第327話答え合わせは未来で

 未来が見えるドアをみつけた。


 そのドアを開けると、未来の自分を見ることができる。


 誰もいない森の奥に建った一軒の洋館。


 そこで僕はこの不思議なドアを見つけた。


 ドアを開けることで、僕はいろんな未来を見てきた。


 そのおかげで災難を回避することもできた。


 サイフを落とさずに済んだり、にわか雨から逃れたり。


 このドアがあれば、一生困ることはない。


 この便利なドアを誰かに教えてあげよう。


 マンガ家を目指す君は、いつもネタに困って苦労していた。


 だからこのドアを使って、未来の君が描いたマンガを見ればいい。


 この提案に、しかし君は首を横に振った。


 その理由はマンガと同じで、未来がネタバレしたらおもしろくないとのこと。


 なるほど、それもある。


 白紙のページを埋めるように、手探りで進む人生も悪くない。


 僕は未来のマンガ家に期待をよせる。


 このドアを開けずとも、サイン会に並ぶ僕の姿が想像できた。

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