第574話 報告と検証を合わせて
さて、中途半端に遮ってしまったけども草花3の人の報告を最後まできちんと聞いておかないとね。その情報に合わせた再現検証もやっておかないといけないしさ。
草花3 : ……それじゃ続きね。次はLv3の拘束魔法だけど、これは守勢付与が自動でかかるみたい。拘束を破壊しようとすると、周囲に漂ってた風の球が補強するみたいに機能してた。これについては風の球は1個だけ。……今のところ、試せたのはここまで。
サル : 複合魔法になるんじゃなくて、魔法の効果の底上げをする感じなんだな。んで、弾数指定があるのは操作系スキルの同時操作数が影響して、そうでないのは1個だけってことか。
ネズミ : 聞いてる感じだと、攻撃系の魔法には攻勢付与で、補助系の魔法には守勢付与か……?
草花3 : ……うん、多分そう。だからLv4の爆発魔法とLv6の衝撃魔法には攻勢付与が、Lv5の防壁魔法には守勢付与の効果があると予想してる。
カンガルー : なるほどなー。これからその辺は要検証か。
オオカミ : まだ確認が必要な内容は多いようだが、貴重な情報だ。検証情報の提供を感謝する。
草花3 : ……お礼はきっかけを作ったコケの人に言って。……そういえばコケの人に確認してもらいたい事がある。
コケ : ん? どんな内容?
既に今の報告の内容で充分過ぎる程の検証情報な気はするけど、ここで俺が確認すべき内容か……。俺に頼む必要があるって事は俺しか条件を満たしていないという……あ、もしかしてこれらの情報を魔法砲撃に組み込んでの発動が可能かどうかか?
うん、その可能性はかなりあるし、俺自身もそれは試してみたくなってきた。でも違う内容の可能性もあるから、まずは草花3の人の話を聞いていこうじゃないか。
草花3 : ……コケの人には、今の情報を元に魔法砲撃を使ってみてほしい。ただ気をつけて欲しいのは他の魔法に付与魔法を使うには並列制御が必須。指定する順番はどっちでも良いけど、並列制御で同時に発動しないと効果が出ない。
コケ : ほいよっと。魔法砲撃があるのは現状では俺だけみたいだしな。
ヘビ : ほほう、並列制御が必須なのか。
カンガルー : そういや並列制御がLv2になった場合って、昇華魔法とか複合魔法ってどうなんの? ヘビの人、その辺は検証はしてないか?
ヘビ : ん? その辺ならもう検証済みで情報上げてるぜ?
カンガルー : え、マジで?
オオカミ : あぁ、それは俺の方で編集をしたから間違いないな。
木3 : ほう、そうなのか。
ヘビ : ま、話題に出てきたし、軽く説明すっかな。行動値さえ足りれば3つの魔法を同時発動は可能だぜ。複合魔法については重ね方次第ではあるんだが、生成位置を誤って3つ重なった場合には発動する組み合わせの複合魔法がランダムで発動だな。
サル : あー、重ねるのをミスったらそうなるのか。
ヘビ : だなー。その辺が雑な人は並列制御Lv2は不向きだぜ! あと攻撃部位の関係もあるから、同時発動をただ単に増やせば良いって訳じゃねぇ! 魔法の手動操作も同じ属性の魔法を2つ使うと操作対象がランダムになるから、微妙だしな! 色んな意味で俺は絶賛後悔中だぜ!
クジラ : ヘビの人、ドンマイ!
イカ : そういやヘビの人は、叫び声を上げながら検証してたっけか。
シカ : あー、そういえばそんなのもあったねー。
草花3 : ……でも、貴重な情報元になってた。
オオカミ : その後に風雷コンビの割に合わない発言も相まって、躊躇う奴も増えた訳だがな。
ヘビ : そういやそうだったよなー。
草花3 : ……あの時、躊躇うんじゃなかった。Lv7の魔法はかなり優秀。
カンガルー : 風雷コンビに合わなかっただけ……っていうか、あの2人は詳しく検証せずに言ったんだろうな。
ライオン : ……まぁ、そうなるのであろうな。
ヒョウ : ……正直、済まなかったとは思っている。
サル : お前ら、いたんかい!
ここはサルの人に同意で、心の底から言わせてもらおう。風雷コンビ、いたのかよ! 風雷コンビはろくに検証してないような気はしてたけども、やっぱりそうだったと自白してくるとは……。
それにしてもヘビの人が並列制御Lv2にして後悔してた後に、風雷コンビによる割に合わない発言のコンボになっていたのか。……何事もタイミングって重要だよね。
コケ : まぁ風雷コンビの件は良いや。とりあえず並列制御で付与魔法の効果をかけつつ、他の魔法を魔法砲撃で使ってみればいいんだな?
ライオン : ……扱いが雑ではないか、コケの人よ?
ヒョウ : ……そうだぜ、コケの人。
草花2 : 混乱を招いた風雷コンビは、ちょっと静かにしてようか。
サル : そうだな。情報提供は義務じゃねぇからLv7の魔法の情報を出してなかった事については何も言う気はないけど、変に混乱させたのは間違いないもんなー?
オオカミ : 悪い事は言わん。風雷コンビ、今は大人しく黙っておけ。
ライオン : ……了解した。
ヒョウ : ……分かったぜ。
流石にみんなもちょっと怒り気味ではあるね。そりゃ貴重なスキル強化の種を使っての検証だから、みんなの気持ちも分からなくはない。
まぁついさっき出てきたばっかの並列制御での同属性魔法の強化効果の事を知らなければ、風雷コンビが割に合わないと言いたくなる気持ちも理解出来ない訳じゃないけども、混乱させるなとは言いたくなるよね。
コケ : ま、ちょっと魔法砲撃で試してみる。……ところで、風雷コンビってどっちが電気の操作と電気魔法を取ったんだ?
ライオン : 電気魔法は我だ。
ヒョウ : 電気の操作が俺だぜ。
コケ : なるほどね。んじゃ、試してから戻ってくるわ!
オオカミ : ……それを聞いた意味はあったのか?
コケ : 特に意味はない!
何となく気になったから聞いただけだし、何一つとして有用な意味はない。さて、それじゃ改めて魔法砲撃の効果を確認していこうじゃないか。ふふふ、ただ普通に魔法砲撃を使っただけでは意味はなかったけど、他のLvの魔法に付与魔法をかけた状態でならどうなるかが楽しみだ。
「アル、適当に水の的を作って貰っていいか?」
「おう、別にいいぜ。それにしても、かなり興味深い内容になってきたな」
「だよなー。まさか並列制御が必須で、他のLvの魔法に付与魔法がかけられるとはね」
「それが魔法砲撃で使えるとなると、かなり凶悪化しそうだな」
「ま、それを試す為にもやってみないとね」
「だな。んじゃ的を作るぜ。『アクアクリエイト』『水の操作』!」
「アル、サンキュー!」
別に的は無くても良いといえば良いんだけど、折角の魔法砲撃での検証なんだし気分的には欲しいもんな。とりあえずアルが的として大きめの水球を生成してくれたので、それに向けて撃ってみよう。
えーと、草花3の人が言うには攻撃用の魔法には攻勢付与をすれば良いって事だったよな。まずは成功が確定しているLv2の射出魔法で魔法砲撃をやってみるか。
<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>
<行動値7と魔力値21消費して『水魔法Lv7:アクアエンチャント』は並列発動の待機になります> 行動値 63/70(上限値使用:3): 魔力値 185/206
<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>
<行動値4と魔力値6消費して『水魔法Lv2:アクアボール』は並列発動の待機になります> 行動値 59/70(上限値使用:3): 魔力値 179/206
<指定を完了しました。並列発動を開始します>
順番はどっちでも良いとは言っていたけども、消費行動値的には付与魔法は先に使わないと駄目だな。お、攻勢付与と守勢付与の選択は出ずに、自動で攻勢付与がアクアボールに反映されたっぽい……?
ふむ、まだ魔法砲撃にはしてないのに付与魔法自体は効果を発揮するんだな。さて、それじゃアクアボールを魔法砲撃にして、起点は右側のハサミに指定。連射数は……お、3発追加されて6連射が可能になってるな。指定数は4〜6発の間になってるから、攻勢付与での追加分は数の指定は出来ないようだ。ま、ここは最大の6連射で行きますか。
「いくぞ、アル!」
「おう、いつでも来い!」
それじゃ、的の水球に向けて6連発射! 次々とアルの水球へと水弾が撃ち込まれて……って、ちょっと水球の一部を吹き飛ばしてない!? あ、とりあえず全弾撃ち終わったね。
「……ケイ、アクアボールそのものの威力自体がかなり上がってないか?」
「そうみたいだな。……ちょっと魔法砲撃なしで撃ってみていい?」
「……その威力の違いは気になるな。よし、やるか」
「ほいよっと」
攻勢付与の効果がかかったアクアボールは弾速は速くなってる様子はなかったけど、威力自体はかなり上がっているようである。……魔法砲撃での威力増加の効果もあるんだろうけど、比較対象として通常発動での威力も知っておきたいとこではある。
この検証については魔法砲撃の使用の有無以外は条件が同じ必要があるから、俺がやっておくのが正解だろうね。
<『並列制御Lv1』を発動します。1つ目のスキルを指定してください>
<行動値7と魔力値21消費して『水魔法Lv7:アクアエンチャント』は並列発動の待機になります> 行動値 52/70(上限値使用:3): 魔力値 158/206
<2つ目のスキルを指定してください。消費行動値×2>
<行動値4と魔力値6消費して『水魔法Lv2:アクアボール』は並列発動の待機になります> 行動値 48/70(上限値使用:3): 魔力値 152/206
<指定を完了しました。並列発動を開始します>
さて、他の魔法への付与も試してみたいからサクサクやっていこう。さっきと同じように自動的に攻勢付与の効果がかかり、アクアボールの発動へと移っていく。今回は通常発動での効果が見たいので魔法砲撃の使用はなし。
えーと、同時射出数はさっきと同じで4〜6発なんだな。ただし、魔法砲撃の効果はないので連射ではなくて同時に撃ち出せるね。……ふむ、6発同時に射出というのもありだな。
「アル、次もいくぞ」
「おうよ。さて、どうなるか……」
そして再び、的になっている水球へと向けて水弾を発射していく。今回は六角形になるように等間隔にして、そこから的に向けて6方向から撃ち出すようにしてみた。
「……この同時攻撃は地味にエゲツないな」
「でも威力はさっき程はないか……」
「そうみたいだが、使い方次第ではこっちの方が厄介じゃね?」
「んー、6発だと避けられる範囲だし1撃の威力がこれだと微妙なとこだぞ。こんな感じで同時攻撃をやるなら、もっと立体的に敵の奥から俺の手前に向けて避けられないようにしないと……」
「……とんでもねぇ事をサラッと言うなよ、ケイ」
「いや、実際に今の状況じゃ実行出来ない――」
ん、待てよ? 今さっきの状況からだと流石に生成の位置を自分の前方に指定するのが限界ではあるけど、他の視点があれば敵の背後からも同時生成で射出も出来るはず。……他の視点、つまり遠隔同調を使えば不可能ではない。
あー、でも1発ずつの威力はそれほどでもないし、これをするならもう少し弾数が欲しいよな。……となると、実行に移すとするなら水の操作もLv7になった時か。もしくはアクアボールよりアースバレットの方が相性は良さそうだから、土魔法をLv7にしてからかもね。まだ土魔法はLv6にもなってないけど……。
「ケイの言葉が途切れたのが気になるかな?」
「ケイさん、何か思い付いたの?」
「お、サヤ、ヨッシさん、聞いてたのか。ちょっと思いついた事はあるけど、実用レベルにするにはまだちょっとかかりそうだけど……」
「……ま、ケイの思いつきはそのうち見る時も来るだろ。んで、そっちはどうだ?」
「あ、うん。今、水砲ザリガニを目視したとこかな」
「これから捕獲に移るから、その前に報告をね?」
ほほう、サヤとヨッシさんは水砲ザリガニの目撃情報の場所まで辿り着いて、これから捕獲するという事で報告をしてきた訳か。まぁ俺の思いつきが気になったっていうのもあるんだろう。
まぁ遠隔同調を使った多角攻撃の運用についてはもう少ししっかり考えておかないと駄目だろうね。……というか、そっちを本格的に考える前に今の検証を終わらせるのが先か。
「よし、とりあえずサヤとヨッシさんは水砲ザリガニの捕獲をよろしく!」
「うん、分かったかな!」
「了解!」
「2人共任せたぞ。ケイ、俺らはどうする?」
「とりあえず魔法砲撃で効果があった事を報告してから、各魔法でどういう追加効果が出るかの確認だな。その間にサヤとヨッシさんが戻ってくるだろうから、そこから水属性持ち敵への水属性付与の検証で良いだろ」
「ま、そんなとこか。それなら俺の方で報告をしとくから、ケイは検証を続けておいてくれ」
「え、良いのか?」
「その方が効率は良いだろ。サヤとヨッシさんもそれで良いか?」
「私は問題ないかな」
「私も大丈夫だよ」
「……そういう事ならそうするか」
報告するべき内容は魔法砲撃では通常発動よりも威力がかなり増幅されるというくらいではあるもんね。ネズミの人や草花3の人も可能な範囲で再現検証とか敵への付与を試しているだろうし、俺は俺で各Lvの魔法への付与効果の再現検証もしていきたい。
この付与魔法は使いどころを選ぶ必要があるけど、かなりの可能性を秘めているのは間違いない。……まぁ魔力値の消費が多いのが難点ではあるんだけどね。付与魔法を本格的に運用し始めると、最大威力の昇華魔法も気軽には発動出来ないだろうな。
ま、その辺はアイテムでの回復や、PTメンバーとの連携でどうにかしていく内容だね。さて、それじゃ報告はアルに任せて、サヤとヨッシさんが戻ってくるまでに他のLvの水魔法への付与魔法の効果のチェックをしていこう!
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