「あ、待てー!? 『自己強化』『アースクリエイト』『土の操作』!」
えーと、思いっきりダイクさんが水のカーペットに乗って樹洞から飛び出て、レナさんがそれを追いかけていった。……まぁあの2人ではよくある事だし、そのまま完全にどこかに行ってしまう事もないだろう。多分、ちょっとしたら戻ってくるはず。
「ケイさん、俺とソラも一緒に行って良いか?」
「あー、別にそれは構わないけど、移動だけだから旨味はないぞ?」
「いや、普段とは違ったPTの組み合わせになりそうだから、面白そうじゃね?」
「僕もそれには同意だね」
「確かに言われてみればそうなのさー!?」
「……そういやそうだよな」
普段はアルがいない時の4人PTに誰か2人の臨時メンバーとか、アルもいて5人の時に1人の臨時メンバーとか、もっと大人数で連結PTになるとかだもんな。
今回はそういう意味では変則的な6人PTに……いや、待てよ。今は他に琥珀さんがいるし、そっちの都合も聞いておくべきか? 桜花さんは話の区切りがついたからか、他の人と取り引きをしているから邪魔しちゃ悪いかな。
「せっかくだし琥珀さんも一緒に来るか?」
「え、私ですか? ……お誘いはありがたいのですがこの後は用事がありますので、今回はご遠慮させていただきますね」
「あー、用事があるなら仕方ないか……」
今いるメンバーは7人だったけど、琥珀さんが無理なら6人の1PTで収まるか。メンバーとしては、俺、ハーレさん、レナさん、ダイクさん、紅焔さん、ソラさんという構成になる。
いつもとは全然違ったPTにはなるけど、レナさんが近距離物理型、紅焔さんとソラさんがバランス型、ダイクさんが魔法型だから、割とバランスも悪くはないか。
「ふー、捕まえたー!」
「ちょ!? 待っ!? レナさん、引き摺らっ!?」
そこにダイクさんの大根の葉を掴んで地面を引き摺りながらレナさんが戻ってきた。うん、ダメージがないとはいえ、レナさんはダイクさんの扱いが雑なのは相変わらずだね。まぁこの光景ってダイクさんも分かった上でやっているような気もするんだよなー。
「チラッと聞こえたけど、このメンバーでネス湖に向かうって感じでいいのー?」
「まぁみんなの異論が無ければだけど、そうなるな」
「私は賛成なのさー!」
「僕も是非とも参加させてもらいたいね」
「俺もだな!」
「レナさんが行く以上、俺も自動的に参加だぜー。ま、結構楽しそうだから文句も何もないけどな」
「よし、それじゃそれで決定だな!」
とりあえずこれでネス湖まで移動しつつ、レナさんから海エリアの情報が聞けるね。それにダイクさんが水のカーペットで移動も担当してくれそうだから、情報共有板やまとめを見る余裕もありそうだ。それに龍の紅焔さんとタカのソラさんもいるから、道中の空中戦力も申し分ない。
っていうか、紅焔さんの龍をダイクさんとソラさんの風の昇華魔法で加速とかやってみたいなー。あ、でも2人での発動だと指向性が制御出来ないから微妙か……。うーん、このメンバーが揃っているからこその何かをやってみたい気分ではあるよね。
「はっ!? ケイさんがまた何かを企んでいる気がします!」
「今のは声には出てなかったけど、何か企んでた雰囲気ではあるね」
「ケイさん、何かやらかす事を期待しているからねー!」
「俺は前回は『理不尽な襲撃』を取得だったなー」
「あー、あれってダイクさんも絡んでたのか。あれ、俺も欲しいんだけど、ケイさん、その辺の事で俺が出来そうなのねぇか?」
「企んでるとか言いながら、地味に要望を伝えるのはどうなんだ!?」
もう完全に俺が何かをやらかすのを大前提にして、みんなして好き勝手な事を言ってるよね!? っていうか、ダイクさんは『理不尽な襲撃』については共犯側だったよな!?
「あー! ともかく予定は決まったから、PT組んだらネス湖に向かって出発だ!」
「「「「「おー!」」」」」
今日は元々の予定が狂いまくってはいるけども、一応は目的自体は達成出来そうだね。とりあえずネス湖に向かって移動しながら、海エリアの情報を集めていくぞー!
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