唯斗&南月編 蛇足
あれから10年が過ぎた。
俺は社会人になって仕事にも慣れ始めた。
今日は休日。
家でのんびり過ごしていると、可愛い妹から連絡が来る。
『ゆ~兄、傘忘れちゃった。いつもみたく迎えに来て~』
「了解」
真由は15歳の女子高生になった。
時の流れって早いものだ。
俺達は真由を迎えに行くために家を出た。
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雨が降る中、私はゆ~兄のお迎えを待っている。
保育園の頃からいつも私のことを迎えに来てくれた。
優しい顔をした、あの人達が.........
見覚えのある車が近くまで来て停まる。
「ゆ~兄、"なっちゃん"、ありがとう~」
私はあの時のように笑顔になった。
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「真由ちゃん、久しぶり~」
「何ヶ月ぶり?いや、もう何年ぶりかな~」
「そんなにたってたっけ?」
「そうだよ~、ゆ~兄となっちゃんが結婚してから会う機会少なくなったじゃん!!!」
「そうだったっけか~、年取ると時間の感覚が早くなるな~」
「ゆ~兄はまだまだ若いでしょうが。なっちゃんも昔から綺麗だったけど結婚してからもっと綺麗になったよね~」
「もう、真由ちゃんはお世辞が上手くなったね~。高校生の若さにはもう勝てないよ」
「しかも、また二人とも眼鏡を新調したんだね~。色も青色で一緒にしちゃって~。いいな~、ラブラブじゃん!!!」
真由の指摘に、俺と南月は頬を染めながら笑っていた。
あの後、俺は南月に勇気を振り絞って告白したのだ。
そして、7年の交際期間を経て結婚した。
俺は雨の道を運転していると、ふと視線を感じた。
隣で青縁の丸眼鏡をかけた南月が俺のことを見ている。
10年前に感じていた視線は正体は、もしかしたらだけど『彼女』のものだったのかもしれない。
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