第343話五秒前
僕は時計の針の音を聴く。
カチカチカチ……。
部屋の中で寝そべって耳を澄ますと、妙に落ち着いて聴こえる。
そしていつの間にか寝落ちする。
いい夢が見れるといいな……。
僕は時計の針の音を聴く。
カチカチカチ……。
テストの最中は、妙に張り詰めたように聴こえる。
ピリっとした緊張感。
空白の解答欄が、僕を追い詰める……。
僕は時計の針の音を聴く。
カチカチカチ……。
高校駅伝のスタート数分前。
白い息を吐きながら身体をあたためていると、マネージャーの君が親指を立てる。
大丈夫! のサインだ。
僕も親指を立てたあと、心臓に手を当ててリズムを聴く。
ドクドクドク……。
ハートの秒針に耳を傾け、僕はスタートラインで前を見据えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます