第326話また晴れるって

 天気予報が、外れた。


 たま~にだけど、そんな日もある。


 晴れると思っていたら、雨が降っていた。


 だけどわたしは勘がいい。


 こういうときのために、ちゃんと傘を持ってきたのだ。


「やべーな」


 そこへ野球部のあなたがやってきた。


 ここだけの話、わたしが前から気になっている相手だ。


 練習が中止になったから、これから帰るらしい。


 見たところ傘は持っていないし、これはもしかして、チャンスかもしれない。


「ねぇ、一緒に帰――」


 そう言っている最中に、別の女の子がやってくる。


 どうやらあなたの彼女で、これから一緒に帰るらしい。


 彼女が持ってきた傘を差して、帰る二人。


 玄関を出るその背中を眺めながら、わたしはその場で立ち尽くしてしまった。


 彼女がいるなんて、知らなかった。


 いつもは勘のいいわたしなのに……。


 たま~にだけど、そんな日もある。


 やがて空は晴れたけど、心は雨に打たれている気分だった。

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