第344話もー忘れるなよな、とツッコまれた

 やるやると言いながら、結局やらない。


 わたしはそういったところがある。


 例えば部屋の片づけ。


 散らかったまま、翌日にまた散らかす。


 そして母親に叱られるまでがワンセット。


 昔からこの癖がなかなか治らない。


 そういえばこの間。


 学校でもこんなことがあった。


 先生から模型を美術室に運んでくれと頼まれた。


 わたしはやっておきますと返答して、そのまま忘れて帰ってしまった。


 夜中にそのことを思い出してヤバイと戦慄する。


 もう遅い……。


 翌日、先生に怒られると思いながらぶるぶる震えていた……。


 するとメガネを光らせた先生が、わたしの前にやってくる。


 思わずぎゅっと目を閉じると、「昨日はありがとうね」と褒めてくれた。


 わたしはどういうことか理解できなかった。


 あとから友達に聞いたところ、同じクラスのあなたが密かに模型を運んでくれたらしい。


 わたしはお礼を言わなきゃと思った。


 いつもは「やるやる」と言いながら忘れてしまうのだけれど、今日は行動に出る。


 あなたにだけは、口だけではないところを、見せたいと思った。

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